熱意ある人々のチカラを借りて

今日はソーシャルメディア進化論の著者武田隆さんのセミナーを聞いてきました。ゲストスピーカーには、元ドコモ。iモードサービスの開発者夏野剛さん

著書のあるチャプターのタイトルと合わせる形で、セミナーのキャッチコピーに「未来は明るい!?」という一文が使われていました。ソーシャルメディアでもマーケティングでも、このようなウェットなコピーが付いたタイトルには、つい反応してしまいます。

さて、お二人のそれぞれのスピーチもとても参考になりましたが、本セミナーのハイライトはお二人のトークセッションでした。ソーシャルメディア進化論の帯コメントを夏野さんが書いているように、きっと普段から親交が深いお二人だと推測します。

トークセッションも息の合った、流れるような掛け合いが続きますが、残り時間も少なくなった頃、少し見解の違いがあり、互いの意見を主張する場面がありました。

企業がソーシャルメディア上でリサーチを行う、コミュニティを形成する際に、夏野さんは、熱意を持ってソーシャルメディアで情報を発信する人の声こそ聞くべき。と言い。武田さんは、ソーシャルメディアで発言しない人でも、その80%は本当は発言してみたいと思ってるから、そこで情報をシェアしあうことの輝きを見つけるまで、しばらく辛抱して付き合って欲しい。と言います。

「その場の空気を読むために、少し見るだけにしたい」という、武田さんがソーシャルメディアユーザの声の実例を上げたときには、夏野さんは「そんな奴は帰って寝てろ!」と言い放つ場面も。もちろん、愛情ある言い方でしたが。。面白いですね。

ソーシャルメディアを活性化する、傾聴する、その目的によりますが、ボクはどちらかというと夏野さんの主張に同意します。それは、定性リサーチに30年以上取り組んできたドゥ・ハウスの、定性データに対するアプローチに近い意思を感じます。

事実行動ポジティブ

上の図は、情報の7つの種類と大切にするべきデータです。定性データでは、行動にもとづく事実、かつポジティブなデータに着目して、分析や解析を行います。これは、安易に生活者にキタンのないご意見を聞いてしまう、アンケートやインタビューへのアンチテーゼでもあります。

生活者に普段意識しない意識を聞いても、実態はつかめず。最悪は行動につながらない、意識の中だけの仮説が調査結果として流通してしまいます。マーケターは、豊富な事実を集め、そこから光り輝くひとつの発見をし、自ら仮説を創るのが役割です。

もう少し噛み砕くと、非ユーザに良くないところを聞くのではなく、ロイヤルユーザにどこが良いのか聞く、というアクションになります。良くないところはウソでも言えます。でも良いところは、本当に使ったユーザでないと言えません。

武田、夏野、両氏の主張にもこれに通じます。熱意をもって、積極的に情報を発信するユーザのデータには、熱意や自信の裏づけとなる背景があります。発信をためらうユーザには、自信を持てるだけの背景が、きっとないのです。だから、熱意ある積極的な人の声こそ聞きたいですね。

そして、そんな人たちの声こそ、もっともっとソーシャルメディア上に流通させたいです。熱意ある人たちの声が、生き生きとソーシャルメディアに流れている様子は、自信をもてなかったユーザにも、きっと勇気を与えるものになります。

熱意ある人々のチカラを借りて、それに続く人たちが現れ、さらにソーシャルメディアに生き生きとした声が流通するようになります。そんな人たちの支援こそ、企業のソーシャルメディアマーケティングの取り組みではないかと感じます。

その取り組みを実現するために、観察する力と、ホメる力聞く技術が、企業には必要。改めてそう感じるセミナーでした。

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この記事を書いた人

マーケティングに関わる仕事に20年以上携わっています。感銘を受けたポップカルチャーをマーケティング視点で記録したり、日々の暮らしや身に着けているもの、健康・投資について記録するためにブログを活用しています。

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