ボードウォークの途中あたりから、軽快なカッティングギターと、楽しげなホーンと、元気なヴォーカルが聴こえてきた。
うわぁ。KEMURIだ!
チェアーに座ってハイネケンを飲みながら、ちょっと離れて眺めてみると、みんなKEMURIが好きなんだなぁ。ってのが良くわかる。そして、KEMURIもみんなが大好きなんだなぁ。ってのも。
ボクもハイティーンの頃は、彼らが言う「PMA」なんてアティチュードに感動したり、元気付けられたりしたことがあったっけ。positive mental attitude(肯定的精神姿勢)なんて言っちゃう彼らだから、ヴォーカルのフミオさんったら、もう恥ずかしくなるぐらいにセンチメンタルなMCを連発するんだ。
でも、オーディエンスのみんなはそのMCに一喜一憂し、同じぐらいにロマンティックな彼らの詩に体を弾けさせる。それを満足気に眺めるフミオさん。相思相愛でしょ。
本当に辛いこともあったバンドだから、みんなそんなことも承知しているから、彼らなら言ってもいいんだろうな。デビューからして「ATOICHINEN」なんつって意味深な詩を作って、ずっと歌い続け、見事に最後の一年にドラマティックな演出を作り上げてしまった。いえ、演出じゃなくて必然だったのかな。
ボクはきっと、このFujiRockで彼らのステージを観るのは最後になるだろうな。そう思って、笑顔のみんなをみながら、ハイネケンの残りを飲み干したりしてみたりして。
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