経営やサービス開発の道しるべに、少し先の未来を考えようと取り組んでいます。
ケヴィン・ケリーの「〈インターネット〉の次に来るもの」はテクノロジー界隈の今の技術と少し先の技術を俯瞰して見てみる、考えてみるのにとても参考になります。
彼は人々の行動を12の法則として整理し、こうした行動によってもたらされる未来を「不可避」なものと言います。12の法則は以下の通り。
- ビカミング(なっていく)
- コグニファイング(認知化していく)
- フローイング(流れていく)
- スクリーニング(画面で見ていく)
- アクセシング(接続していく)
- シェアリング(共有していく)
- フィルタリング(選別していく)
- リミクシング(リミックスしていく)
- インタラクティング(相互作用していく)
- トラッキング(追跡していく)
- クエスチョニング(質問していく)
- ビギニング(始まっていく)
いずれの単語も、その意味を少し見るだけで自分の行動や、自分の周辺にあるテクノロジーを表現するときのキーワードであることが理解できます。
クエスチョニング(質問していく)
インターネットの次に来るものの後半戦。この「質問していく」のチャプターは、マーケティング・リサーチを生業にして15年のボクにとって拘りがあるテーマです。
これまでビッグデータの時代でも、未来を描くには聞く(質問する)ことが必要だと説いてきました。でも本書を読み解くと、今世の中で最も生活者理解を求めているのはGoogleでありFacebookではないのか?という敗北感も生まれました。で、本章ではそうした敗北感の後に、ケヴィンから質問こそイノベーションの糧になり、人間だからできるものだ。という、最上級のモチベーションをもらうことになりました。
検索エンジンに質問をするたび、そして検索エンジンが正しい答えを返してくるたびに、このプロセスの頭脳が洗練され、将来の質問に対する検索エンジンの価値が上がっていく。われわれがさらに多くの本や映画やIoTをコグニファイしていけば、答えはどこからでも得られるようになる。1日に何百もの質問をする時代にわれわれは向かっている
良い質問とは、正しい答えを求めるものではない。良い質問とは、すぐには答えが見つからない。良い質問とは、現在の答えに挑むものだ。
良い質問とは、科学やテクノロジーやアートや政治やビジネスにおけるイノベーションの種になるものだ。
良い質問とは、さらに他の良い質問をたくさん生み出すものだ。良い質問とは、マシンが最後までできないかもしれないものだ。良い質問とは、人間だからこそできるものだ。
社会は厳格な階層構造から分散化した流動性へと向かっている。それは名詞から動詞に、手に触れられるプロダクトから触れられない〈なっていく〉ものになっていく。固定されたメディアからぐちゃぐちゃにリミックスされたメディアになっていく。保存から流れに変わる。価値を生み出す原動力は、「答えの確かさ」から「質問の不確かさ」へと移行していく
質問を生み出すことを助けるテクノロジーは、もっと価値のあるものになる。質問を生み出すものは、われわれ人類が絶え間なく探検する新しい領域、新しい産業、新しいブランドや新しい可能性、新しい大陸を生み出す原動力なのだときちんと理解されるようになるだろう。質問していくことは単純に言って、答えることよりも力強いのだ
我々のリサーチは「観察すること」を大切にしています。今、世界の最大の観察者はGoogleとFacebookです。ここには敗北感を感じましたが、一方で「観察」は発見を生むが、新しい価値を生むアイデアを発想するためには「質問すること」が必要である。そうモチベートされました。
質問すること、聞く力をこれからも鍛え続けます : )