東洋経済 マルクスvs.ケインズ ―― 知っているようで知らない経済思想を再確認する

民主主義の崩壊危機とともに、資本主義の限界についても注目が集まっています。資本主義がもたらした、格差社会、気候変動などの社会課題がCovid-19をきっかけに一気に表面化したことがきっかけです。それらの諸問題に対して、先進国を中心に、DX(デジタル・トランスフォーメーション)やGX(グリーン・トランスフォーメーション)などの、サスティナブルな変革(SX)で対応しようと動いていて、ボクもそうしたアクティビティが正解だよな。と思っていました。

政府による財政政策と金融政策をサポートとし、自由市場が踏ん張るという構図です。事実、Covid-19禍を経て、巨額の財政支出が行われ、それを支えにPostコロナの経済復興が進んでいます。しかし、それが本当に正しく、サスティナブルなのか。という警鐘が鳴らされているようで。。この、週刊東洋経済の「マルクスvs.ケインズ」という力のこもった特集を手に取りました。

知っているようで知らない、経済思想の「ケインズ主義」と「マルクス主義」を現代社会の情勢に置き換えて再整理してくれる内容です。解釈が間違っている部分もあると思いますが、自分へのメモも兼ねてまとめておきます。

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東洋経済 マルクスvs.ケインズ ―― 戦後社会の信念とイデオロギーを打ち壊した「時代の焦点」

東洋経済 マルクスvs.ケインズ ―― 戦後社会の信念とイデオロギーを打ち壊した「時代の焦点」

本特集ではマルクス主義に注目が集まる理由として、資本主義によって成長してきた大戦後社会の3つの信念とイデオロギーが崩れ落ちつつあると指摘します。戦後に生まれ、育ってきたボクもこうして指摘されるまでは当たり前のことだと思っていた、つまり社会の信念だったと気がつきます。

資本主義が人々の生活を向上させる?

戦後の日本は確かに資本主義によって成長し、人々の生活も向上しました。ただし、成長に伴い格差が広がりました。そして、Covid-19によってK字の格差が鮮明になります。文明社会が成熟化すると格差が広がり、格差の拡大によって文明は終わる。と歴史を紐解くとわかります。資本主義を続けることによって、さらに格差が広がるのであれば、そうした歴史が繰り返されてしまう心配があります。

世界は経済発展とともに民主化する?

なるほど、確かにボクらは一党独裁主義の中国の経済発展に対し、ずっと疑念があって、いつか壊れるはず。といった理由なき信念があると感じます。その中国の経済規模は2030年代には米国を超えるだろうという市場予測は世界のコンセンサスになりつつあります。そして、民主主義の国に住む我々には信じられませんが、世界の国々で民主主義は後退し、社会主義や独裁国家を選択する国が増えている事実もあります。

テクノロジーは人類に進歩をもたらす?

資本主義のサスティナブルな発展に対して、テクノロジーの進化への期待は唯一といっていい拠り所です。ここで挙げられている、SNSやメディアによる分断や陰謀論の拡大。監視社会におけるプライバシーの問題。原子力やバイオ技術との共存。これらも、さらなるテクノロジーの進化とともに解消される、落としどころを見つけられる。とボクは信じたいです。

東洋経済 マルクスvs.ケインズ ―― 変貌する世界の思想マップ

東洋経済 マルクスvs.ケインズ ―― 変貌する世界の思想マップ

さて、「新自由主義」と「ケインズ主義」「新マルクス主義」をマトリックスに配置した秀逸なマップです。経済的な自由と平等、政治的な自由と統制を対立軸にしています。小さな政府による個人の自由を尊重した新自由主義は、格差の拡大とリーマンショックという経済危機を生み、今は批判されることが多いと思っていますが、どうでしょう。

リーマンショック後は、各国の政府と中央銀行が財政と金融政策をコントロールし、危機に備えつつ経済発展を成してきました。これがケインズ主義ですね。このバランスのもと、サスティナブルな社会が続いていくと思っていましたが、しかし、格差社会と気候変動の問題は解決できないであろうというオピニオンが支えるのが新マルクス主義です。

新マルクス主義の大きなコンセプトは「脱成長」です。人間の欲望は果てしないので、脱成長で良しとできる社会はある意味とても文明レベルが高い社会だと思います。もしかしたら、マズローの欲求5段階説の一番上「自己実現欲求」は脱成長を指すのかもしれません。今のところ、自分が脱成長に満足できるのか、そうしたいと思えるのか、自信がありません。もう少し、いろいろなオピニオンを聞いてみたいと思います。本書でもインタビューが掲載されていた、齋藤幸平さんの「人新世の資本論」から読んでみたいと思います。

あとは、ボクの行動原則。難解な問いの前に立たされたら、ポップカルチャーにヒントと参照点を得ることですかね。ボクの座右の銘でもあるこの2つの言葉。トム・ヨークが言った「It’s not my fault」と、ボブ・マーリィが言った「Every things gonna be allright」を、ここではリファレンスします。前者は「それはボクの失敗ではない」と考えて、上手くいっていない部分の「構造」を理解することで、広い視点で考えてみます。後者は「いつかすべてがうまくいく」と考えます。これは現状の否定であり、でも問題や苦しみは乗り越えられるというポジティブな言葉でもあります。

小さな一歩ですが、今よりも少しでもよい方向に進める行動が起こせるように、考えていきます : )

東洋経済 マルクスvs.ケインズ ――

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この記事を書いた人

マーケティングに関わる仕事に20年以上携わっています。感銘を受けたポップカルチャーをマーケティング視点で記録したり、日々の暮らしや身に着けているもの、健康・投資について記録するためにブログを活用しています。

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