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記憶に残るアイデアを生むために「SUCCESs」の要素をいれる

アイデアのちから」は記憶に残るアイデアを生むためのフレームワークを説いた本です。



企業のコミュニケーション、コンテンツ・マーケティングの道しるべとしてよく引用されています。身近なアクションでは「企画書」や「レポート」の作成に役に立つと思います。

本書では、記憶に残るアイデアに必要な要素として以下の6つを示しています。

6つの英語の頭文字をつなげると「SUCCES」となり、覚え方として「SUCCESs(成功)」と紹介しています。

それぞれを解説します。

●単純明快である(Simple)

アイデアから余分なものをはぎとって、一番大切な本質をむき出しにすること。Twitterが目指す「純化」にも似ています。例として「ヒットした映画」が、予算を取るためにスポンサーに説明したキャッチコピーが挙げられています。

  スピード・・・バスを舞台にしたダイ・ハード
  エイリアン・・・宇宙のジョーズ

大切な本質を、伝えたい相手と共有できる事柄に置き換えることが有効だとわかります。

●意外性がある(Unexpected)

驚きや好奇心といった反応を利用して、相手の関心を惹きます。意外性を理解につなげた例として。サメに怖がって海に入れない人に示す統計データがあります。

 A.ある年にアメリカで海でおぼれて死ぬ人は12人いたけど
  サメに襲われて死んだ人はいない

 B.サメとシカ。どちらの動物に人間は殺されることが多いのか?
  実はシカの方がサメより300倍多い

人間にとって「サメ」より「シカ」の方が怖い存在であることは「意外」ですが、「B」の例の方がサメを怖がる人に説得力があるデータになるそうです。

●具体的である(Concrete)

具体的である必要性を説くために、人は「限定された方」がより多くを思い出せるという例が挙げられています。例えば、

 A.白いモノを思いつく限り書き出しなさい
 B.冷蔵庫の中の白いモノを思いつく限り書き出しなさい

同じ「白いモノ」でも、「冷蔵庫の中の」と限定された方が人はより多くを挙げることができるそうです。アンケートを聴取するとき、クチコミを募るとき。実践として使える技術です。

●信頼性がある(Credentialed)

信頼性は「権威」の力を借りる。とあります。権威には「権威ある人の言葉」「統計データ」「体験者の生の声」があり、なにより一番は「自分自身の考え」です。実際に体感できる伝え方をするのがベターです。例として、当時のレーガン大統領候補者が1980年米大統領選の討論の中で経済の停滞ぶりを示すのに、有権者に伝えた言葉が挙げられています。

  投票する前にあなたの暮らしぶりが
  4年前より良くなったかどうか自問してください

統計データを並べるより、体感できる伝え方で勝利を得た演説の例です。

●感情に訴える(Emotional)

「感情に訴える」の例として、マザーテレサの言葉が挙げられています。マザーテレサは「大衆を見ても行動しない。個人を見たときに私は行動する」と言います。

アフリカの子供全体に寄付を請おた時よりも、アフリカのマリに住むロキアという子供に寄付をお願いした時の方が、多くの寄付金が集まった具体例があります。

「具体的である」という要素と近いですが、より人が想像・体感しやすい対象まで絞って伝える必要性を実感します。

●物語性がある(Story)

アイデアを行動に移してもらうには、物語を伝えればよい。具体例として、日本の警視庁のシートベルトによる安全性の啓蒙と、アメリカ運輸省の同じそれの事例があります。日本の警視庁が、シートベルトの安全性と、非着用の危険性をとうとうと説くのに対して、アメリカの運輸省の訴えは「素敵なミニバン」の話からはじまります。

  新型エンクレーブは究極のミニバン。
  行動派ファミリーのためのミニバン。
  新型エンクルーブは青々とした草原を駆け抜けます。

  バァァーーン!(衝突事故)

  想像しませんでしたか?みんなそうです。
  シートベルトを締めましょう。

幸せな家族の風景と、それを支える新型ミニバンの物語から、事故の悲惨さを伝えます。幸せな家族の物語に共感した人ほど、シートベルトの重要性を感じるものと思います。

Photo by martinak15
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