POP LIFE:The Podcast~マンガ回で「週刊少年ジャンプ」と「チェンソーマン」と「鬼滅の刃」。そして「ワンピース」も考えてみる。

Spotifyのポッドキャスト「POP LIFE:The Podcast」で、恒例のマンガ回が公開されています。今回はマンガ回レギュラーの元シャムキャッツの夏目さん。マンガ家の西村ツチカさん。そして、新アベンジャーズとして、理系研究者/音楽批評家の八木さんがゲストで、「週刊少年ジャンプ」と「チェンソーマン」「鬼滅の刃」あたりをテーマにした超雑談です。

まさか、POPLIFEでジャンプがテーマになるなんて。週刊少年ジャンプは小学5年の頃からずっと欠かさず読んでいる、つまり30年以上読み続けている、ボクにとっては一番永く付き合っているポップカルチャーなので、めっちゃうれしいテーマです。本編での話題になっていた電子媒体「ジャンプ+」もアプリ公開直後に契約したくらいで。2つ目のエピソードまで聴いて、いろいろ触発される部分がたくさんありつつ、その中でも理系科学者の八木さんの「鬼滅の刃」の評論がとても印象に残ったので、記録しておきます。

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アニメ、マンガ、そして映画も超絶大ヒット中の「鬼滅の刃」は「継承」の物語

2020年は鬼滅の刃の年。そう言ってもいいんじゃないかと思えるほど、社会的にも影響を与えているコンテンツです。10月に公開された映画は、日本映画史に残るほどのヒットになるペースで観客動員が進んでいます。コロナ禍において、外出を自粛していたファミリー層を映画館に、街に解き放った作品とも言えるのではないでしょうか。

ただ、ボクは鬼滅の刃はフォロアーで。ジャンプでしっかり読み始めたのはアニメのヒット後。小学5年生の息子に教えてもらってから改めて読み返しました。でも、なんでヒットしているのか。今の時代の何を表象しているのか。いろいろな評論は巷に上がっていますが、いずれもしっくりこなくて。鬼滅の刃にはちょっとした距離感を持って接していました。

そんな距離感を縮めてくれたのが、今回のPOPLIFEにおける八木さんの評論です。

鬼滅の刃は「継承」の物語である。主人公がズバ抜けた才能を持っているのではなく、ずっと過去から鬼と闘ってきた人たちの積み重ねと、その中にいた一人の天才の力の一部をたまたま炭治郎が「継承」することになり、その積み重ねと継承の結果、彼らの世代で鬼を打ち破ることができたにすぎない。ボクは科学者として環境問題や気候変動に向き合っているけど、決して自分の代でそれらが解決できるとは思っていなくて、先人たちの積み重ねと、ボクが取り組んでいることが活かされて、いずれかの時代でそれらが解決できればいい。と日頃感じていたので、鬼滅の刃の継承の物語には好感が持てる。

そんな八木さんの言葉に膝を打ちました。そうか、鬼滅の刃の鬼(鬼舞辻無惨)というのは人類にとっての大きな厄災で、人々はその大きな厄災を払いのけるために何世代もかけて戦い、ついにそれを破ったんだ。そう考えると、今、この時代では解決できない大きな社会課題と向き合うリアルと重なってくるし、いずれ時代を背負ってそうした社会課題と対峙する子どもの世代へ何らかのメッセージが残るとしたら、現代に必要な作品なのかもしれません。

ちょっと勝手にオーバーコンセプトな感想かもしれませんが、市場で巻き起こる「鬼滅の刃狂詩曲」の背景としてストンと腹落ちした解釈でした。そんな解釈を頭に入れつつ、今週もジャンプを読んでいると、ふとジャンプの歴史的大ヒット作品「ワンピース」の今のシリーズのテーマも「継承」なのでは。と感じたので、加えて解釈を記録しておきます。

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「ワンピース」のワノ国編のテーマも「継承」

2020年のワンピースはワノ国を統べる黒幕である四皇カイドウとの決戦が進んでいます。主役は麦わらの一味と、20年前にカイドウに倒された主君の仇を打つために再び集った赤鞘九人男を中心とする、ワノ国の侍「おでん」の家臣たち。そう、おでんの意思や力を「継承」した家臣たちの物語なんです。敵は四皇カイドウ。四皇の中でも最強の力を持つと言われ、ずっとワノ国の民衆たちを苦しめてきたまさに厄災と言えるキャラクターです。実際にカイドウの部下には「厄災のクイーン」というキャラクターもいたりして。

鬼滅の刃と同様に、永きに渡って人々を苦しめてきた厄災を、20年間身を潜めて準備を続け、途中で倒れたものたちの意思を力を「継承」して、今再び集まって払いのけようという物語が進んでいます。深読みしすぎですが、このワノ国編は環境問題や気候変動と対峙する人類が取り組む永い戦いを暗喩する内容なのかもしれません。

もともと深いテーマや伏線がたくさんあると言われるワンピースです。これもそうかもしれないし、もしかしたら過去のシリーズにもそんなテーマが込められているのかもしれません。気になって少し遡って確認してみると、

  • 2001年の「米国同時多発テロ後」の2002年に、ワンピースの中でテロリスト的な動きを繰り返す「黒ひげ(ティーチ)」が初登場
  • 2008年の「リーマンショック後」の2009年に、時代と世代交代がテーマの「頂上決戦編」がはじまる
  • 2011年の「東日本大震災後」の2012年に、毒ガス「シノクニ」に満たされた島での戦いがはじまる

大分強引ですが、時代のナラティブと並行するような物語が描かれているとも言えます。

鬼滅の刃もワンピースも、たかだか少年向けのマンガ雑誌ではあるけれど、もしかしたら時代を表象するテーマが描かれているのかもしれない。と、そんな気づきを与えてもらったPOPLIFEのマンガ回でした。

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次の2つのエピソードで「チェンソーマン」の話題も期待しています

ブログでは鬼滅の刃とワンピースについて書きましたが、今回のPOPLIFEの大主題は「チェンソーマン」です。この作品は連載開始からジャンプで毎週欠かさずに読んできました。超絶かっちょいいけど、謎多き作品でもあるので、POPLIFEアベンジャーズのみなさんが残り2回のエピソードで示唆してくれる、チェンソーマンの解釈を楽しみしています。

それから、POPLIFEがきっかけでチェンソーマンの作者の「藤本タツキ」の前作「ファイヤパンチ」を読みはじめました。ファイアパンチはとにかく1話目がすごい。背景設定、キャラクター描写、1話中に繰り広げられる展開、タイトル描写、、ボクは知らなかったけど、すごく話題になった1話目だったようです。ジャンプのアプリ「ジャンプ+」では1話目は無料で読むことができるので、1話だけでもぜひ読んで欲しいです。

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POP LIFE:The Podcast~マンガ回で「週刊少年ジャンプ」と「チェンソーマン」と「鬼滅の刃」。そして「ワンピース」も考えてみる。

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この記事を書いた人

マーケティングに関わる仕事に20年以上携わっています。感銘を受けたポップカルチャーをマーケティング視点で記録したり、日々の暮らしや身に着けているもの、健康・投資について記録するためにブログを活用しています。

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