MCU:アベンジャーズで2010年代を振り返る~フェイズ3(後半)のテーマは、気候変動と社会活動家と今やるんだということ。加えてコロナウイルス。

昨年末から2010年代を振り返るために観はじめたマーベル・シネティック・ユニバース(MCU)の作品、いわゆる「アベンジャーズ」のフェイズ3までをついに観終えました。合計23作品。長かったけど、楽しく、そして大きな興奮とともに観終えることができました。

最初のきっかけは田中宗一郎(タナソー)さんのポッドキャスト「POP LIFE:The Podcast」と「2010s」という本でした。2010年代の社会の空気感や社会課題をリアルタイムに作品に反映して、オーディエンスにエンターテイメントとしてメッセージを届ける作品たちでしたが、今、世界中がコロナ禍に揺れる状況でボクは、このアベンジャーズの作品たちに触れることができたのが幸運だったと感じました。

フェイズ3の前半まで観終えて、ボクは以下のようにフェイズに反映されたテーマを感じてきました。

テロやシンギュラリティ、大災害や気候変動。我々が直面する脅威や社会課題はたくさんあり、それらはいずれも真剣に解決に取り組み続けなくてはいけないことだと実感しています。でも、今目の前で200万人の人々が罹り、10万人以上が亡くなっている新型コロナウイルス(COVID-19)のような脅威が2020年代のはじめに全世界を対象にして起こるなんて想像できた人はいないでしょう。

フェイズ3の前半「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」で、サノスが鳴らした指のスナップは「気候変動」のメタファーだと言われています。それによって宇宙の生物の半数が無差別に消されてしまいました。取返しのつかない大きな問題に対して、ヒーローは人類はどう戦うのか。今ならCOVID-19と戦うために、アベンジャーズからなんらかのヒントが得られるのではないかとさえ思えてきます。

大きな期待を持って臨んだ、アベンジャーズのフェイズ3(後半)の以下の4作品の感想を記録しておきます。

20.アントマン&ワスプ(2018)
21.キャプテン・マーベル(2019)
22.アベンジャーズ/エンドゲーム(2019)
23.スパイダーマン/ファー・フロム・ホーム(2019)

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20.アントマン&ワスプ(2018)

フェイズ3の「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」の次の作品は「アントマン&ワスプ」です。公開順はエンドゲームの後ですが、物語の中はインフィニティ・ウォーより前の世界が描かれています。

「アントマン/スコット・ラング」はインフィニティ・ウォーの戦いには参戦していませんでした。その理由はフェイズ3の最初の戦い「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」で、ソコヴィア協定に反対する「キャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャース」側について戦ったことによって、自宅軟禁処分を受けていたからでした。

スコットは正義感とユーモアセンスが溢れるめっちゃよいキャラクターなのですが、格差社会の中でいつも損な役回りを受け入れるポジションにいます。今回もアベンジャーズから分断され、家族からも分断され、前作で一緒に戦った「ハンク・ピム」「ホープ(ワスプ)」とも分断され、FBIに監視されつつ軟禁生活を送っています。

そんな軟禁生活もあともう少しというところで、またいつぞよやと同じように自分が望まない戦いに助けを求められて、リスクを背負ってその戦いに挑むことになるのです。一度入ったら戻ってこれないと言われていた量子世界、そこに閉じ込められたままだったピムの妻、ホープの母である「ジャネット」を救い出します。軟禁生活もなんとか無事に勤め上げました。

さらに兵器問題の犠牲者だった「ゴースト/エイヴァ」を救うために、また量子世界に飛び込んで、目的だった量子ヒーリング粒子を手に入れたところで、インフィニティ・ウォーの作中で「サノス」が指をスナップするのです。ピムもホープも消滅してしまい、スコットは量子世界に取り残されたまま、アントマン&ワスプは終わります。

21.キャプテン・マーベル(2019)

次の物語は「キャプテン・マーベル」です。時代は1995年まで遡りストーリーが進みます。そこでは記憶を失った女戦士「キャプテン・マーベル/キャロル・ダンヴァース」と、後のS.H.I.E.L.D.長官である若き日の「ニック・フューリー」の出会いが描かれます。

キャロルは大きな力を持ってしまったがために、記憶を改ざんされ兵器としてクリー人に育てられました。時おり地球で空軍にいたころの記憶がフラッシュバックしますが、そこでは男性に囲まれ罵声を浴びせられる場面が映し出されます。

