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イノベーションへの解|破壊的イノベーションの解釈はアイデア発想のハードルを少しだけ下げてくれる

クリステンセンの「イノベーション」シリーズは有名なビジネス書だそうですが、遅ればせながらクライアントのススメで読みはじめました。

本書の対象はイノベーションが停滞している大企業です。当社は中小企業だけど、創業から40年。10年前まではユニークな考え方を持っているマーケティング&リサーチ会社とポジショニングされていたところが、小さい会社ながら脈々と続いている考え方や、枝葉のように広げている様々なサービス領域があって、今は注力するべきポイントを絞れずにイノベーションの力が停滞しているという自己認識しています。

そうした状況に対する示唆を得られれば、と期待して読み進めます。

現状認識:イノベーションはどのようにして生まれるのか

比較的成熟した企業において、新しいビジネスアイデアができあがるまでの過程をクリステンセンは以下のように説明します。

イノベーションのプロセスを予測可能にするには、何が必要だろう。個人の行動を予測する方法を学ぶ必要はない。むしろ、事業構築に携わる人々に作用する力を理解することが、予測可能性をもたらす。つまり、マネージャーが何を決定し、何を決定できないかをコントロールする強力な力である。

新成長事業のアイデアが、革新的な発想を持った社員の頭のなかから、完成された状態で現れることはめったにない。どれほど明確な構想や洞察であっても、会社から資金を得るためには細部を詰めて、事業計画の形にまとめなければならない。この過程でアイデアは形を変え、しばしば大幅に修正される。そして、そうするうちにいくつかの予測し得る力にさらされるのだ。個人としてのマネージャーには、確かに型破りで何をしでかすか予測できない人もいる。だが彼らはみな、似たような作用のメカニズムを持ち、似たようなタイミングで作用し、企業が最終的に導入する製品や事業計画に似たような特徴を持たせる力にさらされる。これらの力を理解し、うまく取り扱うことにより、イノベーションを狙い通り推進できるようになるのだ。

中小企業の当社でもこうしたプロセスが日常的に交わされていて、腹に落ちてきます。このプロセスはひとつのアイデアの力を増幅される機能として理解できる一方で、ひとつ気にかかるメッセージも含まれています。

それは「この過程でアイデアは形を変え、しばしば大幅に修正される。」というプロセスで、ここにジレンマを感じている自分がいます。計画を予測可能なものに、確かなものにするために必要なプロセスではあるけれど、衝動的なアイデアが持つパワーを減退させる要因にもなり得るからです。実際に、このプロセスが必要なために余計な機能が加えられシャープなアイデアになれなかったり、ローンチが半年遅れてしまったり。。そんな経験があります。

同時にそれは「衝動的なイノベーションの種」を経営陣に説明しきれないから。という問題でもあります。その問題に対するひとつの示唆が、クリステンセンがいう「破壊的イノベーション」という視点です。

持続的なものを破壊できるポイントならば説明可能である

持続する力を持ったビジネスに対する、破壊的イノベーションをクリステンセンは以下のように説明します。

持続的イノベーションの状況、つまり企業が魅力ある顧客に高く売れる、より良い製品をつくることで競い合う状況では、ほぼ必ず既存企業が勝つことがわかった。これに対して 破壊的イノベーションの状況、つまり新規顧客や魅力のない顧客群に安く売れる、シンプルで便利な製品を商品化することが課題である状況では、新規参入者が既存企業を負かす確率が高い。そしてこれが、成功した企業をきわめて頻繁に失敗させる状況なのである。したがって、新興企業が実績ある競合企業を攻撃する最良の手段は、もちろん、破壊的戦略を取ることだ。

この視座は新しく革新的なものを創らなくてはならない、というイノベーションに対するハードルを下げてくれるとともに、イノベーションの種の各所への伝わりやすい説明方法のヒントにもなります。

破壊する対象を明らかにすること。恐らく強者であろうその対象への対抗策として、その上をいくような発想やテクノロジーを用意するのではなく、サービスの軸をずらすなり下げるなりして対抗すること。関わる人たちに分かりやすく説明できるような気がしてきます。

加えて、破壊的イノベーションを考えるにあたってサービスの「純化」を自然と考えるようになります。いろいろ足していくのではなく、持続的なサービスから何かを引いてみること。そんな視座でイノベーションと向かってみます : )

ジャック・ドーシーに学ぶ。サービスは「純化」させる方が難しい。