2021年8月末。悲しい熱にうなされた夏が終わろうとしています。COVID-19のパンデミックが広がり続けて1年半。このウイルスが人々にもたらした最大の病巣は「分断」ではなかったのかと思います。
ボクの夏はというと。最初に締めくくりとして、先週には2回目のワクチン接種を終えました。モデルナワクチンです。副反応は37℃台の熱が出て、ちょうど残暑が厳しい時期の接種だったということもあって、寝苦しい夜が2日ほど続いたぐらい。概ね問題ありません。
遡って、夏のはじまりには1年延期されて、無観客で行われた東京オリンピックを家のTVにかじりついて観戦し、興奮していました。一番のハイライトは「ソフトボール」かな。次点で「野球」。どちらも期待通り金メダルと取ってくれたことも大きいけど、自国開催の優勝候補というナーバスになりがちな状況を、チームメイトみんなで明るく楽しくプレイしようという姿勢が伝わってきたところがとても気持ちが良かったです。ピンチのときにはマウンドに集まって密にコミュニケーションする姿がうらやましくもありました。
それから、営業時間の短縮が続いていてなかなか観に行けなった映画館に夏休みを利用して行きました。館内はソーシャルディスタンスで、アルコールの提供もなし。でも、やっぱり大画面と大音響で見聞きする作品は記憶に残ります。ステイホームの夏休みには、家でもドラマ、映画をたくさん見ました。映画館では「ブラック・ウィドウ」と「イン・ザ・ハイツ」を。家で観た作品では坂元裕二脚本作品の「大豆田とわ子と三人の元夫」と「カルテット」、ネットフリックス映画の「ハーフ・オブ・イット」が良かったです。いずれも女性活躍の物語。今の時代は、住み慣れた街や家族の元を離れて夢を叶える女性と、それを優しくサポートする男性という構造が美しく、勇気づけられるのだと実感しました。
最近、ご無沙汰している「フジロック」を生配信で観ました。今年は日本人アーティストのみで開催されるフジロックでした。だからという面もありますが、とてもウェットなステージが多かった印象です。そして「分断」を懸念し、「分断」を悲しがるアーティストがとても多かったのも印象的です。
晩夏には高校野球とパラリンピックを観ていました。パラリンピックでははじめて「車いすラグビー」という競技を知りました。車いす競技で唯一ボディコンタクトが許されている競技。その激しさへの驚きに加え、そうした競技が男女混合で行われること。日本代表に「倉橋香衣選手」という美しい女性が出場していることにさらに驚きました。ここでも女性活躍が。男女の壁を取り壊し、さまざまなレベルの障がいを持つ選手が活躍できるルールと役割がある車いすラグビーは、もっともダイバーシティを体現する競技ではないかと感じます。
さて、そんな風に緊急事態宣言下でありながら、楽しませてくれたり、興奮させてくれた作品やイベントたちですが、そのいずれもが「分断」の問題に直面しています。無事に2回目の接種を終えたワクチンもそう。いまだに、ワクチン派と反ワクチン派という分断があり、身近にいる反ワクチン派の人たちからは、ソーシャルメディアを通して、ワクチンに対する不安を煽る情報が届けられます。
オリンピック/パラリンピックの開催に関する是非は、この夏に予定されていたすべてのイベントの開催の有無に影響を与え、人々のオピニオンを「分断」する大きなきっかけとなりました。きっとオリンピックが決行されたことが開催決定の意思決定に大きな影響を与えたフジロック。ここでは、音楽ファン同士の「分断」、音楽に関心がない人たちとの「分断」、参加を決めた、止めたアーティストたちの「分断」と、幾重にも「分断」の層が見て取れます。
さらに悲しいのは、開催地である苗場の住民のみなさんとの間にも「分断」が発生してしまったこと。苗場での開催がはじまった頃には「乱暴なロックキッズたちが大量に押し寄せる」と不安を露わにしていた地元の人たちですが、世界一クリーンなフェスを目指して、運営・アーティスト・参加者が気遣いと心配りで徐々に信頼を得て、住民のみなさんと築いてきた20年近い関係値が崩されてしまったこと。
この夏はすべての行動に決断が必要で(映画ひとつを観に行くにしても)、どんな決断をしてもそこに必ず「分断」が発生してしまう夏でした。どの道を選んでも正解はなく、すべてが「分断」に行き着く世界ほどつらいものはありません。争いごとが嫌いなボクは今、貝になってこの「分断の時代」をやり過ごそうとしています。たった今はそれしかできることがなく、やるせない気持ちもあり、それもつらいけど、ステイホームの貝になる機会をインプットの機会として、COVID-19と「分断」を終わらせる道を見定めていこうと思います : )
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