アベンジャーズの終盤になって初登場したキャロルはシリーズの中で唯一の女性主人公であり、兵器問題とジェンダー問題を提起するキャラクターです。しかし、力は最強。現状が偽りであたこと、過去の真実を知った上で、ゆるぎない力と心を持つヒーローになります。

フューリーの力を借りて本当の自分を取り戻したキャロルは彼と固い絆を交わします。フューリーははじめて宇宙からの脅威を自身で体験し、大きな脅威に立ち向かうためにヒーローを集める計画の本格的な推進をはじめます。その計画の名前は過去にキャロルが操っていた空軍機の機体に描かれていた「アベンジャー」から取られました。そして、インフィニティ・ウォーの最後、消えゆくフューリーがポケベルを使って連絡を送っていたのがキャロルであり、キャプテン・マーベルの最後は半数以下になってしまったアベンジャーズのメンバーの前にキャロルが現れる場面で終わります。

キャロルが加わったアベンジャーズの最後の戦い「エンドゲーム」がはじまります。

22.アベンジャーズ/エンドゲーム(2019)

ついに「アベンジャーズ/エンドゲーム」です。

宇宙上の生物の半数を失ったヒーローたちは、その絶望的な状況・脅威にどう立ち向かうのか。前述の通り、サノスは気候変動のメタファーだと言われています。同時に今、コロナウイルスに200万人近くの人類が罹り、10万人を超える死者を出すという脅威にどう立ち向かうのか。そんな現実のアクションにリファレンスできないものかと、そんな視点を持って観ました。

そして、アベンジャーズがとった手段は「過去に戻る」でした。現実のアクションにはなかなか参照しづらい行動です。でも、一生懸命考えてみます。気候変動に対して、今のコロナウイルスに対して、だからこそ今すぐ、本当の絶望に陥る前に行動せよと、そんな風に受けとめます。

気候変動はまったなしと言われています。その社会活動家(アクティビスト)は強い言葉でそれを訴え、多くの支持者もいます。コロナウイルス、特に日本は「今」が大切です。欧米諸国が感染爆発し、経済機能がストップしている状況を見て、まだそこまでの状況に至っていない日本は感染爆発を防ぐために、先に経済をストップさせてでも動くべきなんだろうと思いました。

どんなアクションにもアンチはいます。アベンジャーズたちも強大な力を持ったがために抑圧され、分断されてきました。でも、やるのです。サノスも、ボクは彼をピュアで過激なアクティビストと捉えましたが、同様ですね。宇宙の均衡を保つために、そのために増えすぎた生物の半数を消すことが必要だと信念を持ち、ヒーローに止められつつもやり切りました。

絶望的な状況・脅威に直面し、過去に戻ってやり直したアベンジャーズが教えてくれたのは、ボクたちは「今」やるんだ。ということ。誰に何を言われても。

印象的だったシーンもメモしておきます。

最初に、宇宙船の中に取り残された「アイアンマン/トニー・スターク」と「ネビュラ」を、キャロルが助けにきた場面。宇宙船ごと抱えて地球へ戻るんですよね。光に包まれて神々しく登場したキャロルの姿は本当に希望そのもの。という印象でした。そして、スタークと「ペッパー」の再会と抱擁。誰が消えてしまったかわからない状況で、偶然に二人とも生き残り再会できた喜びと、消えていった仲間たちを想う悲しみが同居して心が揺さぶられる場面でした。

次に晩年のサノスの様子。強い信念を持って、多くの人たちからの抵抗を退け、自分の信じる行動を起こしたサノスの晩年は悲しい姿でした。脅威と戦い、アンチと戦うアクティビストの晩年は疲れ切ったこんな姿なのではと考えてしまいます。そして、力も失ったサノスは「ソー」のストームブレーカーによって一撃で倒されてしまいます。

それから、アントマンであるスコットの活躍。彼の不器用だけど実直で、ユーモアセンスあふれるキャラクターはアベンジャーズの中でもトップクラスに好きです。その彼がキーマンとなり、生物の消滅から5年たち、ヒーローたちにも疲れや諦めが見え隠れしているころに、その実直さで新たな希望と説き、仲間を集めてまわる様子がとてもよかったです。

