シャン・チー/テンリングスの伝説 ―― ファナティックになりがちなローカル・イシューから視点を上げて、グローバル・イシューに目を向けようとする作品

新しいマーベル作品「シャン・チー」を、ギリギリ滑り込みでグランドシネマサンシャイン池袋のIMAXレーザー/GTテクノロジーのスクリーンで観てきました。ドラマシリーズでは、エンドゲーム以降の世界の物語を次々とスタートさせているMCU(マーベル・シネマティク・ユニバース)ですが、映画というフォーマットではエンドゲーム、そしてCOVID-19以降ではじめてその後の世界を描く作品となりました。

エンドゲームの大興奮を経ての作品となり、期待と不安が入り混じる感情を覚えながら観ましたが、さすがMCU作品。カタルシスを感じるストーリーと撮影に加えて、しっかりと今の社会の空気を感じることができる、ソーシャル・イシューを取り込んだ作品となっていました。IMAXレーザー/GTテクノロジーの超巨大スクリーンで観てきた、シャン・チーで感じることができた背景と、ストーリー、撮影と編集についてまとめておきます。

目次 - post contents -

シャン・チー/テンリングスの伝説 ―― 作品の背景について

シャン・チー/テンリングスの伝説 ―― 作品の背景について

最初に、シャン・チーはMCU作品においてはじめてのアジア系のヒーロです。これまで、カラードや女性といった多様性あふれるヒーロー像を提案し続けてきたMCUがまた新たな多様性を取り込む作品となりました。そして、そのヒーローの戦いは、ローカル・イシューにファナティックになる父親と対決し、グローバル・イシューに向き合う視点を勝ち取るヒーローの物語でした。

愛する妻の幻影を追うがあまり、世界を危険にさらしてしまう父親に対し、父の元を離れ、北米に暮らし、グローバルな視野を持つ息子が、父の欲望を抑える姿は、アメリカがアフガニスタンの危機を呼び起こしてしまった今の状況や、首相交代にファナティックになる日本の空気に対して、俯瞰して考える視点を与えてくれて、今こそ観るべき作品だったと思わせてくれました。時代と重なるイシューを背景に感じる、さすがMCU作品です。

シャン・チー/テンリングスの伝説 ―― 作品のストーリーについて

シャン・チー/テンリングスの伝説 ―― 作品のストーリーについて

シャン・チーのストーリーラインは、現在のシャン・チーを追うストーリーに。彼の家族の過去、父親であるウェンウーが個人の欲望にファナティックになる過程を描くストーリーが挿入されながら進みます。暗殺集団の一家という因襲から逃げ、家族と故郷を捨てて北米に暮らすシャン・チーは、頭脳明晰でありながらも、ホテルの駐車係という格差社会の下の仕事で生計を立て、しかし友人とともに今を自由に暮らしています。

そんなシャン・チーの暮らしに、家族の怨念が降りかかります。亡くなってしまった愛する妻を復活させる糸口をつかむため、またシャン・チーを自らの元に連れ戻すために、暗殺集団テンリングスの首領である父ウェンウーの魔の手が伸びてきます。テンリングスの襲撃と謀略によって、アメリカを離れ、離れ離れになっていた妹「シャーリン」との再会、父との再会を果たすシャン・チー。しかし、強大な力を持つ父とテンリングスによって、組織の元に連れ戻されてしまいます。

そこで、父の目的を知ったシャン・チーとシャーリンは、その真実を明らかにするために、父とテンリングスよりも先に、母「リー」の故郷であるターロー村へと向かいます。ターロー村で彼らを迎えてくれたのは、母リーの姉妹であり、彼らの叔母である「ナン」でした。ナンは優しくシャン・チーらを迎え入れ、事の真相を説明してくれました。曰く、父ウェンウーは母に執着しファナティックになるがあまり、ターロー村に4000年封印されている魔物ソウルイーターに幻影を見せられているということ。

真実を知ったシャン・チーたちは、父の間違いを正すため、ソウルイーターの復活を防ぐため、ナンにターロー村の戦い方を学びながら対決の準備を進めます。そして、父とテンリングスの襲来、父によって復活してしまったソウルイーターとの戦いを、仲間の力、村の守り神である赤い龍の力を借り、また、父の手からテンリングスを奪い、その力を継承することによって討ち果たします。

世界の危機を防いだシャン・チーは再びアメリカに戻り、普段の生活を過ごしますが、そんな平穏もつかの間。アベンジャーズのメンバーであり、「ドクター・ストレンジ」と行動をともにする「ウォン」に呼び出されて、彼もアベンジャーズのメンバーになることになります。一方で妹のシャーリンは、テンリングスの解体のために故郷に戻りますが、しかし彼女はそのままテンリングの首領の座につき、組織を存続させていきます。そして「シャン・チーは帰ってくる」というメッセージともに、今回のストーリーは幕を閉じます。

シャン・チー/テンリングスの伝説 ―― 撮影と編集について

シャン・チー/テンリングスの伝説 ―― 撮影と編集について

これまで数々の魅力的なヒーローの戦い方、武器を見せてきたMCU作品ですが、カンフー映画を取り込んだシャン・チーは、またこれまでのヒーローとは違う魅力に溢れる戦い方を見せつけてくれました。まず、テンリングスという装備。10個の腕輪がときにはシールドになり、時には宙を舞うための発射台となり、鞭のように伸びたり、衝撃波を生む武器となります。10個の腕輪による無限の戦い方を想像させる撮影に興奮させられます。

そして、戦いに入るまでの所作。空中でのアクション。懐かしくもロマンティックなカンフーアクションを、古めかしい動作に見せない撮影にも驚きました。「アイアンマン」や「ブラック・ウィドウ」が縦視点のアクションを象徴する撮影であるとして、シャン・チーは「キャプテン・アメリカ」と同系統である、前後と奥行を感じさせる撮影になっています。シールドが敵にめがけて進み、一撃を与えて手元に戻ってくるように、テンリングスが伸びて戻り、敵との距離と奥行が感じられる戦い方を表現する撮影です。

改めて、テンリングスは魅力的な武器です。これを手にすることによって、シャン・チーはアベンジャーズの中でも強力なメンバーに位置されるのではないでしょうか。アイアンマンとキャップなき今、キャプテン・マーベル、ソー、ハルク、ワンダ、ドクターストレンジに次ぐ、TOP5に近い力を持つヒーローではないでしょうか。少し先にあるであろう、アベンジャーズとの共闘が楽しみなシャン・チーです : )

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