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アイデアのつくり方~アイデア発想の道しるべは、日常の事実をたくさん言語化し、それを小説のように読んでみること。

想うところがあって、ジェームス・W・ヤングの「アイデアのつくり方」を改めて読んでいます。

初版は1940年だそうで。マーケティング本の古典といってもいい古い本ですが、今でも時折読んでいる本や会話の中で参照されています。1時間もあれば読み切ってしまう短い本でもありますが、今読み返して心にスっと入ってきたフレーズをインスピレーションのままにメモしておきます。

はじめに。ヤングは1961年に本書の日本語版が出版されるにあたり、こんな勇気が出る言葉を日本の読者に贈ってくれました。

一国の国富というものは、その国のもつ天然資源によりも、国民のエネルギーとアイデアにより多く依存するものだということを、日本は世界に向かって証明しました。

海に囲まれた天然資源に乏しい小国が高度成長していた時代のそのパワーの源を示してくれています。今、世界を代表する先進国となった日本なのに、アメリカだけでなく新興国にも当時の成長の源であったエネルギーやアイデアの力で負けてしまっている我々を奮い立たせてくれる言葉です。

なぜ負けてしまうのか。そのヒントは以下の言葉にあると感じます。

今後は広告スペースを売るようなことはやめて、明日の朝からは一人のこらずアイデアを売ろうと思うのです。

これはヤングとある雑誌社の広告部長とのやり取りの中に出てきたフレーズです。広告に限らずスペースや手法を提供することを目的としてしまっている。ボクはマーケティング・リサーチの提供を生業にしていますが、身に染みる言葉です。クライアントはリサーチ結果が欲しいのではなく、その結果を自分のビジネスに活かすことが目的である。勇気を持ってもう一歩踏み込んで、アイデアまで売りたい。そう奮い立ちます。

ではアイデアとな何なのか。ヤングは「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と言い、「だから事実と事実の間の関連性を探ろうとする心の習性がアイデア作成には最も大切なものとなる」と言います。

この提言に対して、ボクは具体的なアクションのプランを持っています。ヤングもはじめに事実を集めよ。と言っていますが、ひとつのテーマに関して徹底的に言語化、データ化すること。その際に「行動」と「背景」を明快に区別して書き残すこと。がはじめです。徹底的にを分かりやすくするために、ひとつのテーマについて32の「行動」と「背景」をデータ化すること。としています。多くの場合、それはある商品であったり、あるサービスに対してとなります。

ひとつの商品やサービスに対して32のデータを作るのはとても大変です。最初の10データはサラサラと書けるかもしれませんが、11データ目から32データ目までは様々な視点や様々な使用場面を経験してみないとデータ化することはできません。その大変なプロセスこそ、今まで見過ごしてしまっていた「事実」を浮き上がらせる方法だと考えています。一過性のアンケートやインタビューでは見えてこないものがここにはあります。

この大変な「事実」を言語化するプロセスを経るだけで、アイデアの源泉がフツフツと心に浮かんできます。なので、アイデアの作り方の90%はこの事実収集で終了です。その後は、フツフツと湧き上がってきたアイデアの源泉を体系化するため、ヤングの言う「関連性を探る」過程をデータ類型・構造化を行います。その後に、そのアイデアの確認のためのモデル化、多くの人に共有するためのクリエイティブ(ビジュアル化、ひとこと化)があると考えています。

この手順は改めて整理・明文化したいと思います。道しるべとしてヤングが明示する手順を以下にメモしておきます。

  1. 資料集め—諸君の当面の課題のための資料と一般的知識の貯蔵をたえず豊富にすることから生まれる資料と。
  2. 諸君の心の中でこれらの資料に手を加えること。
  3. 孵化段階。そこでは諸君は意識の外で何かが自分で組み合わせの仕事をやるのにまかせる。
  4. アイデアの実際上の誕生。<ユーレカ!分かった!みつけた!>という段階。そして
  5. 現実の有用性に合致させるために最終的にアイデアを具体化し、展開させる段階。

アイデアの作り方を再び読んで、インスピレーションのままにメモを書いてみたけれど、考えていたこととヤングのプロセスがすり寄ってきてうれしく思います。事実の言語化がアイデアの作り方の90%と言える裏付けとして、ヤングが本書の最後の言葉を残しておきます。

言葉はシンボルなので、言葉を集めることによってアイデアを集めることもできるのである。辞書を読んでみたがストーリーらしきものなど気づかなかったというような方は辞書が短編小説であるという点を見落としているにすぎないのである。

日常の事実をたくさん言語化し、それを小説のように読んでみること。きっとアイデア発想の道しるべになると思います : )