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2010s(トゥエンティテンズ):第1章~レディー・ガガとピッチフォークの時代|レディオヘッドはトップになっちゃいけなかった

2010s(トゥエンティテンズ):第1章~レディー・ガガとピッチフォークの時代|レディオヘッドはトップになっちゃいけなかった

2010年代のポップカルチャーのメインストリームや、そこで起きた変化を解説する本「2010s」。1周目でチェックした部分を中心に、2周目を読み進めながら感想を記録していきます。

2010年代前半の音楽シーンは、それまでのメインストリームだったインディロックがフィメール・ポップにとって代わられたタイミングだと本書では解説しています。そしてインディロックとともに隆盛を極め、同じく凋落をともにしたメディアとして「ピッチフォーク」を話題にしています。そのピッチフォークの価値基準に最もリンクしていたバンドとは。という筆者たちの会話から、今回のブログははじめます。

レディオヘッドとLCDサウンドシステム

宇野 タナソーさん的に、ピッチフォークの価値基準と最も個人的にリンクしていたのはどの辺りのバンドになるんですか?
田中 やっぱりレディオヘッドとLCDサウンドシステムってことになると思う。

ここでレディオヘッドの話題です。たった今、2020年のはじめに41歳のボクがハイティーンの頃からずっと聴き続け、ライブにも何度も足を運んだのがレディオヘッドです。きっかけは何だったろうな。。バイト先のロックンロール好きな先輩に、前髪を切りすぎてしっぱいしちゃったと思っていた髪型を「トム・ヨークみたいなヘアスタイルじゃん」なんてホメてもらったことだったかもしれません (^^;)

どんなきっかけにせよ、レディオヘッドは永く愛しているバンドです。著者の田中宗一郎(タナソー)さんの音楽雑誌「snoozer」を手に取ったきっかけもレディオヘッドだったかもしれません。

そして、LCDサウンドシステム。こちらもレディオヘッドには及びませんが、よく聴きました。こっちは逆で、snoozerで知って聴きはじめたバンドだったと思います。

田中 まずレディオヘッドとは何かと言うと、ポストパンク的な感性だよね。ジョイ・ディヴィジョン的というか、時代の浮ついた空気に対して常に冷や水を浴びせかけてきた。ただ、そういうスタンスというのは、常にオルタナティブであって、そもそもトップになっちゃいけなかったとも思うんですよ。

宇野 でも、彼らがすべてのインディミュージックの頂点に立ってしまった。(中略)インディミュージック全体がハイコンテクスト化しすぎて、若いリスナーにとってハードルが高くなったというのは少なからずありますよね。ただ、メインストリームがレディオヘッドである以上、それは必然だった。

この空気感はよく分かります。ハイコンテクストなレディオヘッドの音楽はそれを消化するにはいろんな運動(たくさんの解説やレビューを読んだり、リファレンス先を探したり)が必要でエネルギーを使うけど、それを続けてレディオヘッドに置いておかれない自分が好きなので大変だけど聴き続けているのだと気づかされます。それはきっと、途中からレディオヘッドの音楽を紐解こうと思い立った若いリスナーには大変すぎる運動などだと思います。

田中 やっぱりオアシスみたいなバンドがトップとして君臨している方が健全だった気がするんだよね。社会全体のバランスとして。

こんなオピニオンもよく理解できます。オアシスをめっちゃ好き!と無邪気に言えていた頃も楽しかったです。でもオアシスは、いつぞやめっちゃ好き。というのが恥ずかしく感じられる時が来たのです。無邪気な自分の方が心地よいのに、ハイコンテクストに溺れつつ泳ぎ切る自分が好き。という感覚が好きなのだと思います。

田中 レディオヘッドが10年近く商業的ににも成功を収め続けたのはかなり異例なことだと思うんですよ。ただ別な視点からすれば、それだけ2000年代という時代は文化的に豊かな時代だったってことでもあると思う。そこには経済的な豊かさとも関係してるんじゃないかな。リーマンショックによって世界経済が破綻したのが2008年の話なわけでしょ。レディオヘッドやUSインディの全盛期とも時間的にシンクロしているんですよ。

なるほどボク自身の2000年代は、snoozerと音楽フェスの10年でした。ボクにとっても文化的に豊かな時代でした。だとしたら、2008年のリーマンショックから、2011年にsnoozerが廃刊し、その後フェスニも行かなくなったボクの2010年代がポップカルチャーに取り残されてしまったことにもリンクしてきます。

レディオヘッドはトップになっちゃいけなかった。刺激的なオピニオンですが、ボクにとっては彼らがトップにいてくれたからこそ、今こうしてハイコンテクストな「2010s」という本を興奮とともにじっくり永く読み進める楽しさを噛みしめられるものだと思っています : )

「2010s」の感想は「2010s/トゥエンティテンズ」のタグでまとめていきます
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