POP LIFE:The Podcastの神回と神アベンジャーズを勝手にまとめてみる

めっちゃ大好きで毎回欠かさずに聴いているSpotifyのPodcast「POP LIFE:The Podcast」について。1年半以上、100を超えるエピソードを聴いてきて、ボクなりの神回エピソードのTOP5と、アベンジャーズと呼ばれるゲストスピーカーのTOP3をまとめます。

きっかけは少し前の回でホストの田中宗一郎(タナソー)さんのお話。3月の番組改編期を乗り切りたいので、リスナーの力を貸して。なんて言っていて、半分冗談、自虐ネタなのかもしれませんが、POP LIFEが終わってしまうなんて悲しすぎるので、まだ聴いたことがない人に少しでもトライアルのきっかけを作れればと、「これから聴いて」と「この人に注目」というガイドラインをボクなりに示します。

改めて整理してみると、これがきっかけでこんな社会課題に気が付いたな。とか、これを観はじめた、聴きはじめた。とか、このエピソードで言っていたことが現実と近づいてきた。なんてことに気が付き、POP LIFEの影響力や先見性に改めて驚かされます。今聴いても、いつ聴いても味わい深い雑談がいっぱいなので、ぜひ聴きはじめるきっかけにしてもらえたら、うれしいです。

目次 - post contents -

POP LIFE:The Podcast|神回エピソードTOP5

第1位:#020 映画『天気の子』について喧々囂々に語ってみた Guests: 宇野維正、木津毅&柴那典

まずは神回エピソードです。第1位は「天気の子」回です。あ、各エピソードともに共通ですが、改めて聴き返したりはしていないので、ディテールで間違っている部分があったらすみません。このエピソードは、天気の子のストーリーに塗されている社会課題についてスピーカー間で喧々諤々の議論が展開されます。気候変動・格差社会・世代間闘争です。宇野さんの説得力ある作品の魅力の紹介に対して、気候変動に対する危機感や配慮が足りていないと木津さんの反論があります。気候変動への対抗をやめてしまう主人公たち。という視点はこれを聴くまでにボクの中にはなかったので、木津さんの視点・指摘に震えたことを深く覚えています。

それから「ジブリ作品からのリファレンスが多すぎる」というタナソーさんのオピニオンに対する、宇野さんのカウンターも衝撃でした。映画のみならず、今のポップカルチャー作品は、その中に組み込まれた過去のリファレンスにどう気づき、どう楽しむかだ。という視点は大切にしています。本作品の例としてあげられた、エンディングの「ファイトクラブ」とのシンクロはとても面白く、ファイトクラブも観かえすきっかけになりました。

もう一つ、世代間闘争の例としてあげられた、主人公と警察との衝突ですが、今は「BLM(ブラック・ライヴズ・マター)」の状況と重なって見えてきます。世代間闘争に加えて、制度・規制との戦いです。たったひとつの「天気の子」という作品をきっかけに、その後にも活きる数多くの視座が生まれた、間違いない神回です。

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第2位:#029 女性ポップ・アイコンを語ろう Guests: 荏開津広&木津毅

木津さんからあげられたフィーメイルポップアイコンは3人。「グレタ・トゥーンベリ」「エマ・ゴンザレス」「ビリー・アイリッシュ」です。ビリー・アイリッシュは置いておいて、グレタとエマをアイコンだと考えたことはありませんでした。でも、確かに彼女たちはアイコンとして世界の人々の耳目を集めて影響を与え、良いと思われる方向に導いています。そして、彼女たちへの優しい眼差しとして「背負いすぎだよ、逃げてもいいよ」と訴えるタナソーさん。逃げるアイコンとしての「リアーナ」「ボブ・ディラン」「マイケル・ジャクソン」の引用もとても面白かったです。

このエピソードと、タナソーさんと宇野さんの本「2010s」がきっかけで、ボク自身は今まで真剣に聴いてこなかったフィーメイル・ポップをよく聴くようになりました。「テイラー・スウィフト」「レディ・ガガ」「ケイティ・ペリー」が唄う、女性を奮い立たせる歌にめちゃくちゃ勇気をもらっています。40代のおじさんが聴いているのは気持ちが悪いかもですが : )

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第3位:#075 メンタルヘルス/抗不安と、社会との関係 Guests: 柴那典&宇野維正

