ジェームズ・キャメロン監督作品「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」を観ました。2022年12月末、もう一ヶ月も経ってしまいました。。劇場はIMAXレーザーシステムへと進化した「TOHOシネマズ 有楽町」、もちろん3Dで鑑賞です。
世界では歴代興行収入第4位となる大ヒットを記録しています。日本では「THE FIRST SLAM DUNK」と「すずめの戸締まり」の年末年始映画2強に阻まれて、年末年始はずっと興行収入3位に位置していた作品です。膨大な時間と予算をかけて撮られた映画で、興行収入のベンチマークをクリアしないと続編の撮影ができないと言われていましたが、世界での大ヒットに推されてベンチマークはクリアしたとの情報を目にしました。
年末年始に世界中の人々がめっちゃ観た本作を、背景・ストーリー・撮影と編集の視点で記録しておきます。
アバター:ウェイ・オブ・ウォーター ―― 作品の背景について
監督のジェームズ・キャメロンはヴィーガンとして生活をし、生物多様性を主張するとともに環境配慮に積極的な人物です。環境に対する彼の「食事を変えることは我々が一番早く環境に対してアクションを起こせることにひとつ」というコメントはとても納得ができる内容です。そんな彼のライフワークとなった映画「アバター」は、武力を持つ文明がそれを持たない文明から資源を搾取すること、同種の生物以外を攻撃・殺害することにはためらいを持たない姿など、格差・資源搾取・生物多様性など、現在の世界で問題となっている構造を浮かび上がらせる内容になっています。
それに加えて本作で強く感じたことは、格差や搾取・戦争などの大きな分断について、まずは社会の最小単位である「家族」から考えようという姿勢です。多様な背景を持つ主人公「ジェイク」の一家が、大きな脅威を目の前にしたときに、それに大した対話をし、反発や協調を繰り返して、本当の家族となっていく姿がとても印象的でした。VUCAな時代と言われてる現代を生きるために、まずは家族で対話しよう、考えよう。そんな姿勢を受け止める作品でした。
アバター:ウェイ・オブ・ウォーター ―― 作品のストーリーについて
本作のナラティブはジェイク一家。種族を超える愛でつながり妻となった「ネイティリ」と、その間に生まれた「ネテヤム」、「ロアク」、「トゥク」の3人の子どもたち。それから、養女である「キリ」と養子である「スパイダー」が家族です。彼らは地球人の侵攻から10年、平和に故郷であるナヴィで暮らしてしました。
しかし再び地球人がパンドラの資源を奪うために侵攻をしてきます。パンドラでの平和な生活に危険が迫るとともに、多様なルーツを持つ家族の間の歪も表に出てきます。このままでは、ナヴィで暮らす人々を危険に晒してしまう。家族と意見を衝突させながらもジェイクはナヴィを離れ、生活の場を他に移すことを決意します。そして、一家が流れ着いたのがメトケイナ族が統べる海の国でした。そこでジェイク一家は新しい暮らしをはじめます。
森から海へと生活の場を変えた一家ですが、最初はメトケイナ族の人々とうまく関係を築けずにいました。それでも、海での生活や、海の生物「トゥルクン」とのふれあい、海の中に潜む魂の木とのつながりによって、新しい生活にも徐々に溶け込んでいきます。しかし、ジェイク一家を追う地球人は彼らのすぐそばに迫っていました。
地球人は海の国で同じ地球人のグループと出会います。彼らは海の生物トゥルクンの脳からとれる老化を防止する成分を得るためにトゥルクンを狩って生活をしていました。自分たちとは異なる種族・生物を痛めつけ、狩りながらジェイク一家に近づく地球人たち。森から海へと場面を変え、ジェイク一家と地球人との戦いが再びはじまります。
トゥルクンと心を通わせていたロアクは、トゥルクンの危機を救うためにネテヤム、トゥク、キリとともに海へと向かいます。トゥルクン狩りの現場へと到着する彼らでしたが、そこで地球人たちに見つかり拘束されてしまいます。そこに助けに現れるジェイクとネイティリ。そしてトゥルクンもロアクたちを救うためにトゥルクン狩りの船に特攻をかけ、子どもたちは拘束から解かれます。兄弟を助け、逃げようをする最中、長兄のネテヤムが凶弾に襲われます。ここでネテヤムは命を落とすことになってしまいました。
深い悲しみの中、地球人と相対するジェイク一家。家族でお互いを尊重すること、それぞれが持つ力を認め、信じあうこと。家族であることを再確認することと、家族の力を合わせることで地球人から家族を守り抜きました。ネテヤムを失ってしまいましたが、ジェイク一家はこの戦いを経て、本当の家族になることができました。そして、まだ去っていない地球人からの脅威を、新たな故郷である海の国で、メトケイナ族とともに戦うことを決めました。
アバター:ウェイ・オブ・ウォーター ―― 撮影と編集について
ジェームズ・キャメロンが拘りに拘り抜いて作られた3D映画です。ボクはどちらかというと2Dで観たい。と思う方ですが、本作では3Dだからこそのすごさや映像を観ることができました。折り重なる木々の立体感、水中における浮遊感やゆらぎ、3D映像だから実現できる遠近感がパンドラの自然のダイナミックな美しさを映し出してくれました。
そして、モーションキャプチャーだからこそのカメラワーク。空中から地上へ、海中へ。正面から横へ下へ。ダイナミックな美しい自然を、ダイナミックなカメラの動きや視点の変化でみせるとともに、カメラの移動や視点の位置で語る登場人物の心情や場の空気がひしひしと伝わってくる撮影と編集でした。
コメント - comments -