♪06 Concrete Jungle

1945年2月6日。

ボブ・マーリィがこの世に生を受けました。
ボブのから時代を遡り、そして、ここから駆け上がります。

そこは、ジャマイカで最も美しいと言われるセント・アン教区の郊外に位置する小高い丘ローデン・ホール。その丘に建つ簡素な木造の家が、ボブの生まれた家です。時間はゆっくり流れ、村人たちは土とともに暮らし、誰もが神を恐れていました。そんな村です。

母親はまだ18歳の黒人女性セデルラ・ブッカー。父親は白人の、陸軍大尉ノーヴァル・マーリィ。ボブは母親に大きな愛と、素敵な歌声と、いつでも前向きに進むために必要な、神への信仰心を与えてもらいました。

一方で、ボブの父親ノーヴァルはボブが生まれてすぐ、遠く離れた地に去りました。父親はボブにポジティブな要素は何も、残してくれませんでした。

父親の顔を知らないボブは、幼少のころからやはり詩を唄います。ボブは後にこう言います。

学校の先生がこう言ったんだ。書ける人は書きなさい。歌える人は歌いなさい。だからオレは歌うんだ。

ボブはセンスあふれる利発な子供でしたが、あまり勉強には関心をしめしませんでした。その代わり、唄うことと、瞑想することを好む少年でした。

小さな頃から、ボブには悩みがありました。ボブに前向きな事柄に関しては、一切何も残してくれなかった父が、ボブに残していったもの。父の血がボブの悩みの根源です。白人の父と、黒人の母の間に生まれたボブは肌の色が他の人たちよりも白かったのです。

周辺の同年代の子供とは違うボブ。彼は黒色の屈強な体を父親から得ることができず、小さくて茶色い子供likkle brown boyとして、幼少期・思春期を過ごします。

黒人でも、白人でもない。僕はいったい誰なんだろう。
僕はいったいどこへ行けばいいんだろう、、、。

繊細なボブは、幼子の心の中で、いたずら思う可愛げある、本人には大きく、他人には些細な悩みとは比べられないほどの大きな苦しみを感じます。その顛末として、早熟な青き魂を、現状からの脱出、新たなる地への挑戦。という答えに導かれました。

苦しみ続けるボブは、まだようやく10代になったころ、生まれた地を出てジャマイカの首都キングストンに向かうことを決意することになります。

当時、夢を持つジャマイカの多くの若者がキングストンへと集まりました。ボブも多くの若者と同じくキングストンへと向かい、そして多くの若者と同じようにキングストンの西の外れのスラム街トレンチタウンに住み着きます。

貧困地域トレンチタウン。そこでは大きな夢を実現のものすべく、多くの若者が過酷なレースを続けています。食べる事さえままならない、劣悪な状況の中、日々いざこざが絶えず、夢途絶え死に付してしまった人の亡骸が当たり前のようにそこにある街です。

一方で、政府や一部の裕福な人々はトレンチタウンの周りに高層ビルを建てました。発展途上の国のほとんどがそうであるように、ジャマイカの首都キングストンでも、高層ビルの裏側には、ビルに囲まれたスラム街があり、そこには夢を追い続け、しかしそのハードルが想像以上に高いことを一瞬にして理解し、途方に暮れる若者たちがいました。ジャマイカの首都キングストンの西の外れのスラム街、そこはその環境からコンクリート・ジャングルと呼ばれるようになります。

誰もが抜け出そうともがく、だがなかなか抜け出せない。それがトレンチ・タウン、それがコンクリート・ジャングルです。

Concrete Jungle♪♪♪

No sun will shine in my day today
The high yellow moon won’t come out to play
I say’d dark mist has covered my light
And has changed my day into night, yeah
Where is the love to be found
Oh, someone tell me cause the light
Must be somewhere to be found

Instead of concrete jungle
Where the living is hardest
Concrete jungle
Man, you’ve got to do your best
Oh yeah

No chains around my feet
But I’m not free
I know I am bound here
In captivity
Hear now, I never known happiness, yeah
I never known what sweet caress is, still
I’ll be always laughing like a clown
Won’t someone help me, ‘cause
I’ve got to pick myself from off the ground

コンクリート・ジャングル♪♪♪

今じゃもう陽の光も失せ
高く昇るはずの黄色い月もでてこない
闇がオレ達の光を覆い 昼と夜とがひっくり返る
愛はどこへいってしまったのだろう
誰か教えてくれ
素敵な生き方がどこかにあるはず

コンクリート・ジャングルの中では
ここじゃ生きることさえ難しい
コンクリート・ジャングルで
精いっぱいやるしかないんだ

鎖につながれてはいないけど
オレは自由ではない ここでは囚われの身なんだ
幸せなんて知らないし
素敵なふれあいなんてあるはずもない
ただピエロのように笑うだけ
誰か助けてくれ
ここから抜け出したいんだ
このコンクリート・ジャングルから

※訳文は筆者の勝手な解釈を含みます。ご了承ください。

夢を抱き多くの人たちが集まりました。だけど、コンクリート・ジャングルにはたいした未来は落ちていません。多くの若者はチンピラかギャングになり、刑務所に入れられてしまうか、殺されてしまいます。

コンクリート・ジャングル

そこは、”持っている”人は決して足を踏み入れようとはせず
強き人の力はただ、生き延びるためだけに使われ
弱く、”持たざる”人はただ落ちていきます

コンクリート・ジャングルに足を踏み入れたほとんどが、落ちていきます。いずれ世に出るボブも最初は同じ。ジャマイカの多くの若者が、夢を追い敗れし状況をボブは後に、リアルに詩にしました。

コンクリート・ジャングル
ここじゃ生きることさえ難しい
でも精一杯やるしかないんだ

そこでくすぶり、落ち続けるジャマイカの若者にボブのその詩が響かないはずがありません。トレンチタウンのコンクート・ジャングルの状況は、ボブの時代も今も変わりはありません。いずれレゲエの神として、世界中を闊歩するボブのヒストリーもここから始まります。

Jah Rastafari!

Photo by YardEdge

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この記事を書いた人

マーケティングに関わる仕事に20年以上携わっています。感銘を受けたポップカルチャーをマーケティング視点で記録したり、日々の暮らしや身に着けているもの、健康・投資について記録するためにブログを活用しています。

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