医師であり統計学者でもあるハンス・ロスリングの「FACTFULNESS(ファクトフルネス)」を読んでいます。ネガティブな情報に惑わされることなく、事実を見つめどんどん良くなっている世界を知ろうと説く一冊です。
マーケティングに携わるボクにとってもたくさんの示唆を与えてくれる本です。例えば分断本能の説明では、事実を掴みたいという対象に対して「上からの目線」で物事を見ることの危うさや過ちをわかりやすく知ることができました。
世界の事実を知るのにもマーケティングを考えるのにも「上から目線」は禁物だ
著者のロスリングは自身の講演中に「先進国」の自分たちと、「途上国」彼らの生活を違うものとして回答をした生徒に対して、以下のような事実を突きつけます。
世界の姿は一変している。少人数の家族が当たり前になり、インドや中国を含むほとんどの国で、命を落とす子供の数は激減した。左下の枠に属する国はほとんどいない。ほとんどの国は、「出生率は低く、生存率は高い」ことを示す右上の小さな枠に向かう途中か、すでに到達済みだ。世界の全人口の 85%は、以前「先進国」と名付けられた枠の中に入っており、残りの 15%のほとんどは2つの枠のあいだにいる。いまだに「途上国」と名付けられた枠内にいるのは、全人口の6%、たった13カ国だけだ。
そして、こんな示唆を与えてくれます。
「上からの景色」であることを思い出そう。高いところから低いところを正確に見るのは難しい。どれも同じくらい低く見えるけれど、実際は違う。
この示唆はマーケティングで「何か面白い企画を考えてよ」なんて議論が巻き起こった際に引用したい内容です。こういう風に仕掛けをすれば大体の人は右に行くよね。という「上から目線」のマーケティングの議論です。ロスリングは先進国と途上国という考え方を「分断本能」と呼びましたが、マーケティングの企画者は「我々がこうすればみんなこう動く」と、マーケティングをする側とされる側を「分断」して考えていることがとても多いです。
それではいけないのですね。高いところから低いところを正確に見るのは難しい。まさにそう思います。自ら下に降りていって、同じ視線で観察して考えることができる人こそ本質的なマーケティングを実行できる人だと感じました。
世界には50億人の見込み客がいる。生活水準が上がるにつれ、シャンプー、バイク、生理用ナプキン、スマートフォンなどの購買意欲も高まっている。そういう人たちを「貧困層」だと思い込んでいるうちは、ビジネスチャンスに気づけないだろう。
こういうことなんだと思います。上からの目線ではなく、対象になってみるマーケターこそ機会に気が付けるものなんだろうと。ロスリングの事実の見つめ方はマーケティングへの示唆にあふれています。引き続き、読み進めます : )
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