ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス ―― 力あるものの振舞いとメンタルヘルスの映画

マーベル映画の新作「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」を観ました。劇場はTOHOシネマズ日比谷、とても久しぶりにIMAX3Dで鑑賞です。背景とストーリー、撮影と編集について記録しておきます。

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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス ―― 作品の背景について

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス ―― 作品の背景について

ドラマシリーズ「ワンダビジョン」と映画「スパイダーマン/NWH」で、自らの力を正しく扱いきれなかった「ドクター・ストレンジ/スティーブン・ストレンジ」と「ワンダ・マキシモフ」がストーリーの中心となる本作。力を持つものの権威主義と責任について問う背景を感じました。そして、その責任によってメンタルヘルスの問題が引き起こされること。世界中で長引くCovid-19禍によるメンタルヘルスの問題が続く中、権威主義の国家・君主が力を振りかざし自由と民主主義を蹂躙する2022年の状況にも重なって見えてきます。そして、イースターエッグ的に登場した世界のルールを決めるという秘密結社「イルミナティ」の存在やその扱われ方も、戦争の周辺でうごめく権威者たちを投影するようなプロットで興味深く観ました。

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス ―― 作品のストーリーについて

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス ―― 作品のストーリーについて

作品のナラティブはドクター・ストレンジ。スパイダーマンとのかかわりでマルチバースの扉を開けてしまったストレンジが、唯一マルチバースを行き来できる能力を持つ少女「アメリカ・チャベス」と出会うことからストーリーが動きはじめます。その能力が故に、あらゆるバースで力を狙われ続け、逃げ続けてきたアメリカ・チャベスをサポートしようとストレンジはワンダを頼ります。しかし、愛する人を失い続けてきたワンダは、自らもマルチバースの力を扱い、ワンダビジョンの世界で一緒に暮らした息子2人と再会する方法を探し、再び自らの力を利己的に使おうと画策をしていました。

利己的な魔術師、スカーレット・ウィッチとなってしまったワンダは、アメリカ・チャベスの力を我が物にしようとし、ストレンジとチャベスはワンダから逃れるために、世界とマルチバースを移動しながらワンダから逃れるストレンジとチャベス。その過程では、さまざまなバースのドクター・ストレンジやかつてエンシェント・ワンの下で学んだ兄弟子のモルド、そして「イルミナティ」の4人と出会い、衝突します。そんな二人を追うワンダは、ゆく先々で圧倒的な力を見せつけ、自らの欲望を止めようとするものたちを蹂躙してきます。

マルチバースで悪に落ちたストレンジと戦い、それに勝利したストレンジですが、やはりスカーレット・ウィッチとなってしまったワンダには適いません。スカーレット・ウィッチを止めたのはアメリカ・チャベスの力でした。マルチバースの扉を開け、ワンダが望む、彼女と息子2人が幸せに暮らすバースへとワンダを導いたチャベス。しかし、そこでワンダを迎えたのはマルチバースのワンダであり、そこでは「私が息子たちを愛する」とマルチバースを渡ってきたワンダに言い放ちます。

マルチバースを扱っても、今の自分は決して息子たちと一緒に暮らすことができないと悟ったワンダは自らの力を封じるのでした。

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス ―― 撮影と編集について

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス ―― 撮影と編集について

前述の通り、久しぶりの3D環境で映画を観ました。きっとIMAXの3Dははじめてだと思います。3Dは焦点が少しはずれた部分のちらつきが気になり、またそれによって酔ってしまったり、あまり好まなかったのですが、今回はそんなことはなく、3Dで観てよかったと思う作品でした。マルチバースや宇宙を飛び交う場面でも3Dである意味を感じることができたし、地上においても構造物の奥行に意味があり、またストレンジやワンダが能力を使って浮遊させる物体の意味も感じることができました。

監督はホラー映画の巨匠「サム・ライミ」であるというところも本作の注目すべき点でしたが、登場人物と近い位置で撮影し、スプラッター表現を次々と見せまくるというサム・ライミの映画に奥行を持たせる効果もとても相性が良いと感じました。マーベルのヒーロー映画は縦の描写や横の描写など、ヒーローが持つ能力の特徴に合わせて撮影のテーマを感じることがありますが、本作は奥行の撮影と編集だった。そんな意味でも興味深く観ることができました : )

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス

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