経営やサービス開発の道しるべに、少し先の未来を考えようと取り組んでいます。
ケヴィン・ケリーの「〈インターネット〉の次に来るもの」はテクノロジー界隈の今の技術と少し先の技術を俯瞰して見てみる、考えてみるのにとても参考になります。
彼は人々の行動を12の法則として整理し、こうした行動によってもたらされる未来を「不可避」なものと言います。12の法則は以下の通り。
- ビカミング(なっていく)
- コグニファイング(認知化していく)
- フローイング(流れていく)
- スクリーニング(画面で見ていく)
- アクセシング(接続していく)
- シェアリング(共有していく)
- フィルタリング(選別していく)
- リミクシング(リミックスしていく)
- インタラクティング(相互作用していく)
- トラッキング(追跡していく)
- クエスチョニング(質問していく)
- ビギニング(始まっていく)
いずれの単語も、その意味を少し見るだけで自分の行動や、自分の周辺にあるテクノロジーを表現するときのキーワードであることが理解できます。
インタラクティング(相互作用していく)
インタラクティブであることは、ボク自身がマーケティングを考える上でとても大切な構成要素です。企業と生活者との関係性において、ずっとこれまで企業の発信過多な時代が続いています。生活者は辟易していることを理解しつつ、発信をやめることを怖がるのが企業だと感じています。
これからの企業の強さは「聞く力」だと思って、ずっと聞くマーケティングを訴えています。本チャプター「インラクティング(相互作用していく)」はそういった問題意識に力強いメッセージで示唆を与えてくれました。
ある友人の子どもはよちよち歩きで言葉も喋れない頃から、父親のアイパッドを横取りして使いだした。彼女はまだ歩きだす前から、絵を描いたり複雑なアプリを簡単に使いこなしたりするようになった。ある日、父親が高解像度の画像を写真用の紙に印刷して、コーヒーテーブルの上に置いた。するとよちよち歩きの娘がそれに近付いて、指を置くと拡げてその写真を大きくしようとしているのに彼は気づいた。彼女はその動作を何回か繰り返して上手くいかないと、困ったような顔をして、「パパ、こわれてるよ」と言った。そう、インタラクティブでないものは故障しているのだ
テクノロジーの未来は、かなりの部分、新しいインタラクションをどう発見していくかにかかっている。これから30年の間に、きちんとインタラクションしないものは、故障していると見なされるようになるだろう
機器と人間との関係性であっても、インタラクティブでないものは「故障している」とみなされると言い切っています。デジタルネイティブな子どもと、インタラクティブなインタフェイスの挿話は他の機会でも聞くことがあるわかりやすい例ですが、笑い話ではなくこれからの感覚としては「故障している」となるのだろうと感じます。
機器であってもこのような感覚が生まれています。マシンとのコミュニケーションだけでなく、先に人間がいるとわかっている企業と生活者のリアルなコミュニケーションも同様、もしくはそれ以上の感覚になってきます。より強い相互作用ができない企業は故障しているとみなされる。だからこそ、聞く力を鍛えようと、より強い気持ちでマーケティングを推進する背中を押してくれたメッセージでした : )