映画「マーベルズ」を観ました。劇場はTOHOシネマズ日比谷、残念ながらIMAXでの上映には間に合いませんでした。
世界的にはマーベルのMCU史上もっとも興行成績が悪かった映画となってしまったマーベルズ。しかし、個人的にはとても良い作品でした。今年のテーマとして感じていた「謝罪と方向転換」に沿う、来年に向けての希望が感じられるストーリーになっていました。背景とストーリー、撮影と編集について整理しておきます。
マーベルズ —— 作品の背景について
ヒーローが大集結した「エンドゲーム」を経ても、ずっと最強で冷静で孤独を貫き通してきた「キャプテン・マーベル/キャロル・ダンバース」が、はじめて弱気と後悔を表に出し、それによって仲間を得た作品でした。今、世界では間違った行動をとってしまう人・国がたくさんあります。その行動を正当化しようとすることにファナティックになり、余計に社会から孤立してしまう。そんな側面を表象するのが、最強で冷静なキャプテン・マーベルでした。しかも、彼女は世界を牽引するアングロサクソン系のルックをしています。ロシアや中国、イスラエルやパレスチナだけでなく、主要先進国にも反省して謝罪すべき点があるのではないか。
そんな彼女が反省と謝罪をしたとき、隣にいたのは世代もレースも違う2人の女性でした。立ち位置が違っても、過ちを認めることができれば、きっとそれを受け止めて方向転換を支持してくれる人たちがいるんだと、そう思わずにはいられません。来年はそういう人たちが間違いを認めて方向転換して、良い方向に向かえばいいなと。マーベルズを観て想いました。そんな中で最高なのが、「ミズ・マーベル/カマラ・カーン」です。彼女は若く、たくさん失敗するけれどすぐに謝罪します。この軽やかなスタンスこそが、仲間を作り、チームを世界を良い方向に導くアクションなんだとも確信しました。
マーベルズ —— 作品のストーリーについて
地球の周囲には不安定なジャンプポイントが発生し、電磁波の異常が起きていました。それらの発生原因は、量子バンドを手に入れたクリー帝国の最高司令官「ダー・ベン」です。ダー・ベンはかつてキャプテン・マーベルの過ちによって失われた自らの星の資源を代替するために、量子バンドとジャンプポイントによって宇宙のあらゆる星から資源を奪おうとしていたのでした。
不安定なジャンプポイントを発見した「ニック・フューリー」は、キャプテン・マーベルに調査を依頼します。彼女はかつての親友の娘であり研究者の「モニカ・ランボー」と合流し、ジャンプポイントの調査をはじめます。その過程で、ジャンプポイントに触れたキャプテン・マーベルとモニカ・ランボーは、地球にいたミズ・マーベルと入れ替わってしまいます。いきなり宇宙空間に放り出されてしまったミズ・マーベルは、フューリーに救助されますが、憧れのアベンジャーズと対面し、無邪気に喜ぶのでした。やがて、フューリーの元に戻ってきたキャプテン・マーベルとモニカ・ランボーとも初対面を果たし、世代もレースも違う光を操る女性3人が共闘を誓います。マーベルズの誕生です。
光の力を使うと入れ替わってしまう現象を活かし、戦い方のトレーニングを行う3人。最初はバラバラだった動きも気持ちも、トレーニングと対話を繰り返すたびに徐々に形になっていきます。その過程では、明るく前向きなミズ・マーベルのふるまいが結束を固めるための力となっていました。結束を経て、ダー・ベンの企てを阻止する3人。その道程で、ダー・ベンの目的を知り、またキャプテン・マーベルの過去の過ちも知ることになります。常に最強で冷静だった彼女がはじめて顔を歪めます。寄り添うモニカとミズ・マーベルは、ダー・ベンの企てを阻止した後に、クリー帝国に謝罪と罪滅ぼしを行うようにキャプテン・マーベルを励まします。
弱さと過ちを知った3人はさらに結束を高め、量子バンドの力を操るダー・ベンと対峙します。3人の連携によってダー・ベンを倒し、光の力を使ってジャンプポイントを閉じようとする3人ですが、モニカ・ランボーだけジャンプポイントの裏側に飲まれてしまいます。モニカを失った悲しみに打ちひしがれる2人のマーベルですが、ミズ・マーベルは地球に帰還し、キャプテン・マーベルは約束を果たすためにクリー帝国へと向かいます。キャプテン・マーベルは光の力を使い、かつて自らの過ちで消滅させてしまった人工太陽に再び炎をともすことに成功しました。
一方でモニカは違うバースの世界で目覚めます。また、ミズ・マーベルはヤング・アベンジャーズの仲間を集めるために、「ケイト・ビショップ」のもとを訪ねていました。マーベルズは一人ずつ新たな歩みをはじめ、また新しいアベンジャーズが結成されようとしていました。
マーベルズ —— 撮影と編集について
そのふるまいがとにかく最高なミズ・マーベルは、戦闘シーンの撮影と編集にとってもとても大きな功績があると感じています。飽和状態だったアベンジャーズの戦闘方法・シーンに、光の物質を生み出して戦うという撮影・編集は今までにない戦い方と新しい視覚表現をもたらしました。光の物質を次々と生み出し、それをドスドスと不器用に駆け上がるミズ・マーベルの姿には興奮と応援したい気持ちが湧き上がります。
前述の通り、興行成績はシリーズ最低となってしまうであろう作品です。作品数が多すぎる。ドラマシリーズを観てからでないと映画が楽しめない。などなど、最低となってしまう背景はたくさんあります。しかし、とにかくミズ・マーベルはあらゆる意味で最高です。マーベルはミズ・マーベルのように軽やかに謝罪をし、方向転換をして前に進んで欲しいと思う作品でもありました ( :
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