昨年話題になった眼鏡チェーン「オンデーズ」の田中修治社長の私小説「破天荒フェニックス」を読みました。
最初に知ったのはNewsPicksですかね。ネット記事は読んだのですが、本はスルーしたまんま。破天荒な経営。聞こえは憧れますが、不惑を迎えて自分自身の性格はよくわかっているつもりなので、キャラじゃないな。というのが正直な印象でした。
でも本を読んだ友人がいたく感銘を受けたらしく、サイン会まで行ってそのサイン会で2冊目を買ったとのことで、おすそ分けしてもらいました。最近はもっぱら電子書籍をタブレットで読むのが常なので、手元に本がある状況が珍しく、気軽な気持ちでパラパラと頁をめくりはじめます。
読み口は軽快で、スラスラと先に進みます。序盤は「企業の資金繰り」がテーマですかね。
運転資金の現金は企業にとっての生命線。もしものときはコツコツ集めるしかない。
小さいけれどそれなりに歴史のある会社で経営というポジションを勤めさせてもらっています。もちろん運転資金や現金も経営会議では話題になり、銀行に借りておいた方がいいなんていう議論をすることもあります。が、そんなポジションになって7年ほど立ちますが運転資金に窮した経験はありませんでした。宇
経営会議の主題はだいたいがPL(損益計算)で、半期に一度ぐらいはBS(貸借対照表)を議論するぐらい。そんな状態なので、本書におけるオンデーズの窮状はまさにドラマを見るかのように読み進めました。月末には資金がショートする。銀行には借りられない。そんな状況において現金を確保するためのアクションは地道にコツコツと進めるしかないんだなと。
銀行に返済のリスケをお願いする。取引先の支払いサイトを先延ばし交渉する。社債を発行して現金を確保する。殊更店舗を増やすことで売上・利益を伸ばし続ける業態だからということもありますが、こうしたスリリングな場面が何度もあり、窮地を脱する様子をハラハラと読み進めました。
出店はタイミングが命。常時即断即決が求められる。
物語の後半はオンデーズの出店計画がテーマでした。たまたまこの1年ぐらい、本業とは全く異なる店舗運営のプロジェクトを任されています。性格上、とても慎重に出店計画を描いています。でも、本書を読んで慎重で美しい出店計画はなかなかないものだと思い知らされました。
よい物件・テナントとの出会いはめぐり合わせで、熟慮して躊躇したらチャンスはすぐに手から離れていくんだと。誰も待ってくれないし、多くの合意は取れないから。売れる店を構えるということは、社長や責任者の強い意志で進めていかなければならいのだと。少し反省して腹を据えようと思いました。
ベン・ホロウィッツの「HARD THINGS」みたいだ。
数年前に読んで経営者の孤独に心を震えさせられた「Hard Things」という本がありました。
本書を読んで改めてHard Thingsを読んだときの気持ちを思い出しました。常時苦闘していて、いつも腹が痛い。多くの経営ってそんなもんだと、再び気合を入れて仕事に取り組みます。同じ日本人で語り口も軽快な田中社長の文章はHard Thingsよりもより身近に感じられたかな。
季節は冬の終わりに差し掛かり、当社の一番の繁忙期を迎えます。ボクが担当する事業は産休や病気、新規事業にリソースが割かれるなどの状況が重なり、例年に比べてマンパワーが極端に足りていません。すでに案件はあるけど受けられる人がいない。なんていう状況が露わになってきました。
さて、ちょっとしたHard Thingsです。ここから2か月は自分が先頭にたって、社内リソースでは受けきれない案件をあらゆる人脈を辿って実現できるようにしていきます。立ちはだかる壁は大きいですが、そんな折にこの本を手に取れてよかったと思います。がんばります : )
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