年代ターゲットを問わない時代がやってくる。

博報堂生活総合研究所は毎年発表している「生活定点データ」の2022年の調査結果と、20年前、30年前の調査結果を比較して「消齢化」というキーワードを発表しました。価値観や嗜好を年代/年齢によって塊として捉えることはよく行われていますが、以前は大きかった年代による価値観や嗜好の違いが、実は年々小さくなっていることから考えられたキーワードです。

​​​​生活定点データの調査結果では、年代ごとに違いが小さくなっている項目数は30年間で見ると70項目、20年間で見ると172項目にのぼり、違いが大きくなっている項目数を大幅に上回っていました。経済格差など量的な差が広がる中、生活者の日ごろの感情や生活行動、消費態度、社会観など多角的な質問から、生活者の意識や欲求が長期間でどう変化したのかを見ると、「意識や欲求」といった質的な面では違いは小さくなりつつあります。マーケティングにおいて、年代でターゲットを設定することが失敗の原因となるのかもしれません。

そもそも生活者を「ターゲット」と呼ぶことにも注意が必要です。2021年11月に食品メーカーの久原本家グループが日経新聞に出した企業広告は「お客さまをターゲットと呼ぶ人は、ちょっと苦手です。」とメインコピーで謳っていて、ハっとさせられました。ターゲティングや戦略・戦術など、マーケティングでは相変わらず軍事用語がたくさん使われています。分断が進む世界で、企業と生活者との関係も共創やエンゲージメントの重要性が高まっています。日常的に使う言葉から姿勢を正していく必要があるのかもしれません。

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この記事を書いた人

マーケティングに関わる仕事に20年以上携わっています。感銘を受けたポップカルチャーをマーケティング視点で記録したり、日々の暮らしや身に着けているもの、健康・投資について記録するためにブログを活用しています。

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