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映画「ボヘミアン・ラプソディ」~リリックとフレディの生き様がシンクロして背筋がゾっとした

映画「ボヘミアン・ラプソディ」~リリックとフレディの生き様がシンクロして背筋がゾっとした

もう半月以上前、年末の話ですが、ずっと観たかった映画「ボヘミアン・ラプソディ」をゆっくり鑑賞してきました。

2018年の映画で最高のヒット。ロングラン上映も続けているので、これから観るという人も多いと思います。ネタバレにならないように想ったことだけ綴っていきます。

まずクイーンに対するボクの関わり方から振り返ってみます。フレディ・マーキュリーが亡くなったのが1991年。当時ボクは13歳です。ちょうど洋楽というものに触れはじめた時期です。FMラジオから流れるポップミュージックに心踊らされ、海外のお気に入りのアーティストとかができはじめた頃です。なので、当時のリアルタイムな音楽を聴いていたのでクイーンはフォロアーです。クイーンの音楽に触れたころにはフレディはすでに亡くなっていました。

手元に残っているCDは「ジュエルス」というベスト版のみ。それでも最初に「ボヘミアン・ラプソディ」の奇妙なメロディに心奪われて、以前からカラオケで唄ったりしていました。(長編な楽曲なので同行者には迷惑なのですが。。)

「伝説のチャンピオン」も「ウィー・ウィル・ロックユー」も「ドント・ストップ・ミー・ナウ」もよく聴きました。今回の映画で再評価したのは「レディオ・ガ・ガ」です。ライブエイドでウェンブリー・スタジアムを埋めるオーディエンスを前に唄うと極上のアンセムになるんだなぁ。と心震えました。

それでもボクにとってのクイーンは心に残るようなマスターピース的な存在ではありませんでした。なので、彼らの楽曲のリリックを噛みしめて聴くこともなく。その辺りが今回の映画でのハイライトです。そこは後述します。

そして、フレディ・マーキュリー。ゲイであり、AIDSで亡くなったことは知っていました。その半生を映画に乗せると小説よりもよくできた事実なんだなということは映画で知りました。仲間を見つけ、愛する人ができ、スターダムを駆け上がり。その途上でつけ上がり、アルコールとドラッグに溺れ、人とは違う本当の自分に気づいて悩み。仲間も成功も失う。絵に描いたようなロックンロールスターの栄光と衰退があり。

そして、復活。でもここで不治の病であるAIDSであることが発覚するなんて、小説よりも奇妙な人生です。

それらをすべて抱えて臨んだチャリティーイベントの「ライブ・エイド」。そこで唄われた楽曲たちのリリックがそれまで生きてきたフレディの半生とシンクロして背筋がゾっとします。これらはAIDSが発覚する前の曲たちだよね。なんでこれまで彼の生き様に沿って唄われているのでしょう。

心が震えたリリックを紹介させてもらいます。

Too late, my time has come. Sends shivers down my spine, body’s aching all the time.
Goodbye everybody, I’ve got to go, Gotta leave you all behind and face the truth.
Mama I don’t want to die

もう遅すぎる 時が来たんだ 背中が震えて止まらない 体中が痛いんだ
さようならだ みんな ボクは行かなくちゃ ボクがいなくなっても変わらず真実に向き合って
ママ ボクは死にたくない

Bohemian Rhapsody

不治の病を宣告されたフレディがこれを唄うのです。唯一ずっと味方でいてくれた母には「死にたくない」と弱音を吐くのです。AIDSに感染する前につくった曲が、その後のフレディの気持ちを代弁する言葉になりました。

Buddy you’re a young man hard man, Shouting in the street gonna take on the world some day.
You got blood on yo’ face, You big disgrace, Wavin’ your banner all over the place,
Singin’ We will we will rock you.

気難しい青年よ 今は街で声を張り上げてるけど、いずれ世界を支配するだろう
顔に血 大きな不名誉の旗をかかげ あちこちで振り回している
唄おう お前達を揺さぶるぜ

We will rock you

オーディエンスと一緒に奏でる、共有できる曲を作ろうとしてできた曲です。その結末がウェンブリーを埋め尽くす大観衆と、世界中でライブ中継を見守っている人々の心を揺さぶり、そのとき世界を支配しました。

I’ve paid my dues, Time after time, I’ve done my sentence, But committed no crime.
And bad mistakes, I’ve made a few, I’ve had my share of sand kicked in my face,
But I’ve come through.
And I need to go on, and on, and on, and on
We are the champions, my friends. And we’ll keep on fighting till the end.

何度も代償を払ってきたのさ 刑期は終えた 罪は犯してないけれど
少しだけ間違いもした 顔を蹴られて砂をかけられたりもした
でも乗り越えてきたんだ
前に前に進むしかない
友よ私たちはチャンピオンだ 最後まで戦い抜くのだ

We Are The Champions

間違いを犯し、一度は友から見放され砂をかけられたフレディが、友とともに戻ってきてチャンピオンであることを宣言しました。世界はその通りに受け取りました。

すごい話です。短い黄金時代の間に作ってきた曲たちが良いことも悪いことも現実のものとなって、ライブエイドで世界中の人々がそれを認め、称えました。それからライブエイドでの演奏はなかったけれど、この映画のテーマソングである「ドント・ストップ・ミー・ナウ」のリリックもすごいです。

Tonight I’m gonna have myself a real good time.
I feel alive and the world I’ll turn it inside out – yeah.
And floating around in ecstasy.
So don’t stop me now don’t stop me
‘Cause I’m having a good time having a good time.

今夜、俺は心底楽しむつもりだ
生きてて良かった、天と地がひっくり返ったような気分を味わう
エクスタシーの波に漂っているんだ
だから俺もう止めないでくれ
だって、こんなに楽しんでいるんだから 楽しんでいるんだ

Don’t stop me now

常識やルールに縛られず、やりたい音楽を作り、本能のままに生き。誰にも止められることはなく、そして死んでいったフレディの生き様に重なるリリックです。

クイーンとフレディの言葉が何で人々の心を揺さぶるのか。その理由が分かった映画でした。その余韻もすさまじく、今でもリリックを噛みしめながらクイーンの曲を聴いています : )

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