そして、サノスに消されたアベンジャーズたちも戻り、最終決戦へと臨む場面。22作目にして「キャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャース」がはじめて『アベンジャーズ。アッセンブル。』と号令をかけます。エンドゲームは過去のアベンジャーズ作品の世界に入り込み、その裏側で壊れてしまった宇宙を戻すためにアベンジャーズたちが行動を起こします。それはその以前の21作を見てきたファン冥利につきる展開であり、分断されることが多かったアベンジャーズたちが最後に勢ぞろいするこの場面もファンが待ち望んだ場面です。10年以上かけてここにたどり着いた、そんな感慨深いものがあります。

最後に、エンディングの直前。過去の世界にインフィニティ・ストーンを返しに行ったスティーブの話。彼は現在に戻ってくることなく、ふと気が付くとその場面に立ち会った「ハルク/ブルース・バナー」「ファルコン/サム・ウィルソン」「ウィンター・ソルジャー/バッキー・バーンズ」の視線の先には年老いた男がベンチに腰掛けています。それは、過去の時代に戻って生きたスティーブの現在の姿でした。好々爺になったスティーブは遠くを見ながら「自分の人生を生きてきたよ」と少しだけ話して、戦いを共にしたキャプテン・アメリカの盾をサムに引き継ぎます。

10年以上にわたるアベンジャーズ:インフィニティ・サーガを締めくくる、美しい終わり方でした。

23.スパイダーマン/ファー・フロム・ホーム(2019)

おっと。アベンジャーズ:インフィニティ・サーガの本当の終わりはこの「スパイダーマン/ファー・フロム・ホーム」でした。

あまりにも濃厚で重厚な物語の一区切りのあと、どんなストーリーだったら満足できるのかとちょっと心配しながら観はじめましたが、とても爽やかでよい作品でした。

本作のヴィランは砂・水・風・火の4つの怪物の集団「エレメンタルズ」で、サノスに続いて気候変動のメタファーを感じる敵です。というのは実はフェイクで、それらの怪物をAi、ドローン、VRで操るニセヒーロー「ミステリオ/クエンティン・ベック」が黒幕でした。ベックはかつてスタークの会社で働き、スタークに恨みを持つ人物です。気候変動との戦いかと思いきや、シンギュラリティやテロリズムとの戦いが「スパイダーマン/ピーター・パーカー」の今回の使命です。

彼のテーマはもうひとつあって、エンドゲームで亡くなった父親のような存在だったスタークからの卒業とアベンジャーズの次期主力としての自覚を持つこと。そして、それを通して大人の男になることです。インフィニティ・サーガの最後のチャプターが、そうしたパーソナルなテーマ、次期シリーズにつながるテーマであることがとても爽やかに感じました。

パーカーははじめ、スタークが亡くなったこと、次世代のヒーローとして世界の期待を集めること、でも高校生の想い出を作りたいこと、想いを寄せる「MJ」と結ばれたいこと。そんな葛藤に悩み、その悩みをベックにつけこまれ、騙されてしまったり。。など、ハイティーンのもどかしくも爽やかな姿を見せてくれます。

そんなプロセスを経て、スタークや世界の想いを受け止める決意をし、難局を乗り切り、ちゃんとMJとも結ばれる。最後にベックの謀略によって、悪者にされかつ正体をバラされるというオチがつきましたが、それでもインフィニティ・サーガを爽やかに締めくくってくれました。社会的な課題と戦っていても、一人の青年でもある。アベンジャーズシリーズは今、課題とちゃんと向き合えよ。というメッセージとともに、自分の人生も生きろよ。と、そんな風にメッセージして締めくくってくれた気がします。

♪  ♪  ♪

POP LIFE:The Podcast2010sに触発されて、昨年末から一気に観たアベンジャーズですが、何度も言いますが今観ることができてよかったです。2010年代の社会の空気をどのように反映しているのかを注意深く考えながら観てきましたが、途中から現在進行している世界的な課題であるコロナウイルスの問題が重なって見えてきました。

大きすぎて普段は見えづらく、でもふと思い出すと大きすぎてどうしてよいのか不安になる問題がたくさんあります。これまで未経験だった問題も多いです。リファレンス先がないそんな問題に対して、これからはアベンジャーズのヒーローたちのアクションを想い出して考えてみたいとも思います。

大きすぎる脅威と真正面から向き合わなければならなかったとき、いつか「アベンジャーズ。アッセンブル。」と言ってみたいと思います : )

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