2021年の映画・ドラマシリーズアワード ―― 戦うのではなく、変革を目指そう

いつも時代をリファレンスすることで、オーディエンスに気付きを与えてくれる映像作品。2021年も残すところあと10日と少しとなったので、今年観た映画・ドラマシリーズを振り返り、愛すべき映像作品をランキング形式で並べつつ、それらの作品から受け取った時代の空気感を整理します。

はじめに、少し振り返りから。2019年は「気候変動」こそが時代のナラティブであることを、そして全人類が戦うべき課題であることを感じました。2020年は「女性活躍」。気高く美しく、因襲や課題と向き合い、前に進む女性の姿をたくさん観ました。そして、2021年は ―― インスピレーションを受け取った作品を紹介した後に、まとめてみます。

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【第5位】地下鉄道~自由への旅路

地下鉄道~自由への旅路~ ―― 作品の背景について

2021年上半期に公開されたAmazon Prime Videoオリジナルドラマ。「ムーンライト」でオスカーを獲得した「バリー・ジェンキンス」が手掛けたリミテッドシリーズドラマです。北米に奴隷制度がはびこる時代をテーマに、その時代に生きる女性の制度からの逃走と解放を描いています。逃走の過程で、なんどもくじけそうになり、でも前を見て進み続ける主人公「コーラ」の振る舞いと、彼女に寄り添い、導きながらも途中で倒れていく男性の姿に、当時とそれから現代にもあるべき姿勢を見ることができました。

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地下鉄道~自由への旅路~ ―― 壮絶なストーリーを最高の映像と編集で見せるドラマシリーズ 2021年上半期のドラマシリーズの中でも最高峰の評価を得ている、Amazon Prime Videoオリジナルドラマ「地下鉄道~自由への旅路~」を観終えました。

【第4位】大豆田とわ子と三人の元夫

民放TVドラマシリーズです。脚本は「東京ラブストーリー」「花束みたいな恋をした」の「坂元裕二」です。日本の、民放のドラマの姿勢だって捨てたもんじゃない!と感じさせてくれた作品。建築デザイン会社の女社長という肩書を持ちながら、仕事に恋愛に惑い続けるバツ3の大豆田とわ子。そしてその彼女を未だ愛し続ける、3人の元夫の物語です。前述の地下鉄道と時代背景は異なりますが、大豆田とわ子に寄り添い、優しく導く元3人の夫の姿勢は同じです。ドラマチックになりすぎずに、ユーモアを交えて、現代の男性にあるべき姿勢を教えてくれるのは、身近に感じる日本のTVドラマシリーズだからこそ。と、気付きを与えてくれました。

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大豆田とわ子と三人の元夫 ―― ジェンダーや肩書への差別・偏見を横目に見つつ、微笑ましく倫理について... 遅ればせながら、TVドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」をネットフリックスで観ました。日本のTVドラマを通して観たのは久しぶりですが、脚本が「東京ラブストーリー」「花束みたいな恋をした」の「坂元裕二」の話題作ということだったので。

【第3位】マスター・オブ・ゼロ

マスター・オブ・ゼロ ―― マイノリティがナラティブに語る日常と、そこに塗される社会課題

ネットフリックスオリジナルドラマ。2021年にはシーズン3が公開されました。シーズン3では、これまで物語の主人公だった北米に住むインド移民2世の「デフ」から、カラードのクイア女性「デニース」と、そのパートナー「アリシア」にナラティブが移ります。2人が語るレズビアンカップルの日常は、温かくて静かで、でもそこはかとない別れを予感させる寂しさがあり。北米では権利を勝ち取ったクイアカップルではあるけれど、生活の現場では解消できない問題がたくさんあります。その問題・課題と向き合いつつ、彼女たちが選んだのは今の生活を変えることでした。それでも、寄り添い、支え合う関係性は変わりません。現状を変えることで前に進む。マイノリティのリアルはその繰り返しであることが分かります。

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マスター・オブ・ゼロ ―― マイノリティがナラティブに語る日常と、そこに塗される社会課題 ネットフリックスドラマ「マスター・オブ・ゼロ」を観ました。

【第2位】イン・ザ・ハイツ

イン・ザ・ハイツ ―― 撮影と編集について

2021年夏の劇場公開作品。ここではじめての映画です。未だCovid-19の禍中にあり、自粛を続ける世界に、高らかな歌声と色とりどりの群衆が躍る姿を届けてくれたミュージカル映画です。舞台はジェントリフィケーションが進む北米の街。そこで生まれ育った2組の若者カップルは、進むべきか留まるべきか、もしくは戦うべきかを悩みながらひと夏を過ごします。彼と彼女たちが選んだ道は、女性は街を出て前に進み、男性はそんな女性を応援し、サポートしながら街に留まるという選択です。とても爽やかに、これからの男女の振る舞いを教えてくれた、印象と記憶に深く残る作品でした。

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【第1位】エターナルズ

エターナルズ ―― 作品のストーリーについて

2021年秋の劇場公開作品。待望のマーベル映画です。大きな期待を持って映画館に足を運びましたが、しっかり期待に応えてくれました。マーベルはやっぱり興奮とともに、時代のナラティブをオーディエンスの心に残してくれます。ジェンダー、レイシャル、そして障害や世代にも配慮した、多様性あふれるメンバーが並び立ち、人口増加と経済発展によって、気候変動の危機にさらされる現代社会を投影した、地球滅亡の危機と立ち向かいます。そして、その解決方法は、その危機を打ち倒すのではなく、物質を変化させて収める。という結末。エネルギーや経済社会を持続可能な形にトランスフォーメーションしようと試みる、現代社会に勇気を与えてくれる作品となりました。もちろん、エンタメ、アクション、次の作品につながる伏線もたっぷりで、学びと興奮の両方を目いっぱい映画館で浴びることができる、マーベル作品が最高である理由を、再び体感することができました。

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エターナルズ ―― 多様性を感じるキャラクターが織りなすエンタメとイシューの融合 11月5日に公開開始された、マーベル作品「エターナルズ」を観てきました。今回の劇場はTOHOシネマズ日比谷のIMAXスクリーンです。少し前まで、TOHOシネマズではマーベル(ディズニー)作品は放映されない状況が続いていましたから、少し感慨深く席につきました。

世界を女性がひっぱることで「変革」を促すことができる

上に挙げた5作品だけでなく「DUNE/砂の惑星」「ブラック・ウィドウ」「シャン・チー」「花束みたいな恋をした」などなど、ボクが観た2021年の映像作品から受けとった姿勢を記録しておきます。2019年には全人類は気候変動と戦わなくてはいけないんだ。という気付きを得て、少なからず、ボクの行動は変わりました。

それから2年。今年、想ったことは戦うのではなく、変革を目指すんだ。という気付きです。そして、それを目指すときに前に立ち、導くのは女性の方が適しているということ。男性が最前線に立ち、脅威と戦う時代は終わり、女性が導き、戦うのではなく、柔軟な姿勢と視点で自分たちを変革することが、これからの時代を生き、未来に継承する最善の方法である気がします。そして、その時の男性の振る舞いも多く示唆をしてもらいました。女性が進もうとする道に寄り添い、優しくサポートすることが今の男性には求められるのではないでしょうか。

時代のナラティブを教えてくれる映像作品たち。2022年もまた新たな変化を示唆してくれると思います。来年もたくさん観たいと思います : )

2021年の映画・ドラマシリーズアワード ―― 戦うのではなく、変革を目指そう

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