医師であり統計学者でもあるハンス・ロスリングの「FACTFULNESS(ファクトフルネス)」を読んでいます。
ネガティブな情報に惑わされることなく、事実を見つめどんどん良くなっている世界を知ろうと説く一冊です。世界に前向きな考え方を発信し続けたロスリングですが、2017年にお亡くなりになられているのですね。この本の出版に生きて立ち会うことができなかったようです。もっと世界にポジティブな情報を伝えて欲しかったのですが、残念です。
さて、この本ですがマーケティングに携わり、生活者のポジティブな事実を商品開発やコミュニケーション活かそうと提案をしている当社にとって勇気を与えてくれる内容です。
時を重ねるごとに少しずつ、世界は良くなっている。何もかもが毎年改善するわけではないし、課題は山積みだ。だが、人類が大いなる進歩を遂げたのは間違いない。これが、「事実に基づく世界の見方」だ。
なんて力強い言葉でしょう。事実は前向きに進んでいる。にもかかわらず、なぜ人々はネガティブな幻想に惑わされるのか。そんな状況を、人間の本能や情報の伝わり方から説明をしてくれています。加えて、世界にとってポジティブな情報もふんだんに盛り込んで。
まだ読み進めて1/3程度ですが、ハッとさせられた事実や考え方。自分の生き方や仕事に生かすべきポイントなどを読み進めながら記録していきます。
ほとんどの人が、よりドラマチックな話を選ぶ
いくつもの統計情報を問題やクイズにして世界の人々の回答を集めてきたロスリングの気づきです。
ほとんどの人が、世界は実際よりも怖く、暴力的で、残酷だと考えているようだ。
(中略)
ドラマチックすぎる話を認識する術と、あなたのドラマチックな本能を抑える術を学べる。間違った思い込みをやめ、事実に基づく世界の見方ができれば、チンパンジーに勝てるようになるだろう。
多くの人が事実よりも世界はより怖く、暴力的で、残酷だと誤認していて、ロスリングが出す問題に間違った回答をしてきました。その正答率はチンパンジーよりも低く。この誤認はマーケティングの現場でも気を付けなくてはならないテーマで、大げさなネガティブオピニオンに振り回されるのではなく、実際商品やサービスを体験している人の小さなポジティブな(満足している場面の)事実に注目するべきだと考えています。
人々の考え方を変え、根拠のない恐怖を退治し、誰もがより生産的なことに情熱を傾けられるようにしたい。
マーケティングリサーチの現場でたくさんの生活者の事実に触れてきて思うことは「少なくとも日本人は今の生活にだいたい満足している」ということです。ただ、意見を問うてしまうと根拠のないネガティブオピニオンがどんどん湧き上がってきます。
今の時代のマーケティングの役割は、そうした根拠のないネガティブに対応するのではなく、まだ多くの人が気づいていない小さな満足を集めて共有すること、教えてあげることで今のだいたい満足な生活を少しずつさらによくすることだと考えています。
ロスリングが言う「誰もがより生産的なことに情熱を傾けられるように」という姿勢に対する実アクションはこれでいいんだと。勇気を持つことができました : )
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