「クチコミ」を扱ったマーケティング本「アンバサダー・マーケティング」では、そのエピローグで企業のマーケティング責任者宛てて一通のメッセージを送っています。
CMOの皆様
ちょっと困ったお知らせがあります。皆様の顧客や潜在顧客は、皆様の発信するメッセージをまったく信用していないのです。広告も屋外看板も、メールもブログも、CEOの動画メッセージや営業マン、こぎれいなパンフレットも信頼していません。
顧客のほとんどは、あなたのメッセージをはなから無視しています。CMになればテレビは消してしまう。録画ではCMを飛ばす、「電話セールス拒否リスト」に登録する、といった具合に。アメリカの公式な「電話セールス拒否リスト」には二億件もの電話番号が登録されています。
あなたの顧客や潜在顧客が唯一信頼するのが、自分と同じ立場にある消費者です。どこで食事するか、どのホテルに泊まるか、といったことについて、お互いの意見を信頼するのです。社員の採用、あるいは恋人や結婚相手の選択まで、友達の意見を頼りにするほどです。
要するに、商品やサービスの購入の決め手となるのは、もはや広告ではなくおススメなのです。
それにもかかわらず、こうした状況をまったく理解していないマーケターは少なくありません。おススメがペイドメディア(有料メディア)よりはるかに信頼されていることを示す膨大なデータがあるにもかかわらず、消費者が信頼せず、無視するようなマーケティング・ツールや戦術におカネを投じつづけるのです。
クチコミを扱う我々には勇気が出るメッセージです。企画提案とは別に、クライアントへのこうしたウェットな想いの伝え方は参考にしたいです。
また、ここでは触れていませんが、本書のクチコミの前提は「本当の商品の理解者、推奨者から発せられるもの」となっています。巷にクチコミと証するコンテンツはあふれていますが、「事実・ポジティブ・行動」に基づく定性情報がクチコミの基本原理であることを忘れずに、取り組みます。
コメント - comments -