ハウ・トゥ アート・シンキング ―― 新規事業を「自分」を起点にして考えてみる

アートシンキングという言葉を聞く機会が増えました。特にCOVID-19禍を通して叫ばれるようになった「VUCA(不安定・不確実・複雑・曖昧)な時代」に対応する新しい思考法として注目されています。ボク自身はまだ半信半疑ではありますが、マーケティングを生業としていて、商品開発の支援を行っている立場としては、基本知識は得ておかないとと思っています。

まずは手始めに本に頼ろうと思って選んだのが「ハウ・トゥ アート・シンキング」です。読み進めながら、このブログで参照点をまとめつつ、勉強していきます。

今回は、筆者が示してくれた、調査結果でも社会課題でもなく、「自分」を起点にして新規事業を考える具体的なワーク方法について、気づいたこと、感じたことをまとめます。

本書に関するブログは「ハウ・トゥ アート・シンキング」のタグでまとめています。
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ハウ・トゥ アート・シンキング ―― アイデア発想のリファレンス元に「自分」も加えて豊富化する

経験から言って、その場で面白いアイディアが生まれても事業化まで至ることはほとんどありません。目新しいアイディアが出るとその場では盛り上がるのですが、アイディアがそもそも「自分」に根ざしたものではないため、仕事に戻ると忘れてしまい、実行まで至らないのです。また、目新しいアイディアは初めは話題を集めますが、すぐにコピーされ、「新しさ」の価値は途端になくなってしまいます。さきほど「新しさ」より「らしさ」という話をしたとおり、重要なのは「自分」起点でアイディアを出すことなのです。

その場では盛り上がるけど、実行までには至らない。という指摘は耳が痛いです。良いアイデアは多くの人をモチベートするものだと思っていますが、それ以前にまずは自分がすぐに行動せざるを得ないほど、自分をモチベートしてくれるものでないといけないと改めて思います。

「あなたは何フェチですか?」「どうしても直せないことはなんですか?」「どうしても許せないものはなんですか?」など「偏愛」や「違和感」のキーワードを出してもらい、ペアになってインタビューし合いながら「自分」を掘り下げてもらいます。すると自分でも気づかなかった、理屈ではうまく説明できない「自分」らしさが掘り出されていきます。このワークショップでは各人3つのキーワードをみつけましたが、こうして出てきた「自分」はその会場に誰一人としておなじものはない、「ちがい」に満ちたものとなりました。

ボクの会社はマーケティング支援を行う会社ですが、具体的なモノを持たないため、ちょっと自虐的に空気屋なんて言い方もします。でも、空気屋だからこそ、自分のやりたいことを反映しやすい。だから、自分の好きなことから考えてみよう。なんて示唆をしたり、されたりします。でもね、「自分のやりたいこと」をちゃんと自分自身で理解している人って少ないことが、こんなやり取りを何回も行っていて気が付いたことです。

そんな背景があって、上にあるような自分を掘り下げるワークは興味深いです。ボクの仕事でしっかりアイデア発想を行うときには、自分の生活をデータ化し、細かく小さな欲求(ウォンツ)を見つけて起点とする。加えて、社会課題を共有し、両者の解決を目指せるアイデアを発想するというのが、最近多く用いる方法です。その前者のデータ開発は手間と時間をかけて行うので、その代替として、偏愛・違和感をキーワード化する方法を近く試してみたいと思います。

そのあとで、掘り出された「自分」を起点にして、「自分」がつくりたい「ユニークな百貨店」を 妄想してもらいます。ここでも理屈に流されないように、ひとつ工夫をしました。「百貨店」を考えよう、という課題にすると業界の「常識」が邪魔してしまうので、まずは「ユニークな書店」を考えてもらったのです。一度別のビジネスを考えることで「常識」のたがを外し、最後に「ユニークな書店」を「ユニークな百貨店」に置き換えてもらいました。

自分を起点としたとしても、やはりアイデア発想はテクニックもセンスも必要ですね。それにドライブを駆けるギミックとして、別の業界のビジネスから考えるという提案があります。フィリップ・コトラーが言う「ラテラルシンキング(水平思考)」ですね。ここまでまとめてみて、新しい発想のためには多くのリファレンスがあることが大切なんだな。と整理ができてきました。自分も、生活における欲求も、社会課題も、それからアートそのものもリファレンス先としては活用できると思います。

  • あなたのフェチや偏愛するもの、やめられないことを3つ書き出してみましょう。
  • 最近あった許せないことを3つ書き出してみましょう。
  • それらからみつかる「自分」はどんなものですか?あなたの仕事に活かせていますか?
  • まずは、自分を起点とする、そのリファレンス先を引き出すために上記のワークを次の機会で活用してみます。ボクはいっぱいあって、3つに絞ることの方が難しい気がするな。許せないことを書き出してみたら、それが社会課題にもつながる気もするし。興味深いワークです : )

    ハウ・トゥ アート・シンキング ―― 新規事業を「自分」を起点にして考えてみる

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    この記事を書いた人

    マーケティングに関わる仕事に20年以上携わっています。感銘を受けたポップカルチャーをマーケティング視点で記録したり、日々の暮らしや身に着けているもの、健康・投資について記録するためにブログを活用しています。

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