スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム ―― 陰謀論と戦い、メンタルヘルスを救済するヒーローの物語

年明けに公開がはじまったMCU映画「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」を観てきました。今回もシネマサンシャイン池袋のIMAXレーザー/GTシステムのスクリーンで。年始の入院と、Covid―19の第6波によるまん防の狭間になんとか最高の劇場で観ることができました。

でも、本来ならば昨年末の浮かれた気分のタイミングで観るべき映画なんだよなぁ。と、先進国では日本のみ年明け公開となってしまった状況に恨み節を感じつつも、楽しく鑑賞しました。世界各国では、ポストコロナを象徴する映画として、すでに歴代興行収入TOP10を記録して、現在の現実社会を表象するナラティブもふんだんにストーリーに散りばめられた、今観ておくべき映画です。スポイラー(ネタバレ)も含みますが、背景やストーリーを記録しておきます。

目次 - post contents -

スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム ―― 作品の背景について

スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム ―― 作品の背景について

物語は2019年公開の「スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」の続きから始まります。2019年に米国を世界を揺るがした陰謀論を背景に、前作のヴィランによって社会にばらまかれた陰謀論に翻弄される「スパイダーマン/ピーター・パーカー」が描かれます。そして、米国大統領選挙、Covid-19のパンデミックによって、メンタルヘルスの課題を抱える多くの人をメタファーするようなピーターとヴィランたち。自身の苦悩を重ね合わせて、メンタルヘルスに病むヴィランを救済しようと試みるヒーロー。そしてその状況は、MCUのフェーズ4が主題として扱うマルチバースな世界が引き起こします。そのマルチバースさえも、今世界が注目するメタバースとも重なり合い、MCU映画は計らずとも現実社会の視点と同じ目線になる背景を持ちはじめます。

スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム ―― 作品のストーリーについて

スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム ―― 撮影と編集についt

本作のナラティブは主人公のスパイダーマン/ピーター・パーカー。陰謀論に巻き込まれ、自身だけでなく愛するMJ、それから家族にも危害が及ぶ状況に陥り、状況を変えようと「ドクター・ストレンジ/スティーブン・ストレンジ」に助けを求めるピーター。その求めに応じ、禁忌の魔術を発動してしまうストレンジによって、物語は危機的状況へと進んでいきます。

ストレンジの魔術によって、マルチバースの世界が展開されます。マルチバースによって世界に現れたのは、過去シリーズのスパイダーマン、それからアメイジング・スパイダーマンのシリーズに登場したヴィランたち。マルチバース世界のスパイダーマンを悩ませたヴィランが続々と登場します。そこに現れるヴィランたちは、メンタルヘルスを損ねてしまったが故にヴィランとなり、そして死んでいった人物たち。本作のピーターは、そんなヴィランを救済するために、倒すのではなく、メンタルヘルスの課題を解決し、彼らを救おうと心に決めます。しかし、その決断がさらなる悲劇を生むことになります。

救済に失敗し、愛する家族、メイ叔母さんまで亡くしてしまうピーター。その窮地に登場したのは、過去シリーズのスパイダーマンたち。自分と違うマルチバースに生きるスパイダーマンと共闘し、改めて過去シリーズのヴィランを救い、世界をもとに戻そうとする過去3シリーズのスパイダーマン。お互いの失敗や悲しみを共有し、絆を深める3人のスパイダーマン。彼らの結束によって、ヴィランを救済し、目的を果たすことに成功します。しかし、それでもストレンジが発動した、禁忌の魔術は止まりません。

その状況で、ピーターが下した決断は、スパイダーマンである自身の存在を人々から消し去るという解決方法。それは、愛するMJの記憶からも自身を消してしまうことでありました。その決断をMJに伝えるピーター。悲しみながらも、その決断を受け入れ、その後の世界で「私を必ず探してね」と伝えるMJ。ストレンジの悲しい魔術はそうして発動され、世界は元に戻りました。

物語のエンディング。自身のことを魔術によって忘れてしまったMJの元へと向かうピーター。カンペを作り、怪しまれないように、MJに真実を伝えられるように準備します。そしてMJとの再会。しかし、自分を忘れてしまったMJの額に、自身がきっかけで負ってしまった傷を見つけてしまったピーターは、以後、MJに危険が及ばぬように、真実を明かさぬままMJの元を去ることを決めます。本リリーズ3部作の最後は、こうしてほろ苦いエンディングを迎えるのでした。

スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム ―― 撮影と演出について

スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム ―― 作品のストーリーについて

スパイダーマンの撮影は縦の演出。だから、IMAXの縦横比率が縦に長い劇場でこそ映える演出になっています。さらに、シネマサンシャイン池袋のIMAXレーザー/GTシステムの6階建てに相当する縦に長いスクリーンで鑑賞すれば、その臨場感は殊更です。MJを胸に抱き、ニューヨークのマンハッタンを縦横無尽に飛び回る、スパイダーマンの撮影と演出を大スクリーンでしっかりと味わうことができました。そして、過去シリーズのスパイダーマンと共闘する場面では、自由の女神が舞台。縦の撮影による演出を、カメラを上に置き、下に置き、我々が普段生活する視点では観ることができない映像を撮影することに拘った、これぞスーパーヒーロー映画である。という演出でした。

映画にドラマに、ポストコロナを表象するマーベル作品が公開され、そして2022年以降も公開の予定が発表されています。フェイズ4もポストコロナの世界でも、しっかりと見届けたいMCU作品です : )

スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム ―― 陰謀論と戦い、メンタルヘルスを救済するヒーローの物語

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

sharing is!

この記事を書いた人

マーケティングに関わる仕事に20年以上携わっています。感銘を受けたポップカルチャーをマーケティング視点で記録したり、日々の暮らしや身に着けているもの、健康・投資について記録するためにブログを活用しています。

コメント - comments -

コメントする

CAPTCHA


目次 - post contents -