経営やサービス開発の道しるべに、少し先の未来を考えようと取り組んでいます。
ケヴィン・ケリーの「〈インターネット〉の次に来るもの」はテクノロジー界隈の今の技術と少し先の技術を俯瞰して見てみる、考えてみるのにとても参考になります。
彼は人々の行動を12の法則として整理し、こうした行動によってもたらされる未来を「不可避」なものと言います。12の法則は以下の通り。
- ビカミング(なっていく)
- コグニファイング(認知化していく)
- フローイング(流れていく)
- スクリーニング(画面で見ていく)
- アクセシング(接続していく)
- シェアリング(共有していく)
- フィルタリング(選別していく)
- リミクシング(リミックスしていく)
- インタラクティング(相互作用していく)
- トラッキング(追跡していく)
- クエスチョニング(質問していく)
- ビギニング(始まっていく)
いずれの単語も、その意味を少し見るだけで自分の行動や、自分の周辺にあるテクノロジーを表現するときのキーワードであることが理解できます。
フィルタリング(選別していく)
情報過多の社会の中において、大切なこと、価値があるもの、やるべきことを明快に言い切っていて、目が覚めるチャプターでした。
自分が本当に夢中になれるものだけに注力するのだ。あなたの選ぶものは、親友も薦めてくれるような最高の中の最高といえるもの、それに少々のサプライズとしてランダムに選ばれたものになるだろう。つまりその時点で、自分の好みにぴったりなものだけを手にするのだ。それでも、あなたの人生の時間は足りないだろう
ちょうどSpotifyで田中宗一郎がフィルタリングした楽曲たちを聴きながらこの本を読んでいたボクはハッしました。音楽を聴いているiPhoneの中には2万曲のデータが入っています。でも最近はSpotifyで、誰かが選んでくれた曲を聴いている。時間が足りないのだ。
グーグルやフェイスブックのすごさや、他のインターネットのプラットフォームの大成功の秘訣は、コモディティー化したアテンションをフィルタリングする巨大なインフラにある。こうしたプラットフォームは、拡大する広告の世界を拡大する消費者の世界とマッチングさせるために、コンピューターの力を最大限に使っている。そこで使われるAIは、最適な広告を、最適な時間に、最適な場所で、最適な頻度で提供し、最適な方法で反応するように動いている。
どちらかというとすべての広告に対してアンチな姿勢を取り、「生活者の声を聞くことこそが企業がとるべきアクションだ」と訴えてきたボクにとって「Facebook、Googleこそが最大の生活者の観察者だ」と頭を叩かれた気がして、唸りました。
潤沢な社会において残された希少性とは、コモディティーに由来するものでも、それにフォーカスしたものでもないアテンションだ。すべてがゼロに向かっていく中で、唯一コストが増加しているのは人間の経験だ──これはコピーできない。それ以外のものはすべて、コモディティー化しフィルターをかけられるようになる
すべてがゼロに向かっていく。すべてがコモディテイ化されていく。印象的なベクトルです。体験こそが貴重でなものであること、ここも納得です。
われわれが新しいものを作り続ける限り、さらなるフィルタリングは不可避だ。新しいものでもっとも重要になるのは、フィルタリングやパーソナライズの新しい方法であり、それがわれわれをより自分らしくするのだ
新しいものを作り続ける限り、選別し続けなくてはならない。この矛盾はチャンスにもつながると理解しました。
本章を消化した上でマーケティング界隈でとるべきアクションは、すべてがゼロに向かっていく社会において、新しいデータを取得することに対しての価値がなくなってくる。コモディティー化したデータをフィルタリングすることに価値が生まれる。ということだと腹落ちしました : )
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