アントマン&ワスプ:クアントマニア ―― 過去の過ちを乗り越えるために家族の力が必要だ

映画「アントマン&ワスプ:クアントマニア」を観ました。MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のフェイズ5の幕開けを飾る作品です。劇場はTOHOシネマズ上野。IMAXで観たかったのですが、タイミングを逸してしまい通常のスクリーンでの鑑賞となりました。

フェイズ4を締めくくった「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」も然りですが、年末年始の映画作品から感じていたあるパースペクティブを、本作クアントマニアでも感じることができました。VUCAな状況が続く今、映画が何を表象し、何をボクらに伝えようとしているのか、そんな視点も含めて、背景・ストーリー・撮影と編集についてまとめておきます。

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アントマン&ワスプ:クアントマニア ―― 作品の背景について

アントマンシリーズに通底するテーマとしては、罪との向き合い方、キャンセルカルチャーへの警鐘があると感じています。主人公の「アントマン/スコット・ラング」には罪を犯し、服役した過去があります。本作でも冒頭から、罪を犯した自分がヒーローをやっているなんて。といったナラティブが語られます。アントマンスーツの開発者である「ハンク・ピム」もかつて、家族を救うことにファナティックになるがあまり罪を犯した人物でした。

そして本作では、罪に対する意識が希薄なアントマンの娘である「キャシー・ラング」の過失によって家族は危機を迎えることになります。そして、実はキャシーの祖母であり「ワスプ/ホープ・ヴァン・ダイン」の母である「ジャネット・ヴァン・ダイン」も過去にMCUのマルチバースにおける最大の脅威となる「征服者カーン」を助けたという罪の意識を背負っていたことがわかります。アントマンシリーズでは、こうした罪と向き合い、その後にふさわしい振舞いは何なのかということがテーマになります。

加えて、本作は「家族の映画」だということがとても印象的でした。家族との向き合い方は、前述のブラックパンサー、そして年末年始にヒットした数々の映画「THE FIRST SLAMDUNK」「すずめの戸締まり」「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」のいずれにも含まれている視点・テーマであると持っています。世界の均衡が崩れ、不安定な状態の中で、社会を構成する最小の単位である「家族」を見直そうと、そんなメッセージを感じずにはいられません。そして、本作では過去に犯した罪やキャンセルされる状態を克服するには家族の力が必要であることを示唆していると感じています。父と母と娘の活躍ももちろんですが、それ以上に祖父と祖母の活躍が目に映る、記憶に残る作品でした。

アントマン&ワスプ:クアントマニア ―― 作品のストーリーについて

エンドゲームでの戦いを終えたアントマンとワスプは世間の注目に戸惑いながらも、家族とともに順調に暮らしていました。しかし娘のキャシーだけはまっすぐな性格が災いし、ピム粒子を使って自分の正義を貫くための問題を起こし、警察にお世話になることも度々です。そんなキャシーは祖父のピム博士の研究を手伝いつつ、量子世界の地図を作ることを目的として技術力を磨いていました。そのキャシーの技術で量子世界へ信号を送ろうとしたとき、祖母のジャネットは危険を察知し止めようとしますが、機器の暴走によって一家全員で量子世界に引き込まれてしまいます。

量子世界にはそこで暮らす人々(?)がいました。そして、その人々の中には過去に量子世界に閉じ込められていたジャネットを知る人たちもいました。ジャネットは家族には量子世界の人々との交流があった事実は話してはいませんでした。その理由は当時、知らなかったとはいえ、マルチバースの征服者と言われる「カーン」の命を助けたことに罪の意識を持っていたからでした。カーンは今でも量子世界に留まり、そこで帝国を築いていました。カーンはピム粒子を持ったアントマン一家が量子世界にやってきたこと知り、彼らに量子世界の脱出のための手伝いをすることを求めます。

カーンを脱出させてしまうと地球に大きな脅威となることを察し、アントマン一家は量子世界でカーンに対抗する反乱軍と手を組み、対峙することを決意します。アントマンとワスプ、そしてアントマンスーツを着た娘キャシーが力を合わせ、カーン軍と戦います。しかし多勢に無勢、敵の勢いに押されかけたときに現れたのは、祖父ピムでした。ピムは量子世界でアリの軍団を組織し、カーン軍を一掃します。たくさんの過ちを経て、しかしそれでも家族の力を合わせて罪と向き合い乗り越えて、アントマン一家はカーンを倒し、元の世界に家族全員で戻るのでした。

アントマン&ワスプ:クアントマニア ―― 撮影と編集について

アリのサイズになったり、巨大化したり。アベンジャーズの様々なアクションシーンの中でも、もっともアイデアに溢れた戦いを見せることができるのがアントマンの能力です。縦の動きが印象的なヒーロー、横の動きが印象的なヒーロー、それぞれたくさんいますが、小と大の変化が印象的なヒーローのアクションシーンです。そんな特徴を活かす、カメラの位置が楽しいのもアントマンです。地べたを這う撮影と空中を見上げる撮影、こんかいもふんだんに視点の変化が盛り込まれていました。

しかし、少し残念だったのはアクションシーンはすべて量子世界での撮影だったことです。アントマンの小と大の変化やカメラの位置は、現実世界の風景がその後ろにある方が印象深いことに気づかされました。次回はぜひ他のアベンジャーズとアッセンブルし、現実世界でカーンをはじめとするヴィランに立ち向かう撮影と編集と期待します : )

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この記事を書いた人

マーケティングに関わる仕事に20年以上携わっています。感銘を受けたポップカルチャーをマーケティング視点で記録したり、日々の暮らしや身に着けているもの、健康・投資について記録するためにブログを活用しています。

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