経営やサービス開発の道しるべに、少し先の未来を考えようと取り組んでいます。
ケヴィン・ケリーの「〈インターネット〉の次に来るもの」はテクノロジー界隈の今の技術と少し先の技術を俯瞰して見てみる、考えてみるのにとても参考になります。
彼は人々の行動を12の法則として整理し、こうした行動によってもたらされる未来を「不可避」なものと言います。12の法則は以下の通り。
- ビカミング(なっていく)
- コグニファイング(認知化していく)
- フローイング(流れていく)
- スクリーニング(画面で見ていく)
- アクセシング(接続していく)
- シェアリング(共有していく)
- フィルタリング(選別していく)
- リミクシング(リミックスしていく)
- インタラクティング(相互作用していく)
- トラッキング(追跡していく)
- クエスチョニング(質問していく)
- ビギニング(始まっていく)
いずれの単語も、その意味を少し見るだけで自分の行動や、自分の周辺にあるテクノロジーを表現するときのキーワードであることが理解できます。
以前に自分の嗜好を整理してみて「ミニマル(純化)」「タイト(きちんと合う)」「マッシュアップ(集約)」というキーワードをあげました。その辺りにも通ずる部分があり、興味津々で読み進めています。
http://ryu.jpn.com/archives/2631
ビカミング(なっていく)
最初のチャプターは「ビカミング(なっていく)」。ここではソフトの進化によってもたらされる変化と、それに対する心構えをウェットに説明していて、とても腹落ちします。
ソフトの進化は2つについて話されています。ひとつはソフトウェア。ハードを変えなくてもインターネットを通じて新しいソフトウェアが次々のアップデートされる。その進歩の速度に対する姿勢を以下のように説明します。
この〈なっていく〉世界では、誰もが初心者になってしまう。もっと悪いことに、永遠に初心者のままなのだ。だからいつも謙虚でいなくてはならなくない。
ボクは常々、この進歩の速い社会において「謙虚」であり続けることが強さであると思っていました。ある領域に強みを持つ人でも「傲慢」になってしまった時点ですぐに進歩に取り残されてしまうように思います。その背景をズバっと言い当ててもらいました。
次のひとつがコンテンツの進化。
生まれてから20年経ったウェブの規模は想像を絶する。ウェブのページの総数は、一時的に作られたものも含めて60兆を超える。これは今生きている人ひとりにつき約1万ページ分の量だ。そしてこの肥沃な世界全体は、創造されてからまだ8000日も経っていない。(中略)
われわれが見落としていたことは、このすばらしい新オンライン世界が、大きな組織ではなくユーザーによって作り上げられたことだ。フェイスブックやユーチューブ、インスタグラムやツイッターの中のコンテンツはすべて、これらの運営会社ではなく、その利用者が創造したものだ。
ユーザーが創造するコンテンツの力です。この辺りはクチコミを扱うボクにとっては痛快な進化です。こうしたユーザーの力をケヴィンはこんなウェットな表現で賛辞しました。
産業革命を経て、大量生産されるものが個人で作るどんなものより優れている時代にあって、消費者が突然こうして関わりだすのは驚き以外の何ものでもない。「素人が手作りする話は、馬と馬車の時代のような遠い昔に滅んでいる」とわれわれは思っていた。ただ物事を選択するだけでなく、自ら作り、より深く関わりたいという情熱は、数十年前から続く大きな力だったにもかかわらず、顧みられることはなかった。参加したいというこの明らかに太古から続く衝動は経済をひっくり返し、ソーシャルネットワークの世界にスマートモブや集合精神、コラボレーションをもたらし、着実に世の中の主流へとなっていった。
自ら作り、より深く関わりたいという情熱は、顧みられることはなかった。参加したいというこの明らかに太古から続く衝動は経済をひっくり返し、着実に世の中の主流へとなった。なんともしびれるストーリーです。
ボクはこの「ビカミング」がもたらす未来を、自分が関わる領域を鑑みつつ「企業が話し消費者が聞くコミュニケーションが、企業が聞き消費者が話すコミュニケーション」に変わっていく。としていきたいなぁ。と思っています。そんな自らの野望も心に秘めて、続きを読み進めます : )