「明日のプランニング」では、マーケティングに携わるボクが感じるモヤモヤを上手な表現で納得させてくれます。
今、ボクは自分でマーケティング企画を書くけれど、営業に企画の内容の相談やチェックをお願いされることもたくさんあって。そんな場面でよく感じるのが「もっと(エンターテイメント的に)おもしろい企画にしたいんです」という営業のリクエストへの辟易です。
名の通ったクリエイターでもないし、お笑い芸人でもない。ましてや小心者で慎重派なボクに「おもしろい企画」を求められても困ります。でも、本書が言う「受け取った人がうれしいと思うメッセージ、というか伝え方」は考えられます。それは、自分がその本人になってみることで考えられるから。その仕掛けは、地味だし爆発力はないけれど、我ながらおもしろいと思っています。
なにがおもしろいのか?ではなく、なんでうれしいのかなんだ!という企画やマーケティングのベクトルのちょっとしたニュアンスの違いを現場の営業マンに理解してもらうのが今までは難しかったけど、本書にヒントをもらいました。
エンタメ過剰である。「伝える仕事」に携わる人は、伝えたい情報に様々なエンタメ(エンターテインメント)をまぶして、少しでも生活者に見てもらおう、楽しんでもらおうとする。ただ、これまた有史以来、日本ほどエンタメが溢れている社会はそうはない。日本の生活者は24時間エンタメに囲まれているのだ。
エンタメ過剰に晒されて、世界中から毎分毎秒のごとく超面白いエンタメが届くのだ。そんなに簡単にCMを面白いと思ってくれない。ましてやシェアもしてくれない。
そうなんだ。世の中は「おもしろい情報」であふれている。ボク自身の体験でも、ネットを波乗りしていれば時間はどんどん過ぎていく。そんな世の中で、例えばボクらが考えた「おもしろい企画」をうれしく受け取ってくれる人はどれだけいるだろう?クライアントには喜ばれるかもしれないが。
広告のコンテンツ化とかコンテンツ・マーケティングとかいう呪文を気軽に唱える人がわりといる。また、「面白い動画を作ってバズらせましょう」みたいなことをさも簡単そうに口にする人もわりといる。でも、それってそんなに生やさしいものなのだろうかとよく思う。総合的なプランニングなしにただ「いいコンテンツ」を作っても、まず見てもらえない。世界中から毎分毎秒ポケットに届くコンテンツに勝って「覚えてもらう」なんてどのくらい不可能か、ちょっと考えればすぐわかる。
企業の大切な予算を使って、そういう手探りかつ当たるも八卦的な施策をするのはプロとしてどうかとは思う。少なくともボクはそんな不誠実な提案はできない。
不誠実な提案。この言い回しは、うまく使いたいと思った。おもしろい企画を求められて、手探りなおもしろい企画を提案するのは不誠実なんだ。それより、自分が情報を受け取る生活者になってみて、なにがうれしいのか。を追求したい。そのヒントも本書では教えてくれます。
こんな時代でも友人知人の言葉や行動は「超関心事」なのである。砂一時代でもボクたちの興味関心を呼び、耳目に入ってくるのである。
情報が多すぎて伝えたい相手に届かないいまの超アゲンスト状況で、唯一の「解」は、仲間ごとにする、つまり「友人知人を介す」ということなのだ。これはデジタルやアナログ、バーチャルやリアルの区別はない。
クチコミマーケティングの実践に関わっているからという背景があるけど、すんなりと素直に腹落ちします。クチコミはそれが真っ当であれば、友人に伝える側も伝えられる側も「うれしい」と感じられるコミュニケーションです。その発信者も受信者もうれしいと思えるクチコミにドライブをかけるための企業の姿勢やアクションは「おもしろい企画」になると思います。
そのあたりのニュアンス。本書を頼りに伝えていこうと思いました : )