ザ・バットマン ―― ダークで不機嫌な現代のムードが漂い続ける3時間

もう1ヶ月も前ですが、4月上旬に映画「ザ・バットマン」を観ました。

何度も映画化されているアメコミ原作のスーパーヒーローの物語。2022年からはじまる新バットマンシリーズの主役を務めるのは、なんだか気になる俳優である「ロバート・パティンソン」で。マーベルの痛快なヒーローとは趣が違う、シリアスでダークなヒーローを演じるにはぴったりな配役だと感じていて、個人的には楽しみにしていた映画です。上映時間は3時間。とても長い作品でしたが、背景とストーリー、撮影と演出についてまとめておきます。

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ザ・バットマン ―― 作品の背景について

ザ・バットマン ―― 作品の背景について

格差社会、人種差別、ジェンダーの問題、権力と不正、民主主義の危機。相変わらず、ゴッサム・シティには現代社会の課題が濃縮されて詰め込まれています。そんなゴッサム・シティの秩序を守るために大富豪のブルース・ウェインはバットマンとなり2年が経ちました。そう、今回のバットマンはまだヒーローとなって月日が浅い、新米のバットマンです。まだヒーローとしてのふるまいも板についておらず、成長途上の若いヒーローはいつも不機嫌で怒っています。各種の問題が降り注ぐダークな社会で、不機嫌にふるまうヒーローは、現代のZ世代、不機嫌で不憫な若者の姿が投影されて見えてきます。

ボクは今回のバットマンと、Z世代のアイコンでもある「グレタ・トゥーンベリ」や「ビリー・アイリッシュ」のふるまいが重なって見えてきました。本シリーズでは現代社会の課題だけでなく、そこに生きる若者のムードも反映し、ダークで不機嫌な空気が流れる。そんな背景を感じる作品です。

ザ・バットマン ―― 作品のストーリーについて

ザ・バットマン ―― 作品のストーリーについて

本作のナラティブは、バットマン/ブルース・ウェイン。彼が解決しようと奔走する事件と、それを追いかける過程で明らかになるウェイン家のしがらみ、過去を知ることによって成長していく若いバットマン。そして、若いバットマンとともに戦うキャットウーマン/セリーナと、バットマンを支える執事のアルフレッドと、市警のゴードンという二人のおじさんの活躍が心に残るストーリーです。

ゴッサム・シティの市長の殺害から端を発し、ゴッサム・シティに渦巻く権力による不正を暴くための連続殺人がはじまります。犯人はリドラー。バットマンはリドラーが出す謎かけを解きながら、リドラーを追いますが、その過程で自らの両親が不正にかかわっていたという疑惑が生まれてきます。資産家と警察、行政の権力が絡み合う不正を解きながら、リドラーへと迫るバットマン。そんな彼を、格差や人種・ジェンダーの問題に憤りを感じていたキャットウーマンが支え、共闘していきます。

一方でリドラーも、ゴッサム・シティの格差の底辺にいる人たちからの支持を集め、共闘するものたちを増やしていきます。そして、リドラーは自らが警察に捕獲された後にも、その支持者たちを使い、ゴッサム・シティと権力者たちを破壊するためのワナを仕掛けているのでした。クライマックスはリドラーによって仕掛けられた洪水に市民たちが飲み込まれ、リドラー支持者たちが市民や権力者たちを洪水と暗闇の中で殺害しようと目論む場面。新バットマンシリーズの最後は、自らを復讐者と呼ぶリドラー支持者とバットマンとの戦いで終わります。

そして、エピローグとなるポストクレジットでは、バットマンの次の戦いの相手となるであろうジョーカーらしき人物とリドラーが刑務所で会話を交わす場面で幕を閉じます。

ザ・バットマン ―― 撮影と編集について

ザ・バットマン ―― 撮影と編集について

本作の多くのレビューで書かれているとおり、全編に渡って画面が暗いというのが本作の撮影の特徴です。3時間、暗い映画観で暗い画面を見続けることになります。それが、本作のダークで不機嫌なムードを表象する演出だと理解しつつも、なかなかに疲れる作品でした。暗い画面の中なので、カメラの位置・視点の変化も際立って感じることができず。せめて、光と影のコントラストはもう少し多くの場面で取り上げて欲しかったなと思いました。次回はジョーカーが登場し、彼のカラフルな色彩とバットマンの黒とのコントラストが見られることを期待します。

シリーズとして展開されるであろう、今回のバットマンシリーズを、ブルース・ウェインの成長とともに見続けようと思います : )

ザ・バットマン ―― ダークで不機嫌な現代のムードが漂い続ける3時間

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この記事を書いた人

マーケティングに関わる仕事に20年以上携わっています。感銘を受けたポップカルチャーをマーケティング視点で記録したり、日々の暮らしや身に着けているもの、健康・投資について記録するためにブログを活用しています。

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