年末年始に映画館でいくつかの映画を観て、そのときに流れた予告編が印象深くて。「沈黙 -サイレンス-」を観にきました。
予告編で衝撃を受けた映像は、信徒たちが海岸に磔にされて褌一丁のまま強い波に打たれ続けるシーン。そんな痛々しい印象そのままに、映画はキリスト教宣教師に熱湯を浴びせる拷問シーンからはじまりました。
「沈黙」は遠藤周作の50年前の小説が原作。その存在は知っていたけど、今までは手に取る機会はありませんでした。なので、キリスト教への拷問シーンからボクはフラットな気持ちでこの物語を観始めました。
敬虔なキリスト信徒に、執拗な江戸幕府。物語は弱きものたちの強き心をフィーチャーして、オーディエンスの心を撃ち抜きます。ポルトガルからやってきた宣教師も素敵ですが、なにより日本でひっそりと暮らす隠れキリシタンの人々がかっちょ良すぎ。
棄教してしまえば楽なのに、密告してしまえば大きなお金も手に入るのに。隠れ忍んで耐え続け、信仰を続ける姿がなんとも心を打ちます。特に上の写真のモキチさん。件の海岸での磔も彼ですが、まっすぐな信仰心と、強い心がたまりません。海岸で波に打たれながら聖歌を唄う姿が、きっとこの映画の一番のお涙シーンです。
そんな感じで敬虔なキリスト教徒が執拗な江戸幕府に徐々に追いつめられる形でストーリーは進行します。その途中、ふとこんな思いが心を過りました。
拷問されても死んでも。信仰を曲げない宗教を相手にするのは江戸幕府も大変かもね。
あ。この映画は危ないな。と思いました。そこからはいろいろ視点を飛ばして観ていました。キリスト教徒視点。幕府視点。現代の日本視点。中東の諸宗教と対峙する先進国の視点。なるほど、この映画も。現代の諸問題も。ひとつの視点から見ていてはだめで、高所から低所から。近くから遠くから。時には相手になってみて、様々な視点で見てみないといかんなぁと。
そんなことに気づかせてくれるこの映画は深いぞ。と。勝手に (^^;)
それからこの映画は、ボクが大好きな「出演者すべてがカッチョいい」映画でした。宣教師のロドリゴ、ガルペ、フェレイラ。隠れキリシタンのイチゾウ、モキチ。キチジローは最初はあれでしたが、後半はいい感じに。イッセー尾形演じる奉行の井上は最大の悪役で、怪演ぶりは悪さを引き立たせましたが、読みの鋭さや彼自身が持っている信念は悪役としてカッチョいいものでした。
沈黙 -サイレンス‐ はなかなかに考えさせくれて、なかなかにカッチョいい映画でした : )
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