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明日のプランニング 伝わらない時代の「伝わる」方法|マーケターが伝えたくて、でもうまく伝えられないことを上手に言ってくれる

明日のプランニング」は、広告代理店時代からコミュニケーション・プランニングを実践してきた佐藤尚之さんの著作。著者の「明日の~」シリーズの3冊目。ボクはすべて読んでいる。

著者の本の痛快なところは、我々マーケターが日々クライアントに伝えたくて、でもうまく伝えられないことを上手に言ってくれるところ。さすがコミュニケーションのプランナーだなぁ。という表現がたくさん。

例えば、彼は広告をはじめとした企業からもメッセージ、生活者になにかを「伝える」目的をこう言います。

伝える目的は「売り」ではない。伝えたい相手を喜ばせることだ。考えてもみてほしい。あなたが伝えたい商品やサービスは、いったい何のために存在するのだろう。それは、生活者の不便や課題を解決するために存在するのである。

顧客の獲得単価がリアルタイムで計測できる時代。クライアントへの提案にも費用対効果の議論がつきまといます。もちろんそれも正しいので、現場ではそういう話も必要だけど。商品やサービスの存在価値にまでさかのぼってなんて議論や提案はしづらいけど、やっぱりクライアントとはこういう部分こそ握っておきたい。それは「Whyからはじめてみる」ことでもあると思う。

こんなウェットなことも言う。

オススメは、「伝えたい相手の笑顔を具体的に思い浮かべる」というやり方。あなたが伝えたい企業や商品やサービスを、必要とし知りたがっている人がいる。その人たちがその情報を受け取って笑顔になる姿を具体的にイメージするのである。

たとえばその情報を待ってくれているであろう対象がシニア層であるなら、ボクは、具体的に「伝えたい相手」として父とか母の顔を思い浮かべる(もう80歳代になっている)。そして、彼らがその企業や商品やサービスの情報を知って、「へー、そんなのあるの! 知らなかったなぁ。それはいいねぇ」と、ニコッと笑顔になった情景を具体的にイメージするのである。そのときの場所はどこで、時刻は何時で、と、なるべく具体的に思い浮かべる。その笑顔の具体的イメージを「ゴール」として、プランニングをし始める。

こんなことをクライアントに言うのは気恥ずかしいけど、シンプルで分かりやすい方法。ついついターゲットとか言ってしまうけど、それだと伝えたい相手への気持ちがぐんと冷めてしまう。

そして「伝えたい相手を笑顔にする」ためのアプローチ。

では、「伝えたい相手を笑顔にする」ことがゴールだとして、それをプランニングするとき、一番大切なのは何だろう。それは「伝えたい相手を知ること」だとボクは思う。具体的にイメージした「伝えたい相手」が、どういう毎日を送っていて、どういう情報環境にいて、何を喜ぶか、などをきちんと知ることだと思う。だって、それらを知らないと相手を笑顔になんかできないからである。

なるほどこのアプローチは、最近難しいリサーチの提案に活かせます。簡単に声が聞けた気になるネットリサーチ。一過性のグループインタビュー。それだけでは伝えたい相手が「どういう毎日を送っている」かは正確に知ることができないと思います。

だいたい満足している日本での暮らしの中で、ほんのちょっとの不便や課題を見つけてあげて。それを解決して生活者を笑顔にすること。そんなシンプルなリサーチ&プロモーションの提案の示唆をもらいました : )

Photo by hydropeek