2010s(トゥエンティテンズ):第4章~ネットフリックス至上主義/市場主義|余暇時間争奪の最終戦争がはじまっている

2010年代のポップカルチャーのメインストリームや、そこで起きた変化を解説する本「2010s」。1周目でチェックした部分を中心に、2周目を読み進めながら感想を記録していきます。

2010sの第4章は「音楽と映画はいつの時代もポップ・カルチャーの二本柱だったわけですが、2010年代以降はテレビシリーズが三本目の柱になった。」という宇野維正さんのテーゼからはじまります。長大なストーリーを何年もかけて、複数のシリーズを経て語っていくテレビシリーズは、まさに映像ストリーミング・サービスが一般化した2010年代の産物だと思います。

その長大なストーリー&ストリーミング配信というテレビシリーズのフォーマットは人々の余暇時間を埋めるのには最適な形であり、ボクも今は音楽や読書を差し置いて、テレビシリーズに余暇時間をもっとも多く使っていると感じています。そんなテレビシリーズの旗手であるネットフリックスのCEOは人々の余暇時間をめぐる戦いの真実を示してくれていました。

目次 - post contents -

ネットフリックスが戦っているのはビデオゲームの「フォートナイト」だった

宇野 今後もネットフリックスが長編作品に力を入れていく方向にあるのは間違いなさそうですが、それはあくまでも長期にわたるテレビシリーズ、リミテッドシリーズと呼ばれるワンシーズン完結型のテレビシリーズ、コメディ作品、ドキュメンタリー作品といった数ある作品フォーマットの中のひとつでしかない。そして、あくまでもサービス全体の看板となるのはこれからもテレビシリーズになっていくでしょう。映画業界にとってネットフリックスは確かに脅威でしょうけど、ネットフリックスのCEOは「我々が戦っている相手はHBOなどではなくビデオゲームの『フォートナイト』であり、そして負けている」と語っているんですよね。つまり、映画界と競争しようなんて最初から思っていない。脅威に感じているのは映画界の方、もっと言うなら、映画館を運営している興行界なんです。

なるほど。映像ストリーミング・サービスのライバルはビデオゲーム(モバイルゲーム)であるというのは言われてみれば納得です。いずれも人々の余暇時間を以前から奪ってきたとても優秀なコンテンツでしたが、少し前まではどちらも「テレビの前」でしか消費ができないコンテンツでもありました。それが、ストリーミングになりモバイルゲームになり、今は電車の中やベッドの中でも消費することができるようになりました。

今、ボクが一番余暇時間を使っているテレビシリーズはベッドの中でタブレットを使って一人で観れる環境がなければこんなに嵌らなかったでしょう。寝落ちしても再トライがだいたいいつでもできるのも心強いです。同じ条件で音楽や本も楽しめるし、以前まではその余暇時間を音楽と本に使っていたのだけど、今は前述の通りテレビシリーズが優勢です。

で、そのライバルはフォートナイトかぁ。しかも負けているって。やってみたいと思いつつ、一歩踏み出せていないコンテンツです。自分の子どもの世代、小学生から大人までが没頭するコンテンツです。リアルな世界との連動感も素晴らしく、コロナ禍にトラヴィス・スコットがフォートナイト内でライブを行った映像を観て震えました。けれども、本当にどんな場面にでも入り込んできて余暇時間を奪っていくのが、テレビシリーズとビデオゲームです。ちょっと慎重になってしまいます。

そして、それらのコンテンツを脅威と感じている映画界だそうですが、どうでしょう。ボクの場合は映画は余暇時間の消費ではなくて、ちゃんと目的を持って、とても楽しみな時間として準備して映画館に行っていますし、そうしてこれからも映画を観に行きたいと思っています。

田中 参考として教えて欲しいんだけど、実際にネットフリックスをはじめとするストリーミング・サービスの影響で、世界的に映画の観客動員は減ってるの?

宇野 減ってないです。それは、さっきも言ったようにハリウッド映画が変質したからでもあります。日本に限って言えば、壊滅的な影響を受けているのは映像ソフト・マーケットとレンタル・マーケット。まあ、それは仕方ないですよ。CDが滅んでいったのと同じ。

映画館の観客動員数は減少していないとのこと。良かったです。でも、2010sが終わり2020年。新型コロナウイルスの影響による自粛ムードは、映画館やライブハウス、クラブへもっとも深い爪痕を残しそうです。自宅のベッドでの余暇時間を充実したコンテンツで満たすことができるようになりました。でも、ライブや映画は特別です。でもでも、そこにリスクがあるのであれば、自宅で消費するコンテンツでも我慢できるレベルになっている。そんな環境化では、リアルなコンテンツはより特別なもの、高付加価値で高価な時間を提供する場所に変わっていくのかもしれません。それでも「行く」という選択をしたいと思っています。

で、TSUTAYAですね。ボクは数年前まですんごく、とってもお世話になっていたサービス、店舗でした。金曜日の夜にTSUTAYAで30分でも音楽や映画を選ぶ時間が持てたら最高。そんな生活を送っていました。が、今はまったく行っていません。カードの有効期限が切れてそろそろ1年が経つのではないでしょうか。

昔からポップ・カルチャーが好きで、音楽も本も映像作品もたくさん観聴きしてきました。なるべく自分の余暇時間をそれらで埋められるようにしてきました。今、本は「電子書籍」で、音楽と映像作品はストリーミング・サービスで観て聴いています。そうすることで、ボクの余暇時間は今までよりもずっと充実していますし、余暇を余すことがなくなりました。本屋もCD屋もレンタルショップも。なくなってしまうのは寂しいけれど、そことは別の場所で余暇時間争奪の最終戦争は起きています。

強制的な自粛生活を体験したことで、家での余暇の消費はより進むでしょう。テレビゲームも含めて、自分の余暇時間の使い方をもう少し見つめなおしてみようと、そんな気持ちになりました : )

「2010s」の感想は「2010s/トゥエンティテンズ」のタグでまとめていきます
2010s(トゥエンティテンズ):第4章~ネットフリックス至上主義/市場主義|余暇時間争奪の最終戦争がはじまっている

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

sharing is!

この記事を書いた人

マーケティングに関わる仕事に20年以上携わっています。感銘を受けたポップカルチャーをマーケティング視点で記録したり、日々の暮らしや身に着けているもの、健康・投資について記録するためにブログを活用しています。

コメント - comments -

コメントする

CAPTCHA


目次 - post contents -