ジャマイカが好き。レゲエが好き。ボブ・マーリィが好きだ。レゲエのすばらしさに気づいたのは、ボブ・マーリィが陽気なリズムにのせて唄うのは、ジャマイカの現状をリアルに唄った詩であることを知ったとき。裏打ちのハートビートはご機嫌に感じるけど、そこに込められた想いは切実ではかないのです。
実際にジャマイカの情勢は厳しく、ゲットに住む多くのラスタマンは貧困と身の危険にさらされる毎日です。ボブ・マーリィの詩たち以外にも、そうしたジャマイカをテーマに描かれた物語や映画があります。
ひとつはレゲエの英雄「ジミー・クリフ」が主演した「ハーダー ゼイ カム」。ルードボーイ文化を世界に発信するきっかけとなり、スマッシュヒットした映画です。
もうひとつ「ロッカーズ」。当時ジャマイカの音楽シーンで活躍するアーティストが一同に介して作られたスーパームービーです。
こうしたジャマイカのリアルを物語にした作品ですが、劇中で流れる音楽も登場する人々も。とてもすばらしいのですが、どこかファニーな雰囲気をまといます。
貧困や暴力は実際に厳しいものなのでしょうが、盗まれたものを取り返したり、貧困がために家族や妻と言い争いになったり、拳銃の銃口をこめかみに突きつけられたり。。シリアスなはずなのに、なぜでしょう。ピカピカの美しい太陽の下、光り輝く透明な夜空の下、青と白のコントラストなビーチの隣で。シリアスなドラマを演じてもファニーなんです。
この夏、読んだ「星とレゲエの島/山川健一」もまさにそんな小説です。気持ちよい太陽、美しい海。陽気なラスタマン。これらに囲まれた日本人からの旅行者が、犯罪に手を染めていくまで。。
そこには確かに現状への理不尽さや未来へのチャレンジなど、共感できる点があるのですが、大真面目におバカをやっているというファニーさを感じざるを得ないのです。でも勘違いして欲しくないのは、その大真面目のおバカが進む過程はとても気持ちよく、読んでいて爽やかです。
音楽でも小説でも映画でも、おバカさんたちを許すことができる懐の深さがカリブの島。ジャマイカにはきっとあるんだろうと、また想った夏でした。
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