ソーシャルメディアを設計するときにターゲットは誰?という曖昧な議論をしないためのアクション

企業や商品のソーシャルメディアの立ち上げや運営の設計をお手伝いするときに、ついついクライアントに聞いてしまうマジックワードがあります。

ソーシャルメディアのテーマとなる商品のターゲットは誰?という質問です。

たいていの場合、こうした問いに対して「F1層でスマートフォンユーザ」だとか「シニアで時間にもお金にもゆとりがある人」というような回答が返ってきます。もちろん、この質疑応答をきっかけにターゲット像を紐解く打ち合わせを重ねるのですが、FacebookやTwitterで同じ年代・属性の人たちが同じ話をしているわけではないように、年代や属性のみのターゲット像でソーシャルメディアを設計しては無理が生まれます。

ペルソナというマーケティングアプローチがあるように、テーマとなる商品にとって、もっとも大切なお客さま像を思い描き、その人のためのページ作りや、その人に向けたコンテンツの投稿を行うことが理想だと考えています。

特にFacebookをはじめとしたソーシャルメディアでは、テキストコンテンツで高頻度のコミュニケーションを生活者と交わすことになるので、気持ちや想いを伝えたい相手を具体的にイメージして、コンテンツを作る重要性が高まります。

ターゲット像を見つけるための具体的なアクション

当社では、こうしたソーシャルメディアの設計についてのクライアントとの打ち合わせの前に、Twitterやblogの中でテーマとなる商品について、話をしている人たちの声をリサーチします。そこにすべてが書かれていることはありませんが、テーマ商品の使い方や楽しみ方、感想などを眺めながら、どんな人がどんな場面で食べたり、使ったりしているのか想いを馳せます。

そして、そのお客さまの声をそのままクライアントとの打ち合わせに持ち込み、その人のためにどんなページを作ってあげたいのか、どんな会話を交わしたいのかを議論します。ターゲット像は、ソーシャルメディアを開設する担当者に「聞く」のではなく、すでにテーマとなる商品を体験し、好きでいてくれるお客さまの声を「聴く」アクションを通して見つけていきます。

もしテーマとなる商品が新商品で、まだお客さまの声がインターネット上で見つけられない場合もあります。そのような場合は、当社では「モラタメ」にてサンプリングを行い体験者の声を集めたり、260万人のリサーチモニターネットワーク「myアンケート」でイチ早く商品を使った人たちをリサーチしてアンケートを行ったりもします。

お客さまの声を「聴く」アクションは設計時だけではなく運営時にも活きる

企業や商品について書かれているお客さまの声は、例えばFacebookページのウォールで紹介して、他のお客さまにもシェアします。その時には、Twitterやblogを書いてくれたお客さまに対してお礼の手紙を書くつもりで、一言お礼を添えて紹介します。たとえば、以下のような投稿例があります。

ビールがテーマのFacebookページ

飲んでいただいたみなさんから日々寄せられているご感想の一部を紹介します。味や缶のデザインについてなど、とても暖かいメッセージをたくさんいただきました。これからもおいしいビールをお届けできるよう頑張ります!

機能性飲料がテーマのFacebookページ

飲んでいただき『ビックリするようなミルク感!』とほめていただきました。容器についても『注ぎやすくて、使いやすい』と評価いただき、とてもうれしいです。ありがとうございます。

ペット関連メーカーがテーマのFacebookページ

当社の商品を使って水槽内のゴミ抜きをされている方がいらっしゃいました。キレイな水槽の様子を動画でもアップしてくれています。ありがとうございました!みなさんもご自宅の水槽の様子を気軽にこちらに投稿していただけると嬉しいです。

このようにお客さまの声を取り上げて、多くの人たちの前でお礼することは、商品やサービスの大切なターゲットであるお客さま一人のために作られたコンテンツになります。ペルソナを作らなくても、実際に商品を使ってくれているお客さまの姿を見ながら、ソーシャルメディアでのコミュニケーションを実施することができます。

そして企業のこのような姿勢は、声を取り上げたお客さまからからの感謝を呼び、感謝の連鎖が起こります。加えて、同じお客さまとしての立ち位置で、企業や商品に対して同じように使い、思い、感じていた他のお客さまからの共感も集めます。ソーシャルメディアを設計時には、担当者にターゲット像を「聞く」のではなく、すでに企業や商品を愛してくれているお客さまの声を探して「聴く」ことからはじめることが大切です。

お客さまの声をより有益にするためにBMRモデルを活用する

また、商品のターゲットとなるお客さまの声をより体系的に活用するためにBMR(Basic Marketing Relations)モデルの活用をオススメします。BMRは山中正彦氏が考案し1996年に発表した商品開発のためのモデルです。

BMR

web上をリサーチして見つけたお客さまの声のひとつひとつを、このBMRモデルにあてはめてお客さまと商品との関係を見つめてみます。そうすることで、

  • お客さま(T:ターゲット)が
  • どのような時にその商品を使っていたのか(O:オケージョン)
  • その時にお客さまがどのような欲求(W:ウォンツ)を満たしたいと思っていたか
  • そしてお客さまの欲求を満たすことができた商品の利点(B:ベネフィット)と
  • 利点の提供を可能にするための機能や仕様(A:アトリビュート)はなんだったのか

というような事実が整理されて見えるようになります。こうして整理されたお客さまの声はコミュニケーションの設計時にも、運用時のコンテンツ制作にも役立ちます。お客さまのこうしたウォンツを満たすこのベネフィットの紹介を投稿しよう。とか、このオケージョンに活かして欲しい機能についてコミュニケーションしてみよう。というように考えます。

ソーシャルメディアの設計でターゲットは誰?と悩んだり議論する前に、お客さまの声の傾聴とBMRでの整理を活用してアクションしてください。

Original Update by BaileyRaeWeaver

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この記事を書いた人

マーケティングに関わる仕事に20年以上携わっています。感銘を受けたポップカルチャーをマーケティング視点で記録したり、日々の暮らしや身に着けているもの、健康・投資について記録するためにブログを活用しています。

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