ボブの歴史を紡ぐ上で重要なテーマです。ボブ・マーリィ、またレゲエミュージックの主題、思想を構成するRastafarianism(ラスタファリズム)についてのお話です。
今では日本の街でも、ファッションとしてのドレッドヘアを見かけます。そのルーツが、ラスタファリズムを崇拝するラスタマンです。ラスタの戒律により、体に金属を入れてはいけないラスタマンが、硬い天然パーマを伸ばしつづけた結果があのドレッドヘアです。
ラスタマンが信奉するラスタの神は実在する人間でした。エチオピアの皇帝ハイレ・セラシエⅠ世です。ラスタマンは彼のことをJah(ジャー)と呼びます。ラスタマンの祖先は、アフリカから奴隷としてジャマイカに連れてこられた人々です。ジャマイカからは遠く離れたエチオピアは、ラスタマンのルーツなのです。
ラスタのアイコンとしてラスタカラーは多くの人に知られています。上から、緑、黄、赤というのがラスタカラーです。それはアフリカの緑、金色に輝く大地、そしてたくさん流してきた血を象徴するものです。Jahの国、エチオピアの国旗にも使われている色です。
ラスタマンの遥かなる想いは、彼らの祖先が生まれた地、そしてJahのいるアフリカへの回帰です。さらには、世界中をLoveとPieceで“征服”しよう。とい野望もシェアしています。そのための武器としてミュージックを選ぶ、というのがラスタマンのなんともチャーミングなところです。
ラスタファリズムの厳しい戒律は肉食も禁じています。ラスタマンはアイタルフードと呼ばれる自然食を食します。そしてとても特徴的なのが、ガンジャ(マリファナ)の愛飲です。彼らはガンジャに酔い、アフリカを想います。そして、レゲエを歌うのです。
ガンジャは知っての通り、多くの国で違法とされてます。ジャマイカでもそれは一緒です。実はジャマイカでもラスタマンは忌み嫌われる対象なのです。ラスタマンは危険思想を持つとされ、ジャマイカの首都キングストンの町のはずれのスラム街トレンチタウンに住み、恐れられる存在でした。
ボブは10代になった頃、故郷のナイン・マイルズから、首都キングストンに移り住みます。そこでラスタと出会います。ボブはラスタについて問われると、こう答えます。
I am not religion, I am a rastaman.
So religion is not, this is not religion This is life.
僕は宗教を持っていない。僕はラスタマンだ。
ラスタは宗教じゃない。それはライフだ。
言葉の通り。ボブは人生をかけてラスタを、レゲエをヴァイブしつづけました。ラスタの伝道師として、唄いつづけ、唄うことで戦いつづけました。ボブが伝え、導きたかったラスタの想い。それは世界中の人に届け、共感して欲しい、とてもとてもポジティブなバイブレーションでした。
Positive Vibration♪♪♪
Rastaman vibration yeah!
Positive
I and I vibration yeah!
Positive
I a man iration yeah! lrie ltes
Positive vibration yeah!
PositiveIf you get down and quarrel
Everyday
You’re saying prayers to the Devil, I say
Why not help one another on the way
Make it much easier
Say you just can’t live that
Negative way
You know what I mean
Make way for the positive day
Cause it’s a new dayNew time, new feeling yeah!
Say it’s a new sign
Oh what a new day
Picking up
Are you picking up now
Jah love, Jah love protect us
ポジティブ・ヴァイブレーション♪♪♪
ラスタマンのバイブレーションはポジティブ
I&I(みんな)前向きだ
人間の想像力は永遠だ
ポジティブバイブレーションはゆるぎないいざこざばかりで落ち込んでるなんて
悪魔にお祈りしているようなもの
ねぇ なんで助け合わないの
もっと楽になれるのに
ネガティブなやり方じゃとても生きてられない
わかるかい
ゆるぎない明日へ向かうんだそれは新しい日
新しい時間
新しい感覚
新たなる始まりの兆し
なんて穏やかな日なのだろう
出発だ用意はいいか?
Jahの愛 Jahの愛が オレ達を守っている
※訳文は筆者の勝手な解釈を含みます。ご了承ください。
ボブが経験したトレンチタウンの暮らしは、とても厳しいものでした。日々の食事さえままならず、食べものや、お金のことでのいざこざが絶えません。明日死んでもおかしくない状況で、ラスタマン達は常に恐れと怒りの中にいます。
ボブはそんな状況でも、ラスタファリズムの中心にあるポジティブなヴァイブレーションを信じ、恐れ怒れるラスタの同胞に、この詩を送りました。
前向きに助け合って、何かをはじめよう。
オレ達にはJahがついている。と。。。
ボブがこの小さな島国、の小さなコミュニティから発したポジティブなヴァイブレーションは、やがて世界を席巻し、ラスタに対する大きなリアクションを得ることになります。
トレンチタウンのラスタマン達の暮らしは変わりません。でも、ボブの成功は彼らにポジティブなバイブレーションを引き起こし、魂の救済と、新しいなにかへのチャレンジを、きっと促したことでしょう。ボブ・マーリィのヴァイブレーションは外に中に、広く深く、響き続けます。
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