パラサイトとジョーカー|2019年映画の話題作は、格差社会とメンタルヘルスと気候変動への警鐘が描かれていた。

遅ればせながら、2019年に映画界で話題をさらった2作品。「パラサイト~半地下の家族」と「ジョーカー」をようやく観終えたのでレビューを残しておきます。

必ず観なくてはと思い続けていたパラサイトとジョーカーですが、映画館に行く機会を持てなかったり、アベンジャーズシリーズや各種TVシリーズなどシリーズものを長く続けて観ていたりなど、機会を持てずにいました。が、この2作品はコロナ禍と豪雨災害、ブラック・ライヴズ・マター(BLM)を経験した「今」、観たことに価値があると感じました。

この2作品に関わらず、優れたポップカルチャー作品はその時代の空気を反映・象徴する表現が描かれているし、その空気感の先をフィクションで描くことである種の予言のような結末につながっていることが多々あります。2019年に公開されたパラサイトとジョーカーには、まさに2020年にやってくる世界の予言が描かれていたと感じています。その辺りを中心に感想を記録しておきます。

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パラサイト~半地下の家族

パラサイト 半地下の家族

2020年のアカデミー賞で4冠(作品賞・監督賞・脚本賞・国際映画賞)を獲得した韓国映画。アカデミー賞で英語以外の作品が作品賞を獲得したのははじめてとなる、歴史的快挙を成し遂げた映画です。半地下にある家に住む貧しい家族が、ちょっとしたきっかけを掴み、知恵と謀略を駆使して高台にある高級住宅に住む恵まれた家族の家に一家4人で寄生(パラサイト)するストーリー。うまく寄生できたと喜ぶのもつかの間、そこには彼らよりも貧しい完地下の家族が先に寄生をしていて、彼らとの争いが元で固めた嘘が崩れていき。。と話しが進みます。

韓国の社会だけではなく、先進国で社会課題となっている「格差社会」の問題をユーモラスに、でも恐ろしく描いた映画です。ここでは、格差社会の頂点にいる家族と下位にいる家族の争いではなく、下位にいる家族同士の争いが描かれています。そして、下位にいる家族はその争いの中で精神を病み、罪を重ねてしまう。富裕層や為政者には想像できないメンタルヘルスの問題も含まれています。加えて、半地下や地下に住む家族を襲う水害も。気候変動の最初の被害者は貧しい人々であることを暗示しています。

コロナ禍を通して感じたこと、ウイルスによって最初に被害を受けるのは、亡くなっていくのは、まともな医療を受けることができない貧しい人々であること。また、そういう人たちこそメンタルヘルスの問題に直面すること。格差社会が引き起こす、それに続く問題を予言した内容になっていることに驚きました。

ジョーカー

たくさんの映画も作られたアメコミのヒーロー「バッドマン」の宿敵「ジョーカー」にスポット当て。狂気のヴィラン「ジョーカー」はなぜ生まれたのかのストーリーが描かれます。この作品もテーマは格差社会。貧しい家庭に育ち、母も自身も脳に疾患を持つ主人公アーサーが、社会の制度の翻弄され、人々に見放されてメンタルを損なっていく、悲しいストーリーが描かれます。

貧しき者は一歩でも道を踏み外すと、そこからは坂道を転げ落ちるように下に下に落ちていくだけ。今の状況を少しでも好転させようともがくアーサーだけど、もがけばもがくほど沼にはまっていく。その様子がなんとも辛く、また精神を病む彼のストーリーが、それが本当の世界の出来事なのか、もしくは彼の妄想の中で進んでいるナラティブなのか。観る側も混乱させる語り方になっています。

物語のエンディングでは、精神病棟で拘束着をまとったアーサーが「ジョークが思いついた」と笑います。カウンセラーがどんなジョークかと問うと「お前には理解できない」と返して終わる。この映画で語られたことのどこまでが真実で、どこからが妄想世界なのか、最後の最後にオーディエンスに大きな混乱を突きつけるストーリーでした。

それから、この映画のクライマックスは、(それが事実か妄想かわからないけれど)ジョーカーとなったアーサーに触発された格差社会に虐げられている人々が、権力者や社会の制度に対してピエロの仮面を被り暴動を起こす場面が描かれます。まるで2020年に世界中で起こったブラック・ライブズ・マターの運動のようなシーンがジョーカーの映画の中で展開されます。

映画の中のストーリーは、どこまでが本当で、どこからがアーサーの妄想なのかわからないまま終わり。一方で、2020年の現実社会に起きた暴動・運動を予言するかのような既視感あるシーンが描かれるこの作品。頭にこびりつき、心に残る映画です。

格差社会をメインのテーマにして、そこで虐げられる人たちが直面するメンタルヘルスや気候変動の問題まで。2020年にグッと現実的になった社会課題を予言するかのような「パラサイト」と「ジョーカー」でした。2010年代の最後にこういう作品が作られて、世界的な共感と評価を得たという事実はとても興味深く、少し先の社会の空気を感じるためのリファレンス先として、今後もポップカルチャーを追っていきたいと思います : )

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