引き続き、糸井さんのやわらかい言葉でハっとさせられる気づきをもらっています。
今回は働き方の話で。というか、経営の話なので「働かせ方」の話ですね。
ここはボクの最近の悩みでもあり。一般的な会社の言葉で言うとある製造部門の売上状況が良くなくて、自ら営業して仕事を獲りに行こうと。そんな「働かせ方」をさせなくてはならない局面があって。そんなときに、なぜ自分たちが忙しくなる仕事を自分たちで営業しないとならないのか。いくら忙しく働いても目標数字には届かない。そんな反論にちゃんと応えられずにいます。
そんなレベル感のボクに、糸井さんの「ほぼ日」での働かせ方は憧れに映ります。
ぼくたちはその逆に挑戦することにしたんです。
一般的な企業の労働時間は一日八時間ですが、ほぼ日ではそれを七時間に短縮しました。そして毎週金曜日を「インディペンデントデー」として、ひとりで考えたり、自由に使ったりする時間にしました。簡単に言うと、労働時間を減らしながら、給料のベースを上げることに決めたのです。世の中の「働き方改革」は残業時間を減らして社員に支払う給料も減らすケースが多いけれど、ぼくたちはその逆に挑戦することにしたんです。
ボクは今、製造部門に営業までやって欲しいと指示をしています。それは世の中の働き方改革とは逆だと思って説明し辛く感じていました。糸井さんは「働く時間を短くして、そして給料のベースも上げる」を実践して、それを働き方改革の逆であると言いました。そんなこととてもできないけど、すごくかっこいいです。
スタッフに言いづらいことをちゃんと伝えて、合意して、進めていくことが経営だと思っていますが、本当は言いづらいことなんて作っちゃいけないんだと、そう思います。
糸井さんはさらに、働き方改革にこんなアンチテーゼをおくります。
集中しているふりは上手にできるかもしれないけれど、それではダメです。ぼくたちにとって、「生産性が上がる」ということは、質のいいアイデアがたくさん生まれるということ。たとえ勤務時間が減っても魅力的なアイデアが出てくれば、それはかならず事業につながるはずです。
働き方改革は、働く時間を短くして集中して今までと同等、もしくはそれ以上の成果を上げよう。と言います。でも糸井さんは集中なんてしなくていいと言います。
この一年、ほぼ日では新しい事業の柱となるようなアイデアがいくつも誕生しました。それは集中したから出たわけではありません。普段からクリエイティブのクセをつけたり、思いついたことを人に投げかけてキャッチボールをしたりすることから生まれたわけです。「もっといい考えがあるんじゃない?」と繰り返し問い続けることが大事なのであって、それは集中力とは違います。集中したからいい発想が生まれるわけではない。ぼくは一生懸命、そう伝えています。
当社にはこんな言葉がありました。「24時間遊び、24時間仕事」。今の時代ではともすればパワハラに聞こえなくもないので、言いづらくなっていた言葉ですが、ボクは好きなんです。
糸井さんが言う「普段からクリエイティブのクセをつけたり、思いついたことを人に投げかけてキャッチボールをしたりすることから生まれたわけです。」「集中したからいい発想が生まれるわけではない。」そんな言葉に近いものを感じませんか?
受け取る側の様子を気にしながら、気を付けて「24時間遊び、24時間仕事」の意図を伝えていきたいと思いました。集中したからいい発想が生まれるわけではない、生活まるごと楽しんで糧にするクセをつけること。上手にそんなメッセージが伝えられればいいなと。今、悩んでいる働かせ方に、少しの道しるべをもらえたエピソードでした : )