NOPE / ノープ ―― 未知の生物は何を搾取するのか

ジョーダン・ピール監督作品「NOPE/ノープ」を観ました。劇場はグランドシネマサンシャイン池袋、IMAXレーザー/GTテクノロジーで、公開日当日の最終回に滑り込み観ました。きっとデカいスクリーンであればあるほど、カタルシスを感じられる作品であると感じました。なので、IMAXレーザーで観れてよかった。

ジョーダン・ピール監督はこれまでの2作「ゲット・アウト」と「アス」というホラー作品で高い評価を受けた後、大きな期待を受けた3作目の今作は少しこれまでのホラーテイストとは毛色が違う作品という評価です。そんなノープを、作品の背景、ストーリー、撮影と編集の視点で記録しておきます。

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NOPE / ノープ ―― 作品の背景について

nope――作品の背景について

これまでの2作ではカラードが受ける悲劇についてを描いてきたジョーダン・ピール。今作でも作品のナラティブはカラードであり、彼らの背負う生い立ちは重苦しく厳しい視点が描かれます。しかし、今作で彼らが相対するのは人間ではなく、未知の生物であり、そこにはやはり気候変動や自然災害へのリファレンスを感じてしまいます。気候変動で最初に苦しむのは、グローバル・サウスに住まう人たち。つまり、地球環境を破壊するグローバル資本主義経済の中心にいる、北側の先進諸国ではなく、それより先に被害を被るのは後進国の人々であると言われています。本作でも、未知の生物と最初に遭遇するのはカラードの主人公たちであることがグローバル・サウスからの搾取を想像することになります。

また別の視点では、本作の舞台となるのはハリウッド。「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」や「リコリス・ピザ」など、近年のハリウッドを舞台とした映画では、映画そのものをリファレンスする作品も多く、本作もまた映画についてのメッセージが数多く含まれた作品でもありました。最初の映画と言われる映像に映るのは馬に乗ったカラードであること。そして電子機器が遮断されてしまう環境において、手動のIMAXカメラで未知の生物の撮影に臨むこと。動画配信が隆盛をきわめ、映画の時代が終わってしまうのではと言われる状況にも“NOPE”と言い放つ作品でもあると思いました。

NOPE / ノープ ―― 作品のストーリーについて

nope――作品のストーリーについて

作品のナラティブは、ハリウッドで牧場を経営する「OJ」と彼の妹の「エム」。かつては父と一緒に、ハリウッド映画で使われる馬を育て、調教していたOJですが、ある日父親は空から降ってきたコインが眼球に直撃し、それによって亡くなってしまいます。その後は、一人で牧場の経営を続けるOJですが、控えめで寡黙な性格が災いし、映画作品に採用されることが少なく牧場経営も苦しくなってきます。

経営難のため、近くで遊園地を経営する「ジュープ」に愛馬たちを売ることになるOJですが、実家に戻っていた妹のエムと一緒に牧場でUFOと思われる物体を発見することになります。このUFOを撮影し、メディアに販売することで金を得ようとOJとエムは画策します。牧場に監視カメラを設置し、UFOを待つ2人。そして、UFOはやってきますが、彼らの能力で電子機器は遮断されてしまうことが分かります。しかし、諦めないOJとエムは、以前映画撮影の現場で会った映画監督「ホルスト」に未知のUFOの撮影を打診します。

一方、このUFOの存在に気が付いていた人物がもう一人しました。遊園地を経営するジュープです。ジュープがOJから馬を購入していたのは、このUFOに捕食させることを目的としてでした。そしてジュープはこのUFOの捕食周期をつかみ、その姿を見世物とするためにオーディエンスを集めていました。聴衆の前でいよいよUFOが現れるとき、それは生贄としてささげていた馬には目もくれず、ジュープと彼が集めたオーディエンスを飲み込みます。その後、現場に愛馬を救出するために現れたOJはUFOが人々を捕食する場面を見て、それがUFOではなく生物であることを知るのでした。

再び、未知の生物の撮影を試みるために作戦を練る、OJとエムと家電量販店店員の「エンジェル」。そこに、ホルストが手動のIMAXカメラを持って現れます。撮影作戦・計画を立てる4人。電子機器を使わずに、馬とフィルムカメラと、それから自身の体を使って未知の生物と相対します。珍入者が現れるなど、トラブルがありながらもフィルムカメラで生物の姿を収めることに成功しますが、生物の撮影に取りつかれたホルストがカメラを携えたまま生物に捕食されてしまいます。そして近くにいたエンジェルも吸い込まれますが、とっさに有刺鉄線を体に巻き、吐き出されることで危機を脱します。それに怒った生物は本気モードの姿に変身します。

円盤のような無機質な姿から体を広げ、クラゲのような、花のような、怪物の姿に変身する生物。それに対峙するのは馬に乗るOJと、バイクにまたがるエムです。OJが生物をおびき寄せる中、十分な距離をとったエムは、自らの方に注意を向けさせて、バイクで疾走します。生物が追いかけるなか、エムが向かったのはジュープの遊園地です。生物よりも先に遊園地についたエムは、ジュープを模した大きな人型の風船を解き放ちます。フワフワと空に浮くジュープの風船に生物はターゲットを移します。風船のジュープに向かう生物を、遊園地のアトラクションにあった井戸の中のカメラで狙うエム。ジュープの風船に食らいつくその瞬間をカメラでおさめます。そして、食らいついた風船が破裂するとともに、生物も破裂し、上空へと漂います。撮影に成功するとともに、未知の生物を打倒したエムでした。そして、そのエムの前にまるではじめての映画に映された(そしてそれは、彼らの曽祖父でもある)馬上のカラードのような姿でOJが現れます。OJとエム。彼らによって、危機を脱することができたのでした。

NOPE / ノープ ―― 撮影と編集について

nope――撮影と編集について

作中にも出てきたIMAXフィルムで撮影された作品です。カメラの特徴が十分に生かされる、山と空に囲まれた牧場の雄大な自然を映し出すシーン、引きの画で取られたシーンがたくさん登場します。そして、その美しく雄大な自然の中に、違和感を入れてくる編集も興味深いです。動かない雲に擬態した謎の生物。その違和感が不気味さを醸し出します。一方で残酷な場面では、ぐっとカメラが対象に寄ってきます。OJとエムの父が生物が吐き出したコインで打ち抜かれ、目から血がピューと噴き出るシーン。ジュープの子役時代に共演していたチンパンジーの「ゴーディ」が暴走し、次々を人間を襲う場面。生物に捕食された人々。。引きの画でみせてくれる美しい自然と不気味な違和感、そして近くで繰り広げられる惨劇と、そのコントラストにハラハラさせられる撮影と編集でした。

ノープ。IMAXの大きなスクリーンで観て、ハラハラすることができた映画でした : )

NOPE / ノープ ―― 映画とグローバル・サウスへの搾取を感じる物語

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