顧客経験価値を最大化するためにサービスそのものをオープン化する|ITロードマップ 2017年版

ITロードマップはNRIが5年後のIT技術を予測しながら、毎年発行している本です。2017年版が3月に発売されていました。

本書では5年後先のビジネスや社会に影響を与えるITとして以下を挙げています。

  • 人工知能(AI)
  • チャットボット
  • VR(仮想現実)
  • AR(拡張現実)
  • APIエコノミー

いずれもここ数年でお馴染みになったワードだと思うけど、ひとつだけ「API」に関しては“なぜ今更”という印象を受け、逆に興味深く注目しました。彼らはこんな風に説明します。

従来、「API」という言葉は、あるソフトウェアから別のソフトウェアの機能を呼び出す言葉として、開発者の現場で使われてきた。しかし、「APIエコノミー」という言葉は、ある企業のビジネスから別の企業のビジネスを呼び出す意味として使われる。呼び出し側から見た場合、APIの先にあるものは、たんなるソフトウェアの機能ではなく、企業が提供するビジネスそのものということになる。

なるほど、ボクが最初にイメージした「API」とはレイヤーが少し異なるようです。そして、企業が提供するビジネスそのもの、という部分についてわかりやすい事例が示されていました。

たとえばUberは、同社の配車サービスを利用可能なAPIを提供しており、フォースクエアやハイアットなどの多くの企業が、このAPIを自社のスマホアプリに組み込んでいる。そして、スマホアプリ経由でUberのタクシーが利用された場合には、Uberはその対価をフォースクエアなどに支払うというビジネスモデルになっている。このような仕組みによって、APIの利用企業は、自社の顧客向けにより高い顧客経験価値を提供することが可能となる。一方のUberは他社のインフラを利用してより多くの顧客にリーチすることが可能となる。

機能の拡充ではなく、顧客経験価値の提供が「APIエコノミー」の採用の目的となります。このように考えると、コンテンツの作り方、機能の揃え方の考え方が変わってきます。世界中のあらゆるリソースを活用して、顧客経験価値を提供すると考えると、より高度な視点でサービス開発ができると思います。

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この記事を書いた人

マーケティングに関わる仕事に20年以上携わっています。感銘を受けたポップカルチャーをマーケティング視点で記録したり、日々の暮らしや身に着けているもの、健康・投資について記録するためにブログを活用しています。

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