リーン・スタートアップは、起業や新規事業などの立ち上げのための最適なマネジメント手法について事例を踏まえて解説する本です。最低限のコストと短いサイクルで仮説の構築と検証を繰り返しながら、市場やユーザーのニーズを探り当てていくことを推奨しています。
そのために著者は「調査」ではなく「実験」を提案しています。
例えば、世界的な靴のオンラインストアになった「ザッポス」は、はじめから使いやすいWebサイト、皆に喜ばれるサービスを準備してスタートしたわけではありませんでした。必要最低限の商品とWebサイト、それらを実際に顧客に使ってもらうことによって、定量的な結果と定性的な学びを得て、Webコンテンツとサービスのブラッシュアップにつなげながら規模を大きくしていきました。
こうしたザッポスの「リーン・スタートアップ」における実験のプロセスは、市場調査を踏んだプロセスと対比して、こう説明されています。
もしザッポスが過去に行われた市場調査を利用していたら、あるいはあらたに調査を行っていたら、おそらく、顧客が考える顧客の望みを知ろうとしただろう。しかしザッポスは実験的な提供サービスを構築した。その結果、以下のことを学べたのだ。
- 顧客の望みについて精度の高いデータが得られた。頭の中で考えただけの回答ではなく、実際にどう動くのかを観察したからだ。
- 現実の顧客とやりとりをする位置に自らを置き、顧客のニーズを学んだ。
- 顧客が予想外の行動をする場合があり、そのときザッポスは、たずねようとも思わなかった情報を入手した。
リーン・スタートアップのアプローチは定性リサーチによく似ています。
- 生活者に意見は聞かない
- 事実に着目する
- 生活者に意識を問わない
- 行動を観察する
新市場や新商品・サービスの発見に定性リサーチの相性がよいことがわかります。新しい機会発見には「調査」ではなく「実験」を提案していこうと思います。
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