Spotifyのポッドキャスト「POP LIFE」の最新シリーズはミュージシャンの西寺郷太さん、ヒップホップを中心にポップカルチャーの論客として知られる小林雅明さんをゲストに迎えて、テーマは「情報処理」かな?そんな感じでのスタートでした。
今シリーズで新鮮だったのは、はじめてホストの田中宗一郎(タナソー)さんよりおしゃべりなゲストが登場したことですかね。西寺郷太さん、めっちゃしゃべっていたし、話題の回しもしていた。タナソーさんへの振りも多かったから、著書の「2010’s」の話題も多くて、そうなると共著者の宇野惟正さんのネタも増えて。3回の放送で毎回宇野さんの話題になっていたし、宇野惟正の回と言っちゃってもいい感じで。
そんな放送の中でのボクなりのハイライトな話題が2つ。それから、それらの話題を通して、2011年までのボクのポップカルチャーの大きな情報源はタナソーさんの音楽雑誌「snoozer」だということを強く認識したし、今、そしてこれからの情報源はこの「POP LIFE:the podcast」なんだぜ。ということを改めて思いました。
2回目の放送で西寺さんに「snoozerを見直したりしないの?」と問われたタナソーさんが、3冊ぐらいしか家にないもん。なんて答えたことに対して、読者は大きくて重いこの音楽雑誌をまだ大切に持ってるよ。ってアピールしたぐらい。
読者はデカくて重いこの本を、まだ大切に取っておいてありますよ ( :#poplifethepodcast pic.twitter.com/fMGJg1SFOt
— green (@singlikegreen) December 6, 2019
なぜそんな再認識に至ったかなど、ハイライトの2つの話題を整理しながら振り返って記録しておきます。
駅と路線図をメタファーに音楽との係り方を考える
きっかけは西寺さん。マイケル・ジャクソンとかプリンスとか、誰もが一度は通るターミナル駅だけどみんな通り過ぎるぐらいでちゃんと深く知らないでしょ?ボクはそういうターミナル駅からまずちゃんと深く理解したかったの。という問題提起から。
なるほど、とてもよく腹落ちします。マイケル・ジャクソンもプリンスもビートルズも、何度も聴いたけれどもそこをあえて深堀をする経験はボクにはありませんでした。そもそもインターネット以前の時代に深堀ってどうアクションしたらよかったのだろうか。
唯一の体験は「ボブ・マーリィ」で。どうでしょう。九州あたりにあるターミナル駅って感じかな。彼の深堀は本を探して買ったり、ビデオを探して買ったりと、中高生の頃にきっと他の同級生にはないアクションで情報収集をしていたと思います。この体験はとても貴重だったし、誇れるものだと今でも思います。
そんな中高生だったので、全国の路線図には目を配ることなんてなかったのですが。。そこで「snoozer」の登場です。snoozerはそんなボクに新しい駅をいろいろ教えてくれました。レディオヘッドやスーパーファーリーアニマルズ。ヴァインズにアークティックモンキーズなどなど。そして駅だけじゃなくて路線図全体のつながりが好き。というタナソーさんだから、次に進む線路や駅も示してくれる。
例えばファーリーズだったら同郷のウェールズ語で唄うミュージシャンの「ゴーキズ・ザイゴティック・マンキ」や「カタトニア」に線路が繋がったり、オーストラリアのサイケ・ロックバンド「ガーリング」に飛んだり。などなど。snoozerは国を縛らず、ビッグ・インディーに拘らず良い音楽を取り上げる音楽雑誌で、当時のボクに駅も路線も示してくれた羅針盤でした。
田中宗一郎と宇野惟正の本「2010’s」のチャプターで2010年代の情報不足を埋める
もう一つのハイライトは2020年1月末ごろに発売されるであろう「2010’s」の章立ての説明でした。全部で6つのチャプターがあり、タナソーさんと宇野さんがそれぞれ3つずつ編集責任を担当して作り上げた対談本です。そのチャプターが興味深いです。
- レディ・ガガとピッチフォーク
- ラップ
- スポティファイとライブネーション
- ネットフリックスと映像作品
- マーベルシネマティクス
- ゲーム・オブ・スローンズ
2010年代ってボクにとってはsnoozerを失った10年だったんですね。ゲーム・オブ・スローンズ以外は追えていないポップカルチャーばかりです。そして、POP LIFE:the podcastを聴きはじめてから少しずつ追いかけている時代でもあります。POP的空白期間だったこの10年を埋めるよいきっかけとなる本だと感じています。発売後は必ず手に入れて読み解きます。
今シリーズは2010年代のポップカルチャー情報にアクセスできなかった自分と、自分のとってのsnoozerやPOP LIFE:the podcast。そしてタナソーさんの情報の必要性を強く感じることができたシリーズでした。snoozerが終了したときにめっちゃ悲しくてツイートしたらタナソーさんにリプいただいたのを覚えています。Web上のテキストというフォーマットではフィットせずに、ようやくアクセスすることができたPOP LIFE:the podcastというフォーマットです。
永く続くコンテンツになって欲しいと祈りつつ、これからも聴きます : )
コメント - comments -