COVID-19危機がこれまでの危機と何が違ったのか~POP LIFE:The Podcast「2020年映画総括新年会」

今回のSpotifyのPodcast「POP LIFE:The Podcast」のテーマは「2020年映画総括新年会」です。ホストの田中宗一郎(タナソー)さんと三原勇希さんに加えて、ゲストはPOP LIFEアベンジャーズの宇野維正さんと木津毅さんの4人による映像作品と映画を取り巻く環境・構造についての話しでした。

映像作品が発表される環境が、映画館からストリーミングサービスへと徐々に移り変わっていること、それから、そのムーブメントがCOVID-19の外出自粛によって加速したことは周知の事実です。そんなファクトを起点として、良質な作品の創られ方とその反動。それから自分の仕事にまで想いを馳せることになる超雑談でした。

今回の放送で記憶に残ったトピックスをメモしておきます。

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ますますハイコンテクスト化する映画と日本におけるその反動

木津さんから「ますますハイコンテクスト化する映画」が2020年の映画界の出来事として挙げられました。そして同年を代表する映画として、宇野さんから「Mank マンク」と「シカゴ7裁判」が、木津さんから「ペイン・アンド・グローリー」と「ブルータル・ジャスティス」が挙げられます。いずれも、普通に暮らすハイティーンや妻に、どうオススメして良いのか分からない、高文脈な作品として紹介されます。本作品のみでなく、歴史やクリエイターや演者など作品の外側にある背景を理解しないと解釈できない映像作品が多くなり、それらはこんな時代でも映画館に足しげく通う「好事家」のためのものになっていく、なってしまっているという問題意識です。

そんな問題意識に対するアンチテーゼとして、宇野さんからは2020年に日本国内で人気を集めた2作品が挙げられます。「鬼滅の刃」と「愛の不時着」です。鬼滅の刃は、登場人物の考えていることがすべて言葉となって表現されているもの。愛の不時着は、いつも回想シーンで説明してくれるもの。と説明がなされます。作品の外側から参照点を見つけないとならない前段の作品に対して、作品の中のことさえ、全部説明してくれる後段の作品。ハイコンテクストで考えさせられる世界の良作品に対して、何も考えずに観ても理解できる作品が日本におけるヒット作品です。

娯楽とはなにか。を考えさせられます。ボクは「ブレイキング・バッド」に「ゲーム・オブ・スローンズ」に、「アベンジャーズ」にあった今の時代を表象するコンテキストを感じられるようになったのはそんな遠い昔ではありません。それらを感じずに観る映画も楽しかったけれど、それらを感じられるようになって仕事にマーケティングに、自分の生き方などにも活かせるようになったとも思います。どちらが良いとは言わないけれど、なるべく多数の視点から物事を見て、なるべくこうして文章に残しておこうと。そんな想いに至ったトピックスです。

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COVID-19危機がこれまでの危機と違う点は「株価」が落ちなかったこと

もう一つ。映画界における、配給会社と興行(映画館)を巡る日米の構造の違いについての話題の延長で、宇野さんが話したことがとても頭に残ります。それは「COVID-19危機がこれまでの危機と違う点は「株価」が落ちなかったこと」。そしてそれは「世界は投資家と経営者によって回されていること」が要因にあるということでした。COVID-19によって多くの人たちが傷つき、身体的にも経済的にも苦境に立たされているが、投資家と経営者は傷を負っていないどころか、危機以前よりも懐が潤っていると話します。

そのオピニオンに対し、タナソーさんが示した例も衝撃です。「それは、戦争と同じ構造だよ」と。戦争は世界の人口を減らし、新たな産業を生み出し、生き残った人たちに新たな収入をもたらすために定期的におこる構造になっていると。さらに「現場にいるモノを創っている人は大変だよ。でも、それらを動かしている経営者は潤っているんだ」とも言います。

これは、とても悩ましい気づきです。ボクは会社では経営に近いポジションにいるけれど、役割としては圧倒的に前者の「モノを創る人」です。ボクより上の人たちは、間違いなく経営者です。この構造を変えられるのか、もしくは変えたいと思えるのか。だって、これも圧倒的にモノを創っている方が楽しいと思ってしまっているし。だから、この立場・立ち位置から変えられる構造はないものかと、悶々としながら考え続けようと思います。

リーマンショックや同時多発テロや、東日本大震災とはまた違う危機が今ここにはあります。その危機を機会に変える支配層たちがショック・ドクトリンを伺っています。規模は全然違うけど、身近な事柄に置き換えてみるとハッとさせられる環境もあります。ハイコンテクストな映画と、何も考えられずに楽しめる映画が表象する構造でもあるような気がしてきます。こんなの答えなんてでてこないけど、最近改めて座右の銘にしようと思った「Everything’s Gonna Be Alright」の精神で、現状に危機感を持ちつつ、でも未来は明るいという姿勢で、なるべく多くの視点で見て考えて、なるべくこうして文章に残すように行動を続けます : )

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