アートシンキングという言葉を聞く機会が増えました。特にCOVID-19禍を通して叫ばれるようになった「VUCA(不安定・不確実・複雑・曖昧)な時代」に対応する新しい思考法として注目されています。ボク自身はまだ半信半疑ではありますが、マーケティングを生業としていて、商品開発の支援を行っている立場としては、基本知識は得ておかないとと思っています。
まずは手始めに本に頼ろうと思って選んだのが「ハウ・トゥ アート・シンキング」です。読み進めながら、このブログで参照点をまとめつつ、勉強していきます。
今回は、アート思考の使い方を理解するために、ロジカル・シンキングの使い方や方法についての筆者のまとめに関して、気づいたこと、感じたことをまとめます。
ハウ・トゥ アート・シンキング ―― ロジカル・シンキングは大きな課題を、みんなが「分かる」方法で「分ける」
「ロジカル・シンキング」で最も有名な手法といえば、「ピラミッドストラクチャー」と「MECE(ミーシー)」でしょう。「ピラミッドストラクチャー」というのは、ものごとを分解していくとピラミッドのような、末広がりの樹形図になることからそう呼ばれます。MECEは、Mutually Exclusive Collectively Exhaustiveの略で、日本語では「漏れなくダブりなく」と訳されます。
マーケティング・リサーチの現場では、ロジカルな計画・アウトプットが求められます。なので、ピラミッドストラクチャーやMECEのような考え方は日常です。例えば、MECEは調査票の選択肢を作る際のポイントとなります。ピラミッドストラクチャーのような樹形図は、レポートの表現方法として良く使われます。
ロジカル・シンキングは課題を「分ける」のです。たとえば「売上」は「購入者数×年間平均購入額」に分解できます。そしてさらに、「購入者数」は、性別・年代別などいくつかの細かい部分(セグメント) に分解できます。 「分ける」ときには、もう一つのロジカル・シンキングのツールであるMECEを意識して分けていきます。顧客を「男性/女性」、そして10歳未満、10代、20代、30代、40代、50代、60歳以上、という風に「漏れなくダブりなく」、異なる属性に分けていくのです。
上記は定量(数値)データを見る上での考え方ですが、定性(言葉)データを見る上でも、「分ける」なのか「まとめる」なのかに拘っています。分けることを分類と言います。分類は上記のような属性や場面など、誰でも分かりやすい、同じ分け方ができるデータの見方です。一方でまとめるの方は類型と呼んでいます。こちらはデータには書かれていない、そのデータの対象となる人の気持ちによってまとめていく方法です。気持ちを読むので、データを見る人によって見解が異なります。
このような調査の現場で行われている、定性データへのアプローチの違から、ロジカル・シンキングとアート・シンキングの使い方の理解が進むきっかけになりました。
ロジカル・シンキングのパワーは、次の2点に集約できます。①課題を「分ける」(原因を特定し効率的に打ち手を決められる)②みんなが「分かる」(企業の中でコンセンサスが取りやすい)「ロジカル・シンキング」はいわば「大きな課題」を扱う思考法です。大きな課題を小さく分解して解決策を見出し、さらにその解決策をみんなで共有し共通理解を得ることができるので、組織一丸となって解決策を実行できるのです。
なるほど、「分ける」と「分かる」が、ロジカル・シンキングの特長です。大きな課題を、みんなが分かる方法で分けて、取り組むべくポイントを明確にする。というのがロジカル・シンキングの使い方です。世の中の多くの思考プロセスは、こうしたロジカル・シンキングが起点となるでしょう。ロジカル・シンキングは課題抽出のための思考法で、見つけた課題の解決のためには、デザイン・シンキングやアート・シンキングが必要になる。まずは、そう理解していきます。
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