映画が好きだから。という視点に加えて、社会の空気を映す鏡としてというマーケティングの視点でも、映画興行収入成績のランキングをベンチマークしています。今月6月9日~11日の全国週末興行成績を確認します。
■全国週末興行成績:2023年6月9日~11日 (興行通信社)
- リトル・マーメイド
- ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー
- 怪物
- ワイルド・スピード ファイヤーブースト
- 憧れを超えた侍たち 世界一への記録
- 名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)
- M3GAN ミーガン
- 岸辺露伴 ルーヴルへ行く
- 劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD
- 劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室
先週末の全国週末興行成績は、公開初週となった「リトル・マーメイド」が3日間で動員46万1000人、興収7億1200万円を記録し初登場1位、2位には「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」、3位に公開2週目の「怪物」がランクインしました。今回のメルマガでは1位のリトル・マーメイドと、3位の怪物に注目したいと思います。
まずディズニーの名作アニメの実写映画化となるリトル・マーメイドは、公開前から作品の内容ではなくキャスティングで賛否を巻き起こしました。アニメでお馴染みのキャラクターとは違う肌の色の俳優「ハリー・ベイリー」を起用したことで、古くからあるアニメの世界観を壊してしまったという批判にさらされながら、それでもディズニーは、2020年代のリトル・マーメイドに多様性を求める判断をしました。
監督:是枝裕和×脚本:坂元裕二×音楽:坂本龍一という制作陣が話題となった怪物は、カンヌ国際映画祭で脚本賞を獲得し、世界的な評価も得ていよいよ公開となりました。もうひとつ、カンヌ映画祭ではLGBTやクィアをテーマとした作品から選ばれる「クィア・パルム賞」も受賞しています。作品のストーリーに触れることなので詳しくは書きませんが、日本を代表する制作陣も映画のテーマのひとつに多様性を採用しました。
冒頭にも書きましたが、映画は社会を映す鏡とも言われています。ダイバーシティを採用する、推進する作品がランキング上位に並ぶこと、そしてそれを採用することで批判が噴出することがあっても、制作陣・配給会社は胸を張って世界中に公開していること。これからの企業姿勢やマーケティングでも参考にするべき姿勢なのではないかと思い取り上げました。
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