第3位は本年6月の緊急事態宣言解除直後に公開されたこのエピソード。withコロナ/afterコロナの生活がはじまろうとしているときに、コロナ禍によって訪れた変化を総括するような内容でした。エピソードのテーマにある「メンタルヘルス」は以前からUSの社会課題とされていましたが、コロナ禍を通して一気に世界的な課題として噴出した問題です。番組でこのテーマを扱った後、テイラー・スウィフトや米津玄師がメンタルに訴える自らを内省した音楽作品をリリースし、それぞれ国内外でロングヒットを記録したことから鑑みて、とても先見性のある内容でした。

またエピソード内で語られたナオミ・クラインの「ショック・ドクトリン」についても。実際の時間軸は確認できていませんが、ナオミ・クラインがコロナ後の世界における「スクリーン・ニューディール」に警鐘を鳴らしたことを耳にしたのは、ボクはこのエピソードを聴いた後でした。コロナ禍を通した、メンタルというパーソナルな問題から、グローバル資本主義や社会の仕組みの大きな変化までを感じることができる貴重な神回です。

第4位:#060 アイン・ランド、超人/選民という想像力 Guests: 宇野維正&小林雅明

第4位は緊急事態宣言直後に公開されたこのエピソード。本テーマの「ウォッチメン」にたどり着く前には、緊急事態宣言直後の世界について切迫感あるオピニオンが飛び交います。その中でも、宇野さんが語った「アベンジャーズのサノスのスナップ後の世界」とシンクロするコロナ禍の世界についての表現に心がざわつきました。「空がきれいでさ、空気がうまいんだよね」。経済活動が停止した日本における環境の変化をそんな感覚として受け止めて、アベンジャーズの生物の半分が消え去って浄化された宇宙をリファレンスしています。

そしてウォッチメン。このエピソードで知り、ボクも映画からドラマシリーズまでを観ることにしました。映画とこのエピソードで語られる「タルサ暴動」は6月に起こるBLMを、覆面を被った「ヴィジランテ(自警団)」やリバタリアニズム、選民思想は、米大統領選をきっかけに活動を活発化させたレイシスト集団の「プラウドボーイズ」を想起させます。少し後の世界に起こる問題を予言するかのような、ウォッチメンとそれを題材にテーマを広げるスピーカーたちの神回エピソードでした。

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第5位:#035 インターネット大好き!大嫌い! Guests: 柴那典&宇野維正

第5位は昨年末に公開された「柴那典」フィーチャー会です。2010年代の総括としての語りもあります。柴さんに関してはこの後の神アベンジャーズの方で詳しく書きたいと思いますが、このエピソードではタナソーさん、宇野さん、柴さんが皆在籍した「ロッキング・オン」で受けた影響から話がスタートします。その話題で柴さんが触れたのがロッキグ・オンの創立メンバーの一人である「橘川幸夫さん」で、ボクは一緒に仕事をしたことがある尊敬するマ-ケターの一人なので、うれしくもあり、驚きもありました。

橘川さんの功績のひとつとして柴さんがあげたのが「ポンプ」という全面読者の投稿のみで作られた雑誌です。インターネットの時代で言うとSNS的でありCGM的でもあるコンテンツで構成された当時としてはとてもコンセプチャルな雑誌です。驚きとうれしさが交わるリファレンスからはじまるエピソードでした。加えて、この回では収録中に「小沢健二」から宇野さんへのリツイートがあったり、2020年代の未来展望の話題では、すぐ後にやってくるコロナ禍を予言するようなコメントがあったり。心地よい勢いを感じるハプニングと、テクノロジーとポップカルチャーが交わる予言的なコメントが飛び交う、2010年代の終わりに、2020年代のPOP LIFEにさらなる期待を感じさせてくれる神回でした。

POP LIFE:The Podcast|神アベンジャーズTOP3

第1位:宇野維正/アイアンマン

続いて、神アベンジャーズの紹介です。第1位はこの人で揺るぎないですね。POP LIFEのアイアンマンこと「宇野維正」さんです。ボクも宇野さんのスタイル、話し方、各種ポップカルチャー作品に対する説明が大好きです。前提として、ボクはスヌーザーの頃からのタナソーさん好きなのですが、そのタナソーさんと対等に会話の応酬ができる数少ないアベンジャーズの一人です。アイアンマン設定なのも絶妙で、軽快な語り口だけどシニカルで、陽キャラだけど闇深い部分も感じられて。みんなの中心にいて場を整えながら、実は自分だけは別のところの見ているという感じ。

