コトラーのマーケティング5.0 ―― 二極化する世界の整理

マーケティングに関わる仕事を20年以上続けています。折に触れて、マーケティングの変遷に触れるとき、考えるとき、その道しるべとしてきたのが、マーケティングの父「フィリップ・コトラー」がまとめてきた、「マーケテイング×.0」の整理です。縦横無尽に広がるマーケティングの全貌をつかむことはできないけれど、その突端に触れる上で、こうした整理はとてもありがたく貴重です。

それができるのは、コトラーの変化をつかむ、ケースを集める「聞く力」と、それらを体型立てて分かりやすく伝える「まとめる力」の力強さがあってこそだと思っています。ご本人の年齢的にも、内容も、その集大成になると思われる、「マーケティング5.0」を自分なりの解釈も加えながら記録していきたいと思います。

「分断」と向き合う10年となる2020年代。コトラーは二極化する世界と社会と人々をこの本で整理しています。

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マーケティング5.0 ―― 二極化している社会

最上層の人々は繁栄し、その一方で最下層の人々は苦しんでいる。しかも、ほとんどの人がその格差を埋めることに関心がないように見える。(中略)われわれが直面しているサステナビリティの問題、すなわち未来の世代に何を残すことになるかを考えずに、現在の世代が環境を 搾取 しているという問題を表している。

実際、人類のもっとも難しい問題の一つは、富める者と貧しい者の格差が拡大し、生活のあらゆる面で社会を激しく二極化させていることだ。ジェンダー平等やクリーンエネルギーやスマートシティに関する議論は、エリートの間で目立っているにすぎない。その間、ピラミッドのもう一方の端にいる人々は、貧困から抜け出して食料や医療や基本的な衛生設備へのアクセスを得ようともがいている。だから、社会変革は、豊かなアーリーアダプターとあまり豊かではない大衆との隔たりを概して越えられない。

コトラーのマーケティング5.0 ―― フィリップ・コトラー

改めて、ボクは「分断」には人よりも意識的だと思っています。映画を観て、音楽を聴き、それらに対するオピニオンを確認することで「分断」される世界を認識しています。飲み会でお金の話しばかりする先輩に辟易として、「なんぼ稼ぎたいん?」なんていう問いに対して、「リベラルなので、あまり執着していません」なんて回答したりしています。だけど、そんなときにはその先輩を軽蔑していたりすることに気が付き。それこそが「分断」であり、二極化であることを、本書を噛みしめながら実感したりします。

グリーン・トランスフォーメーションは必須だと考えていて、資源もモノも大切に永く、サスティナブルに使えるようにと生活しています。一方で、資源やモノを大切にしない人たちにいらだったりします。ジェンダー平等、ダイバーシティを重視しなくてはと気を遣っていますが、ミソジニーやレイシストな発言をする人たちに嫌悪感を持ったりします。「分断」を意識していても、その自分さえも分断や二極化の一部に加担していることに振舞いの難しさを感じます。

この振舞いの難しさは、人対人の場合だけではなく、企業対生活者でも同様です。意識的にブランド・アクティビズムを表明しないと、消費アクティビズムによって淘汰されることになります。コトラーはこうした分断・二極化を以下のように一歩踏み込んで整理しています。

格差による分断、思想による分断に加え、ライフスタイルと市場(商品・サービス)の選択に関する分断を整理しています。いずれも地続きであるとも考えることができます。右(保守)側にいる人が選ぶ思想・ライフスタイル・商品とサービスと、左(リベラル)側にいる人が選ぶそれは、対極にあって交わらない直線を歩いている姿も見えてきます。

それらをより可視化するために、コトラーは以下のようなチャートを提示しています。

左側の直線をまっすぐ歩いていたつもりだったのですが、上のチャートで確認するとそうではない領域も見えてきたりします。二極化にもグラデーションがあり、人それぞれ曲がりくねりながら選択をしていることにも、ここで気が付きます。マーケティングの視点では、このグラデーションを見逃さずに観察することが大切だと認識しました。

「分断」に煽られ、ときには「分断」を助長したりする。生活者にはそんな側面がありながら、しかし実は生活に思想にグラデーションがある。全体でもなく、右や左だけでもなく、曖昧で優柔不断な人の気持ちに寄り添い、行動を観察してより良い方向へとともに向かうのが、分断の時代のマーケティングであるとここでは学びました。

二極化する世界でのふるまいに気を付けます : )

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