ベター・コール・ソウル ―― さらば、ソウルとウォルターとジェシーとマイクと。キムもナチョも。

2015年から6シーズンに渡って放送された、史上最高のTVシリーズ「ベター・コール・ソウル」が終わってしまいました。それまで史上最高だった2008年からはじまった「ブレイキング・バッド」、その2つの作品をまたいだ14年に及ぶ「アルバカーキ・サーガ」もこれで終了です。

間違いなく、ボクの一生の記憶に残る作品でした。いろいろ整理をせずに、今の想うがままに感想を残しておきます。整理しながら書いた、ブレイキング・バッドとベター・コール・ソウルのシーズン5までの記録は以下にあるので、興味があれば。

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この作品たちの魅力は、ハラハラとしたサスペンスが続くストーリーに合わせて、主人公である「ウォルター」と「ジミー(ソウル)」に対するボクの感情がクルクルと変わっていくことです。ブレイキング・バッド、まさにその過程で、がんばれと応援したい気持ちになり、めっちゃかっちょいい!と羨望のまなざしで見つめてみたり、それはやり過ぎ。と距離を置いてみたり、さすがに可哀そうだ。。と哀れに思ってみたり。何年も、何シーズンにも渡り主人公に寄り添ってストーリーが展開するTVシリーズだからこそ味わえる距離感や感情だったと思います。

どっぷり感情移入できるのは主人公たちだけではありません。まずは「マイク」、無表情で仕事を遂行するとてつもなく強い仕事人ですが、本作品の中で一番人を想う気持ちを持っている人物です。家族への愛情だけでなく、「ジェシー」や「ナチョ」など若者に対しても、秘めた愛情をもって接してくれる人です。最終エピソードのタイムマシンの件では、こんなマイクの後悔が語られました。主人公たちよりも先にブレイキング・バッドしてしまった、マイクの物語でもあったことが最後に分かります。

ナチョ。ボクは彼を見ているのが一番つらく、だからこそ一番好きだった人物かもしれません。とにかく善人な父親を守るために、ブレイキング・バッドしてしまった自分の人生を巻き戻そうと必死に行動する姿に胸を打たれます。死にゆくシーンではすべてを守るために、自分のこめかみに銃を当てます。悲しくてかっこいい。たまらんシーンでした。

すばらしいストーリーと撮影で、カタルシスを数々と見せてくれたのもこの作品にのめり込んだ理由です。たくさんありますが、それぞれ一つずつ。ブレイキング・バッドでは、ウォルターが「ヘクター・サラマンカ」を利用して「ガス・フリング」を殺害するシーン。全身不随となっているヘクターが唯一動かせる指と、その指でならすベルを使って、爆破装置を起動させるというサスペンスにしびれながら、ガスの死に様の撮影と編集に気絶しそうになります。これまで観てきた映画・ドラマの中でも、このシーンの撮影と編集はちょっととびぬけてすごすぎるかもしれません。

ベター・コール・ソウルでは、突然現れた「ラロ・サラマンカ」に「ハワード」が銃殺されるシーン。すごく突然だし、これまで関係のないハワードは殺さんだろ。という場面ですが、なぜか不穏でなぜか何かが起こると感じさせる演出がすごすぎる。それは、ジミーと「キム」が一緒に住む家で、夜、暗い部屋でロウソクの火が揺れると突然ハワードが現れて。しかし、またロウソクの火が揺れるのです。ん?と思っていると、最強最悪のラロが現れる。間髪を入れずに、何のためらいもなくハワードを撃ち殺す。やばいです。

エンディングについて。ブレイキング・バッドの前日譚からはじまり、愛するキムを失いソウル・グッドマンとなったジミー。そしてブレイキング・バッドの時間を過ごし、ベター・コール・ソールのエンディングでは、ブレイキング・バッド後のジミーとキムの結末が描かれて終わります。14年続いた作品のいろいろなものを回収して最後を迎える、最高のエンディングでした。そのとき、ウォルターとジミーに関わりブレイキング・バッドしてしまった人たちの多くはもういません。

残ったのは、すべての後悔を告白し、すべての罪を背負うことを決めてソウル・グッドマンから元の自分に戻ったジミーと。やはり罪を向き合うことを決意したキムだけでした。刑務所の面会室にたたずむ二人の美しいショット。刑務所のフェンス越しに遠くから見つめ合う美しい二人のショット。後悔と悲しみと、すべてを背負うことを決めた清々しさを感じる二人の背中には、悪に落ち、そして死んでいった多くの人たちの顔が浮かぶようです。永い永い物語を乗り越えてきた二人の、これからはじまる永い永い後悔の日々。

残念ながら、人生にはタイムマシーンはないのだよ。と、オーディエンスの胸をキュっとつかむような。いや、最高の物語の最高のエンディングでした。これが、ベスト : )

ベター・コール・ソウル ―― さらば、ソウルとウォルターとジェシーとマイクと。キムもナチョも。

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