映画を中心としたポップカルチャー作品への知識はもちろん、政治・経済・社会課題の話題にも深く、世界の空気感を作品のリファレンスにして説明する話し方がとても楽しく、そして学びになります。前述の通り、天気の子やウォッチメン、アベンジャーズシリーズ、最近では「テネット」も、宇野さんの話しを聴いてから観ることで作品の深みが2倍、3倍になりました。宇野さんをきっかけに聴きはじめたラップもたくさんあります。POP LIFEの登場回数は最も多いゲストスピーカーですが、もっと聴きたい、ずっと聴きたいと思っている、神アベンジャーズTOP1です。

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第2位:萩原麻理/キャプテン・マーベル

第2位はキャプテン・マーベルのように遅れてやってきた女性最強のアベンジャーズ「萩原麻里さん」です。今年の夏、#83のエピソードで初登場でしたが、アベンジャーズの中でもタナソーさんとの付き合いは一番長く、深いのでは?1位の宇野さんと、キャプテン・マーベル萩原さんの2人だけが、タナソーさんと対等に渡り合えるアベンジャーズだと思っています。タナソーさんのあしらい方は萩原さんが一番面白い (^^)

そんな萩原さんの好きなところはその語り口。問われたことに淀みなく、凛とした声で応える。安心感があって聴きやすい語り口です。今のところの出演は2つのテーマ、5つのエピソードのみ。たまたま両テーマともにスーパーオーガニズムの「オロノ」と一緒のエピソードへの出演になっていますが、会話のテンポが独特なオロノとも最初からスムーズに会話して、オロノが信頼を寄せている雰囲気が感じられます。数少ないフィーメイル・アベンジャーズなので、ジェンダーや結婚観をテーマとしたエピソードへの出演が続いていますが、スタンスはフェミニンになりすぎず、男性のボクにもストンと腹落ちする納得感あるオピニオンを話してくれます。もっといろいろな作品について、テーマについて。話を聴きたい神アベンジャーズです。

第3位:柴那典/ハルク

第3位はPOP LIFEのバナー博士・ハルクこと「柴那典」さんです。柴さんはボクにとって一番共感できるアベンジャーズです。年齢が近いということ、それからITやマーケティングに対する知識が深く、前述の通り橘川さんの話題や、ハンス・ロスリングの「ファクトフルネス」、ノア・ハラリなどを参照してテーマを語る点が、ボクにとってはとても分かりやすく、共感できます。タナソーさんや宇野さんから可愛がられているのもいいですね。時おり、柴さんフィーチャリング回が開催され、そしてそこで大いに弄られることがその証拠だと思います。

ポップカルチャーのみならず、ITやマーケティングへのリファレンスがたくさん話題に含まれる柴さんは、POP LIFEの頭脳でありバナー博士であるというのがしっくりきます。また、新しいポップカルチャーに、新しいマーケティングのリファレンスを重ねた話が聴きたいです。これからも注目していく神アベンジャーズです。

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「POP LIFE:The Podcast」が多くの人に聴かれますように。永く続いていきますように!

ということで、大好きなPOP LIFE:The Podcastについて書きはじめたら5000字を超える大作になってしまいました。微力ではありますが、少しでも興味を持って聴いてくれる人が増えるとうれしいです。ここで改めて、POP LIFEのオフィシャルな説明文を紹介します。

プレイリスト〈POP LIFE〉でお馴染み、三原勇希&田中宗一郎をホストに、毎回ゲストを迎え、音楽、映画、様々なポップ・カルチャーを巡る「超・雑談」によって時代や社会の変化、そこに宿る興奮をキャッチ!

この説明文の通りに「時代や社会の変化」を、ポップカルチャーから得ることにすごく大きな価値を感じています。独りよがりに話しても伝わらない、難しい言葉を並べても伝わらない。でも、映画や音楽を参照して話をすれば、少なからず興味を持って耳を傾けてくれる。今感じるべき危機感や起こすべき行動を、誰もが少しは見聞きたことがあるポップカルチャー作品を通して語ることは、聴いて欲しいことを「伝える技術」になります。少しだけ実際の場面で活用していますが、効果を実感しています。ぜひそんな視点と技術を身に着けるためにも、POP LIFEを聴いてみてください : )

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